2007年05月31日 (木)

松岡利勝農林水産相が自殺

東京都港区の衆議院赤坂議員宿舎で28日、松岡利勝・農林水産相(62)が首吊り自殺を図り、新宿区の慶応義塾大学病院で死亡が確認されました。衆院事務局によれば、現職国会議員の自殺は戦後7人目、現職閣僚では初めてとのこと。

松岡氏を巡っては、資金管理団体の光熱水費や事務所費の不透明な支出や、入札談合事件で理事らが逮捕された農水省所管の独立行政法人「緑資源機構」に関連する団体からの献金問題など、「政治とカネ」を巡る問題で批判が続いていました。

松岡農水相が自殺 議員宿舎で首つる
松岡農相の死亡確認 遺書発見、自殺と断定

不明瞭な会計処理を追及された「なんとか還元水」こと事務所費問題よりも、政治家の関与が明らかになった緑資源機構問題が引き金になったのでしょうか。陰謀説なども囁かれていますが、そういった言説からは距離を置きたいところ。

須くトカゲの尻尾切りに終始する辞任劇に意味があるとは思いませんが、どうせ禊が済めば素知らぬ顔で復帰出来てしまう世界、自殺するくらいなら辞任すべきであって、然るべき追及を受けた上で真相を明らかにすべきでした。報いる事さえ憚られるほどの悪事を働いていたとしても、自らの死で事の始末を図るというのは悪習の内の日本的な振る舞いであり、公人として無責任の謗りは免れません。

語弊を恐れずに言えば、少々の嘘を気にするよりも、少々の汚職を気にするよりも、国政を全うする事こそが政治家の在るべき姿であって、現職の閣僚が自殺するというのは余りにも責任感が欠如した行動です。死んで詫びるなど馬鹿馬鹿しい話で、それこそ罪を償ってこそのサムライ。国民はもちろんのこと、松岡氏を庇おうと動いていた自民党の面子にすらも背徳する行為です。ましてや、恥をかくのが嫌だから首を吊る、晩節に汚点を残すのが嫌だから自殺する、というのであれば、なお潔いものではありません。

これほど悼まれない死も、昨今では珍しいのではないでしょうか。しかし、一方で、内閣のスキャンダルが相次いでいた安倍首相は、松岡氏の留任を要領を得ない理屈で擁護し続けていました。そんな首相の保身が、或いは松岡氏の逃げ場を無くしてしまった印象も少なからずあります。安倍首相の留任要請を断り、早々に大臣を辞任していれば、ここまでの事態には発展しなかったでしょう。内情を死守する為には文字通り死んで遂せる以外にないとは、それだけ松岡氏とは、政治家にしては肝の小さい、繊細な人物だったのかもしれません。ご冥福をお祈り致しますが、死人に口無しとはよく言ったもので、真相は有耶無耶なまま、闇の中。死ねばチャラ、と情緒に走るのはどうしようもなく狡猾です。裏を勘繰られても仕方がない“事件”ですが、墓場まで持って行こうとした秘密は何だったのか、死人に鞭打つことを恐れてはいけません。

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