Now Playing|BONNIE PINK / Golden Tears ほか
Posted by ramhorn05j
ここにおありになりまするのは二枚の豪傑たるアルバム、名を「Even So」「Golden Tears」と言ったそうな。して───
BONNIE PINKの入門用として購入した「Even So」は、トーレ・ヨハンソンとのタッグで制作された7thアルバム。ファンの間では傑作と名高い名盤だけあって、お洒落で大人っぽい彼女のイメージを端的に表現した看板に偽りのない内容で、評判も納得の確かな手応えを感じさせます。
全編を通して聴けるのはBONNIE PINKの強くしなやかな透明感のある歌声で、メロウなリズムとブルージーな歌詞に彩られた楽曲は、じわりじわりと心の奥底に浸透して行きます。彼女の持ち味を生かしきったトーレ・ヨハンソンの手腕も光るところで、ポップで弾ける様な楽曲は少ないものの、完成度の高さでは突出しています。冒頭4曲のインパクトが大きい為に、アルバム全体としての印象は控え目になりがちですが、概ね鉄板な内容と言えるでしょう。
ただ、それはつまり、従来の彼女の作品の特徴でもあった「シングル曲にはインパクトがあるがアルバム収録曲は渋め」のジンクスそのもので、その真面目過ぎるサウンドが故に、そつなくまとまり過ぎている印象があるのも確か。それだけに、もう一つ突き抜けるものが無かった「Even So」は、今の私には隙が無さ過ぎて、息苦しささえ覚えるのが辛いところ。その点、「Golden Tears」はとにかくポップで、サウンドも良い具合に砕けています。それはとても明るく軽やかで、鮮やか。アルバムには全体を通して爽やかな空気感が満ちており、ザックリとした華があります。しかし、最大の魅力は飽きがこない普遍性で、メリハリのあるメロディと癖のある歌詞にはフックがあり、聴けば聴くほど深みにハマって行くスルメ音楽的な風情に仕上がっています。
完成度では「Even So」に軍配が上がるかもしれませんが、カラッとした晴れやかな今の気分は断然「Golden Tears」。独特なラインをもって語られる旋律、耳当たりの良いサウンド、語感の美しい歌詞、そのハイレベルな音楽空間は心に体に心地よく、感動すら覚えます。ダレること無く、粒揃いの楽曲がコンパクトに凝縮された潔いアルバム「Golden Tears」は、十分過ぎるほどの“アタリ”でした。