2005年11月06日 (日)

本日の蟲師(11.6)

「第三話 柔らかい角」まで終えたところで、「蟲師」がますますいい感じ。不可思議な詩編を紡ぐ、実に良く出来たおとぎ話です。

お話の内容も然ることながら、強く惹かれるのはその雰囲気。ストーリーを盛り立てる演出は静かに冴え渡り、あくまで淡々と世界を物語る。効果的なCGが幻想風景を際立たせる中、郷愁を誘う背景は精緻で美しく、土の匂い、木々の香り、そういったものに乗せられて、“蟲”との関わりに神秘的なものさえ感じさせます。一見して造形が幼く見える今風のキャラクターデザインも、しかし作画の妙味で、一片の温もりと、冷たさ、怪しさをも兼ね備えた、独特の空気感を醸し出す。思わずゾッとするような怖いカットもあるのだけど、そこがまた何とも乙。“蟲”の描写には、何の気無しに「もののけ姫」を始めとする宮崎駿アニメを思い浮かべてしまったのだけど、でも「蟲師」のアプローチの仕方はそれよりもずっと自然で、現実的。得体の知れない「怖さ」と、同時に「愛嬌」が混在する表現は秀逸で、超常的な日常と生活感のある時代錯誤感といった、境目の世界観を決定的なものにしています。

最終的には、ギンコの魅力、存在感に引っ張られている部分が大きいのだけど、総じて、脚本、演出、作画、そして、敢えて売れ線を外した声優などなど、どれが欠けてもこの雰囲気は成立しなかったはず。些末な揚げ足取りや枝葉末節の欠点をあげつらうのが無粋であるほど、何よりもセンスの光るパワーバランスだと思います。そんな「蟲師」は間違いなく今季の“アタリ”。アナログ放送末期に、なかなか素晴らしい作品に巡り会えた気がします。

夜更けに独り、静かに嗜むのもいい。それだけ心に染み渡り、それだけ心が洗われるから。多くの人の目に触れて欲しいとは思う反面、朝方4時に暇してる人なんて滅多に居ないのだから、勿体無いけどしょうがない。DVDが発売された暁には、クチコミで評判が広がってくれると嬉しいな。

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