2006年02月01日 (水)

KDDI「LISMO (au LISTEN MOBILE SERVICE)」開始

KDDIは、auの携帯電話とPCを連携させた総合音楽サービス「au LISTEN MOBILE SERVICE(LISMO)」を開始しました。1つのソフトウェアで携帯電話とPCを繋ぎ、統合的なサービスを提供するとしています。

携帯電話に搭載される音楽再生機能「au Music Player」と、PC向けソフトの「au Music Port」で構成され、「au Music Player」は19日発表の新端末7機種に搭載される。「au Music Port」は対応端末のパッケージに同梱される。対応OSはWindows XP。

また、「au Music Port」では、4月より開始される予定のKDDIの音楽配信サービス「DUOMUSIC STORE」も対応可能になっており、「DUOMUSIC STORE」の閲覧や、購入してダウンロードした楽曲の再生、携帯への転送なども行なえる。配信される楽曲の仕様などは明らかにされていないが、auの携帯電話の4桁の暗証番号だけで手軽に購入できる仕組みが用意される予定。

KDDI、総合音楽サービス「au LISTEN MOBILE SERVICE」

Image:LISMO

宇多田ヒカルの「Keep Tryin'」に乗せて、心持ち爽やかなCMが連日OAされております「LISMO」。緑地に白抜きのシルエット広告は、どこかAppleの「iPod + iTunes」のそれを意識させる作り。ただこの「LISMO」、KDDI首脳陣が息巻く「『iPod + iTunes』の対抗(追撃)サービス」とはなり得ないでしょう。

PC向けに提供される母艦「au Music Port」の煩雑なインターフェースはともかくとして、問題となるのは、楽曲の取り回しであり、そのフォーマット。楽曲の入手方法は、着うたフル / DUOMUSIC STOREで購入するもの意外は音楽CDからのリッピングに限られるそうで、MP3、AAC、WMA、M4Aなどのファイルは扱えず、インポート / エクスポートも行えないのだという。更に、取り込めるフォーマットは、着うたフルと同様のHE-AAC(aacPlus)エンコードでもって、48kbpsという低ビットレートのファイルとのこと。これは、「音楽を聴く、楽しむ」というよりは、「音が鳴っている」レベルのお話です。

Photo:W41T

規格の統合性を優先するあまり、致命的な弱点を抱えた「LISMO」は、ブレークスルーを期待するにはあまりにも貧弱なシステム。日本初のHDD(4GB)を搭載した東芝製WIN端末「W41T」という例外こそあれ、容量的にも制約がある携帯電話の世界では、少なからず限界が見えます。

ただ、そもそも、昨今着うたフルを積極的に活用し「音を消費する」ユーザー層は、iTunesで「音楽を楽しむ」ユーザー層とは、根本的に“音を楽しむ”次元が異なっている気がします。KDDIの「LISMO」サービスは、そういった「音が鳴ってりゃいい」レベルの消費を求めるターゲットにはフィットするでしょうが、端から「iPod + iTunes」と競合する位置付けのサービスではありません。当然の様にMacには非対応ですが、「iPod + iTunes」をして、(本音はどうあれ)建前として音楽を嗜好するファンの為に市場を開放したAppleのスタンスとは、コンセプトからして違う感じです。

iPod ⇔ iTunes ⇔ iTMSのエコスタイルを、携帯電話 ⇔ LISMO ⇔ 着うたフルで実現しようとするKDDI。独自の路線を模索し、歩もうとする姿勢そのものは評価出来ますが、個人的な感想を言えば、なんとも微妙な“オンガクケータイ”だと言わざるを得ません。これで「音楽好きの為のケータイ」などと宣ってしまうのは少々烏滸がましい。

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