2007年03月06日 (火)

三遊亭円楽さんが引退表明

「笑点」の司会で知られる落語家の三遊亭円楽さん(74)が、50年以上に渡る落語家人生にピリオドを打つことを明らかにしました。

円楽さん、異例の引退表明 「もう恥はさらせない」
「恥かきたくない」円楽師匠、高座後に淡々と引退表明

2月25日に行われた落語会「国立名人会」で、現役最後の演目となった古典「芝浜」を披露。口演後の記者会見で、「ろれつが回らなくて、声の大小、抑揚がうまくいかず、噺のニュアンスが伝わらない」「もう恥はさらせない」と現役引退を表明しました。円楽さんは2005年10月に脳梗塞で倒れ、その後、リハビリを続けながら1年後には関西の高座に復帰していましたが、この日の口演を踏まえ、「これからは、円楽一門の会などには顔を出すが、噺はしない」と宣言しています。

円楽さんは東京・浅草出身。1955年に六代目三遊亭円生に入門し、62年には真打ちに昇進、五代目円楽を襲名しました。1966年には日本テレビ系の演芸番組「笑点」の初代レギュラーとなり、1983年からは四代目の司会を務め、全国区の人気を博しました。

「笑点」の司会を引き継いだ桂歌丸師匠は「引退なんてとんでもない」と憤慨しているようですが、円楽師匠の決意は固く、引退の撤回は落語家としての美学が許さないと思われます。私はどうも円楽師匠の噺を真面目に聴いた覚えがないので、重ねて惜しい報せでした。思えば、寄席番組もめっきり減っている昨今、意識的にアンテナを伸ばさなければ落語にお目にかかる機会なんて早々ありませんから、日本の伝統芸能がとんと縁遠い世界になってしまっているのが一寸寂しい。円楽師匠の引退は、そんな現在の落語界にとっても大きな損失ですが、しかし、ことプロとしての花道を飾るという意味では、引き際の潔さもまた良きかな、といったところでしょう。

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