2007年03月15日 (木)

SAF1チーム、ニューマシン「SA07」を発表

スーパーアグリF1チームは14日、開幕戦の舞台であるオーストラリア・メルボルンで、ニューマシン「SA07」を発表しました。

「SA07」は、昨年チームが急遽準備した初めてのF1カーである「SA05」の開発プロセスの延長として作られたニューマシンで、チーフデザイナーのピーター・マックールが率いるSAF1チームのデザイン部門とホンダの栃木研究所が8ヶ月をかけて共同開発したもの。テクニカルディレクターのマーク・プレストンはこのマシンについて、「パワートレーンに関しては2006年に使ったものを継続して使うので、全く同じだ。空力面ではウイングや他の空力デバイスが変更された。その他のほとんどの部分は同じままだ。ラジエターのパッケージングや電子系統も昨年とほとんど変わらない」と説明しています。

Photo:SAF1 SA07

冬のテストプログラムを無事に終了する一方で、新車開発が遅れに遅れていたSAF1ですが、ようやく「SA07」の発表に漕ぎ着けています。一時は、クラッシュテストの不通過で開幕に間に合わないのではないかとも囁かれていましたから、滑り込みで一安心といったところ。

ただ、スポンサー問題は解決していないと見られ、シーズンを通しての資金面での不安が残ります。サイドポンツーンやリアウィングにロゴが描かれている中華系石油会社「SS UNITED」は、首脳陣によればメインスポンサーではないとのことで、ダニエーレ・オーデット / マネージング・ディレクターは、件のカスタマーシャシー問題が大口スポンサー候補との交渉に否定的な影響を与えたと語っており、現時点でタイトルスポンサーが決定していないのは憂慮すべき事態です。なお、「Super H2O」のロゴが外れていますが、これは恐らく琢磨個人へのスポンサードに限定されたものと予想されます。

S・アグリ首脳、「SS 冠スポンサー説」否定

また、そのカスタマーシャシー問題の行方も注目されるところで、開発に際してはホンダ製「RA106」がベースシャシーになったと言われる「SA07」ですが、他チームとの折衝が解決に至っているとは言い難く、やはり「RA106に似ている」という見方は免れないでしょう。「SAF1チームのデザイン部門とホンダの栃木研究所が8か月をかけて共同開発した」という部分も、知的所有権が云々ではなく、どちらかといえば感情論に根差した批判によって攻撃される材料となりそうです。FIAとはある程度調整がついているものと推測されるので、万が一提訴されてもこれが即ちレース失格とはならないでしょうし、持ち堪えることは可能でしょう。しかし、いずれにしても、潔癖、かつスッキリした形でシーズンが進むことは難しいかもしれません。

今回お目見えした「SA07」は、基本的にはオフシーズンにテストを行った暫定マシンから大きな変更はありませんが、フェラーリやウィリアムズが先鞭を付けたフルレングスの2段フロントウィングが印象的です。カラーリングは、昨年同様、白地に赤を基調としたものですが、直線的な意匠に変更される一方で、デザインはよりシンプルに洗練されており、かなり好印象です。全体的にスマートで格好良いマシンですが、時間的な制約により突貫工事な部分も多く見受けられるので、昨シーズン同様、定期的なアップデートによって、中盤戦以降は中身も大幅な変化を遂げて行くもの思われます。

Photo:佐藤琢磨

ドライバーは、1stドライバー / 佐藤琢磨は変わらず、2ndドライバーには待望のアンソニー・デビッドソン。昨年来の念願が叶って、いよいよ理想的な布陣が揃いました。今年はオフシーズンのテストによってデータが揃っており、昨シーズンよりも準備が整った体勢でレースに挑むことが出来ますが、とはいえ、新車「SA07」での走行はぶっつけ本番となります。初戦は、まず完走を第一義に考えることになりますが、それでも、この二人ならやってくれるでしょう。

スペック的には、ミナルディーベースの「SA06」から本家ホンダの一年落ちへと大きく向上した事になるので、案外中段グループの台風の目となるかもしれません。琢磨の目標は「全戦ポイント獲得」だそうですが、どこまで食い込めるか見物です。ドライバーもシャッフルされた今シーズン、突出した存在がいなくなったことで、SAF1にも大きなチャンスがあります。切れ味鋭いスピードと、目の覚める様な熱い走りに期待したいです。

リンク:
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