2007年08月19日 (日)

MGS2・MGS3|ファーストミッション完遂

Amazon.co.jp:METAL GEAR SOLID 2 SONS OF LIBERTY

先日購入した「メタルギア 20th アニバーサリー メタルギアソリッド コレクション」によって壮大なMGSの世界へ誘われたramhorn05jですが、とりあえずMGS3までは一通り触っておきたかったので、PS「METAL GEAR SOLID」のステルス迷彩争奪周回は一先ず保留して、PS2「METAL GEAR SOLID 2 SONS OF LIBERTY」難易度NORMAL、PS2「METAL GEAR SOLID 3 SUBSISTENCE」難易度EASYの攻略に着手し、それぞれ1巡目の走破に成功しました。

かつて、MGS1の戦車戦で挫折したこと、MGS2では最低難易度のEASYであるにも関わらずプラント編のF脚近辺で途方に暮れてしまったことを考えると、驚くほど順調にシークエンスを消化することが出来た今回。逃げていれば何とかなるというのは至言ですが、慣れればここまで出来るMGSの懐の深さに感謝しつつ、やはり何事もプレイヤーが余裕を持ってこそ、そして、小島秀夫というビジョナリーが紡ぎ出すメッセージに真正面から向き合ってこそ、MGSは抜群に面白い!

MGS1の正統な続編であり、海上除染施設「ビッグシェル」をテロリストの手から解放することが任務となるMGS2は、前作の"GENE"に続いて"MEME"がテーマとなりました。難易度NORMALでも何とかなってしまった今作では、順当にタンカー編から出発。MGS1からすれば、グラフィックのクオリティアップには隔世の感があり、思わず目を見張ります。ただ、敵兵の歩行スピードが上がっており、一度発見されると長時間に渡って入念に警戒されてしまうので、ドッグタグを狙って行くとかなりしんどい。主観撃ちやホールドアップも慣れるまでは緊張の連続で、面白いけど難しい、というのが第一印象でしたが、しかし、18時間半ほどを要してクリアに至る頃には、敵兵の聴覚を欺きつつ、ぶら下がりや歩行でターゲットの背後に忍び寄り、ホールドアップでドッグタグを奪取するという一連の動作が堪らなく快感になってしまいました。

惜しむらくは、個別に見た時に、前作シャドーモセス事件の完成度の高さに比べて、ストーリーの面では至らない部分が散見できたこと。ムービーパートがやたらと長尺過ぎて、嘘と狂気と冗長さとでグチャグチャになってしまった終盤では、最終的に伏線の理解がままならない内にエンディングを迎えてしまい、頭を抱えてしまいました。また、オカルトチックな風情も唐突で、頭を撃ち抜かれても死なない人や、水面を走り柱脚を垂直に駆け上がってしまう人など、説明不足が影を落として、一体何がどうなっとんねん!と首を傾げることもしばしば。初期の完成稿は、9.11アメリカ同時多発テロ事件の影響で大量にNGが出たと言われていますから、その関係で演出の根幹がカットされてしまったのだとしたら、それはユーザーにとっても不幸なことです。それでも、運命に翻弄されたオタコンの義妹、エマ・エメリッヒがどうにも可愛過ぎたこと、不気味なステージとBGMが相俟って、発狂した大佐の無線が恐怖だったこと、予備弾倉を駆使してオブジェの破壊活動に勤しむ傍らで、バルカン・レイブンの玩具で床がBB弾だらけになってしまったことなど、色々と見所が多かったMGS2。コンシューマーゲームの進化系として、その最先端を走っていたMGSですが、パッケージメディアとしてMGSの凄みを実感したのはこのMGS2だったと言えるでしょう。

一方、時系列的にはシリーズ最古の物語であるMGS3。ソリッド・スネークの父親=ビッグ・ボスの誕生と、MGSシリーズ皆勤賞であるリボルバー・オセロットの誕生秘話を描いていますが、舞台設定上、ソリトンレーダーが開発されていないことからレーダーシステムが廃止されてしまったので、前2作に比べて潜入の難易度が跳ね上がっています。スタミナやバッテリー、キュアーなど制約事項も多く、かなりハードなサバイバルゲームとなっていました。

まず、冷戦時代というレトロな世界観に飛び込むまでが個人的に一苦労だったのと、これまでにはないモッサリ感、例えば処理落ちやコマ落ちなどがあって、今一つスマートにのめり込めなかった本作。フードキャプチャーやカモフラージュには新鮮な面白さがありましたが、序盤も序盤、オープニングムービーに辿り着くまでには、ゲッソリと神経がすり減ってしまったというのが正直なところ。根本的にレーダーがないと何も出来なかったので、もう中盤以降はスニーキングミッションどころの話ではなく、敵兵を無視してマップを突破するだけのランボー状態になっていました。

こちらも19時間余りを賭してエンディングを迎える頃合いには、まるで「ゴッドファーザー」並の大作映画を見終えたかの様な満腹感がありましたが、それ以上に徒労感が残ってしまったのが私の"SCENE"です。レーダーなし&ジャングルの組み合わせは凶悪で、もう少しばかりステージ攻略が簡単であれば、もっと素直に、より深い部分でMGS3のビジョンを楽しめたのに......というのが率直な感想。グラフィックも演出も一級品、CQCも最高、まさにシリーズの集大成となるべきポテンシャルを秘めていた作品なだけに、その難易度の高さが残念でなりません。

とはいえ、MGS3に登場する人物はどれも抜群の花形。リボルバー・オセロットの青春時代は、どこまでもいい味を出している最高のネタキャラクター。内通者のエヴァは、これまでにないエロティックさで、シリーズ随一の悪魔的魅力を振りまく女性。しかし、それもこれも、シリーズで最も誉れ高き女性ザ・ボスと、ネイキッド・スネークとのコンビには敵いません。師弟でありながら恋人をも超えた関係にある二人の距離感は、どこまでも悲哀に満ちており、そしてどこまでも切ない。ネイキッドがビッグ・ボスとなり、やがてソリッドと対峙するMGS3以降の歴史を鑑みると、その刹那はなお切ない。作品中に見え隠れする儚さ、そして優しさの断片を汲み取って行った先にあるラストシーンは涙なしでは語れません。

総じて、PS2最高峰のグラフィックと操作性の進化、熟成による恩恵は計り知れず、目に見えて新しく綺麗なビジュアルを動かすのはそれだけで気持ちが良く、スリルも満点でした。また、この2作はよりゲーム性を追及したパッケージに仕上がっており、様々なアドベンチャー要素をアクションに取り入れることで、どこまでもエンターテイメントに徹したインタラクティブ性と、素敵な映像体験をもたらしてくれます。目出度くMGS1〜3までを通り一遍クリアして、シナリオそのものにはどれも甲乙が付け難いのですが、グラフィックやシステム、そして難易度のバランスが良好で最も遊び易かったのはMGS2。ゲームとしてはこれが一番好きかなぁ。

しかし、過剰なまでに作家性が押し出されたMGSのビジョンは、自慰的という意味でもクリエイター冥利に尽きるものだと考えられますが、その矮小さに飲み込まれない小島節には改めて惚れ直しました。PS3「メタルギアソリッド4」でも思いきり説教をぶちまけて貰いたいものです。

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