2007年01月11日 (木)

Macworld Conference & Expo 2007開幕

Photo:iPhone

毎年恒例のMacworld Conference & Expoがサンフランシスコで開幕。Steve Jobsによる基調講演では、「iTV」改め「Apple TV」の他、待望の「iPhone」が発表されました。

創業31年目に突入するAppleは、社名をApple Computer Inc.からApple Inc.に変更。コンピュータだけを売る会社ではない、ということを強調する為の変更だそうで、携帯電話に進出するに当たり、公式に家電メーカー宣言をしたということになるのでしょうか。今年のExpoの目玉は、動画や音楽を大画面TVで楽しむためのセットトップボックス「Apple TV」と、2年前から秘密裏に開発を進めていたというスマートフォン「iPhone」。

「Apple TV」は、「iTunes」と同期して動画や音楽などをテレビに手軽に表示できるネットワークメディアプレーヤー。外形寸法は幅197mm×奥行197mm×高28mmで、重量は1.06kg。40GBHDDと無線LANを内蔵する他、Ethernet端子、USB 2.0ポートを装備。映像出力はHDMIとコンポーネント、音声出力はアナログ音声(RCA)と光デジタル音声を各1系統搭載し、1080i / 720p / 576p(PAL)/ 480pのワイドテレビに対応。「Apple TV」を家庭のTVにつないでネットワークに接続すると、Mac / Windows PCに保存された音楽やムービー、写真といったコンテンツをLAN経由でストリーミング受信し、TV画面で再生することが出来ます。最大5台のMac / PCとシンク&ストリーム可能で、操作はApple Remoteにて行います。価格は36,800円。

一方「iPhone」は、Jobsに曰く「iPod + Phone + Internetを統合した革新的なプロダクト」。Intel製プロセッサ + モバイル用OS「OS X」を備えたGSM / EDGE対応の2.5G携帯電話で、iPod機能を内蔵し、3.5インチのタッチセンサー内蔵液晶ディスプレイ(解像度320×480ドット)を搭載しています。イヤフォン端子、iPodコネクターを装備し、IEEE 802.11b/g、Bluetooth 2.0をサポート。

外形寸法は縦115mm×横61mm×厚11.6mmで、重量は135g、カラーはシルバーとブラック。筐体デザインは非常に洗練されており、キーボードレスな設計で、前面のボタンは「ホームボタン」のみ。画面内に表示されるGUIを指でタッチして操作する「Multi-touch」インターフェースを採用しています。「OS X」は完全なマルチタスクで動作し、SafariベースのウェブブラウザやWidgetといった各種アプリケーションを完備。Mac / PCとの連携・同期もスマートに行うことが出来ます。AppleのサイトにはiPhoneコンテンツが追加されており、タッチスクリーンの操作感などを確認することが出来ます。

Apple - iPhone

また、環境照度、近接度、加速度といったセンサーを内蔵しており、周囲の明るさに応じて画面の輝度を変えたり、タッチによる誤動作を防いだり、また本体の向きで画面の表示を自動的に切り替えることが可能です。

その他、200万画素のデジカメを内蔵し、バッテリ駆動時間は、動画再生 / 通話時が約5時間、音楽再生時が16時間。「iPhone」の発売とサービス開始の時期は、米国では2007年6月、ヨーロッパでは2007年第4四半期、アジアでは2008年の予定。価格は、4GBモデルが499ドル、8GBモデルが599ドル。

Image:Welcome 2007

“The first 30 years were just the beginning. Welcome to 2007.”、これまでの30年でさえ、ここから始まるAppleの歴史にとっては序章に過ぎない、という刺激的なメッセージで幕を開けた2007年のApple。Mac OS X 10.5 “Leopard”関連の発表や、Cinema Displayなどの新ハードの発表がなかったことで、事前予想の期待値からすると一寸物足りない基調講演ではあったものの、満を持して登場した「iPhone」はその穴を補って余りあるインパクトを提供してくれました。

200個もの特許を詰め込んだという「iPhone」は、全くもって予想以上に楽しく、スマートフォンの常識を一変させる最高にクールな出来。個々の技術に目新しさはなくても、それらを合成して、一歩進んだ工業製品に仕上げるという点で、実にAppleらしいデバイスと言えそうです。タッチパネルそのものも決して新しい発想ではありませんが、直感的なWYSIWIGであるところのGUIは先進的で、リアリティのある次世代を感じさせてくれます。

ただ、いわゆる2.5G携帯なので、残念ながら日本では電話機能を使用することが出来ません。アジアでの発売は2008年を予定していますが、そこに日本が含まれるのかすら定かではありませんから、なんとも歯がゆい思い。それでも、これだけの高機能、電話として使えなくてもいいから欲しいじゃない。国内での発売が決定すれば、たとえキャリアがSoftBankであったとしても、喜び勇んで買ってしまいそうな勢いです。

直感的なインターフェースに、Safari、Widgetと、中身を見れば、普通にMacそのものとも言えそうな「iPhone」。新型「iPod」としても、またマイクロガジェットとしても、非常に魅力的な製品です。一方、根幹である「OS X」も、詳細が伏せられているだけに気になる存在で、やがて「Multi-touch」インターフェースが「iPod」に還元されるのか、それとも「OS X」そのものを採用したモバイルMac / タブレットMacが発売されるのか。いずれにしても、モバイルMac OS Xとして非常に良く出来たOSですから、「iPhone」だけでなく、是非ともあれこれとバリエーションを派生して貰いたいところです。

リンク:
スティーブ・ジョブズCEO基調講演レポート
アップル、HDMI/40GB HDD搭載のメディアプレーヤー「Apple TV」
米Apple、OS Xが動作するiPod機能内蔵の携帯電話「iPhone」

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