2006年01月02日 (月)

「プロジェクトX 〜挑戦者たち〜」が終了

00年3月に放送が開始されたNHKの人気番組「プロジェクトX 〜挑戦者たち〜」が05年12月28日の放送を以て終了しました。

NHK人気番組プロジェクトXが終了

戦後の日本を築いたエポックメイキングな出来事の数々、その舞台裏に迫るとされる同番組は、組織の中の群像に焦点を絞り、無名の日本人たちに光を当てたドキュメンタリーでありました。空前の「プロジェクトX」ブームを巻き起こし、世のサラリーマンの星となって一時代を築いたのも、今は昔のお話でございます。しかし、「NHKスペシャル」など良質なドキュメンタリーを多数保有するNHKにあって、その出で立ちは少々異色。情報量に特筆すべき部分は少なく、詰めの甘い背景描写はいっそチープですらあります。それでも、その大衆的なお手軽さこそが魅力だった「プロジェクトX」は、現代に忘れ去られがちな道徳的美談を演出するドラマであり、即席仕立てのノスタルジーと感動を誘うエンターテイメントとして大成していました。

が、残念なことに、最終回に至っては、どうにも嚥下し難い「如何わしさ」が漂っておりまして、居心地の悪さだけが突出した幕引きとなってしまいました。これほどまでに胡散臭い演出もある意味プロの為せる技ですが、つとに、段取りの悪さ、台本の悪さに尽きるのだと思います。このえも言われぬ違和感の根源は、制作陣のナルシシズムと押し付けがましさにあり、過剰演出などが問題となった「プロジェクトX」にとっては、蓄積された「歪み」が行き着くべくして噴出した形となりました。ただ、今回の放送は、番組の制作に携わってきたスタッフ自身へ向けた慰労であったとも感じられましたから、単純に「クソ」と一刀両断してしまうのは不粋を極めるものとして憚られます。有終の美を飾らんとする最後は、番組の支柱でありイメージリーダーだった中島みゆき女史が、名曲「ヘッドライト・テールライト」を仰々しいまでのパフォーマンスで締め括り、シリーズを総括したのでした。

とまれ、この「プロジェクトX」では、マツダのロータリーエンジン開発史、ル・マン24を制したマツダ787B開発史、ホンダのF1プロジェクトなど、特に自動車メーカーに関する特集が印象に残っています。振り返れば、感慨深いこと頻り。わだかまりこそあれど、またいつか、スペシャルバージョンで復活することを願い、送別の言葉に代えさせて頂くのでございます。

リンク:プロジェクトX 〜挑戦者たち〜

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