2005年08月16日 (火)

蝶野正洋選手のG1制覇に見る落胆

シングル最強を決定する新日本プロレスの真夏の祭典「G1クライマックス」決勝戦が14日、両国国技館で開催され、蝶野正洋選手(41)が、8戦無敗で勝ち上がってきた現IWGP王者の藤田和之選手(34)を破り、3年ぶりの大会制覇を飾りました。これで蝶野選手の持つ「G1クライマックス」最多優勝記録は「5」へ。

蝶野GI制覇!亡き友に捧ぐ「闘魂三銃士」魂!

昨日、深夜のワールドプロレスリングをながら見で眺めていましたが、なんか拍子抜けですよね。幾ら「プロレスはドラマだ」とはいえ、とんだ茶番です。プロレスのあざとさを垣間見た気分で、思わず「そりゃないだろ〜」とか嘯いてしまいました。

「闘魂三銃士」として、盟友として、橋本真也選手へ捧ぐ勝利を演出し、感動のシナリオを描いたつもりなのでしょうか。実力の差で見れば勝敗は明らかな戦い、8戦無敗もなんのその、下積み時代を経て、総合格闘技の険しい道のりをも潜り抜けて来た、今、最も脂の乗っている日本屈指のファイター藤田選手に対して、既に全盛期を過ぎ、肉体的・精神的にも衰えを感じざるを得ない満身創痍の蝶野選手では、格が違う。それを乗り越えて……というのがプロレスのミソなのかもしれませんが、正直、どういう層が喜ぶアングルなのかが分かりません。そもそも“ミスターG1”なんてのが片腹痛い、もはやただのマスコットと化している蝶野選手が出る幕ではないのですよ。近年稀に見る実力者による圧倒的な全勝優勝を期待していたのに、「G1クライマックス」も、新日本プロレスが掲げる「キング・オブ・スポーツ」の看板も、所詮この程度のものだったのか。

まあね、それを言ってしまうと、PRIDEをはじめとした“リアル”路線が表舞台に立った時点で、既に、かつて我々が信じていた「キング・オブ・スポーツ」という“偶像”は崩れ去っているのですが、一方で、その総合格闘技の世界を土俵にしながらも、骨肉を削りながら数々の名勝負を繰り広げて来た藤田選手のような「プロレスラー」の面々が居る。その歴戦の真剣勝負を思い起こすにつけ、ますますシングル最強決定戦とは名ばかりの今回の「G1クライマックス」、そのリングの落差に愕然とし、改めて私が新日本プロレスに勝手に落胆しているだけです。白熱した戦いに息を呑み、そのプライドを懸けたドラマティックな勝負に熱狂していたあの頃の新日本プロレスは嘘だったのかなぁ。闘魂とは一体どこに。

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