2005年09月11日 (日)

宮崎駿監督に栄誉金獅子賞

イタリアはベネチアで開催中の「第62回ベネチア国際映画祭」で9日、数多くの優れた作品を生み出した業績を讃え、宮崎駿監督に栄誉金獅子賞が授与されたとのこと。栄誉金獅子賞は、優れた作品を製作してきた著名な映画作家に贈られる賞だそうで、これまでフェデリコ・フェリーニ監督やクリント・イーストウッド監督らに送られています。宮崎駿監督個人としては、「千と千尋の神隠し」でのベルリン国際映画祭金熊賞、米アカデミー賞長編アニメ賞に続く栄冠。

宮崎駿監督に栄誉金獅子賞 ベネチア国際映画祭

一先ずはその名誉を讃えたい。ここ数年の宮崎監督の快進撃は、アニメ不遇の時代から地道に良質な作品を作り続けて来たその功労が、今ようやくにして世界に認められている、といった感じですね。

しかし、「これからも、ましな作品を作るために、白い紙に向かっていきたい」とは宮崎監督の弁ですが、以前にも述懐した通り、個人的なベストバイである「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「魔女の宅急便」などの傑作群に比べて、近作の「千と千尋の神隠し」や「ハウルの動く城」などは、どうにも素直には受け入れ難い、大衆娯楽映画として不甲斐ない作品だと、私はそう思っているのですよ。

ある時期を境にした絵柄(塗り)の変化と共に、かつての輝きを失ってしまったように見える宮崎監督、生意気なことを言えば、そんな御大が、いつまでも日本の最前線、世界の矢面に立つべきではないと、そう感じるのです。決して宮崎駿の監督業を否定している訳ではありませんが、名匠の晩年と、後の時代を考えた時に、今必要なのは人材育成と世代交代。日本にはまだまだ、宮崎監督に勝るとも劣らない才能ある作家が眠っているはず。この栄誉ある受賞を刺激にして、増々と業界が切磋琢磨して、後進の育成に励んで貰いたいものです。

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