2007年09月04日 (火)

CDが生誕25周年

去る8月17日、CDが生誕25周年を迎えています。

25周年を迎えたCD、売り上げは2000億枚に
CD25周年。累計販売は2,000億枚に

新しいデジタルオーディオディスクの開発を目的として、PhilipsとSonyが共同でCompact Discの策定に着手したのが1979年。その後、世界初のCDは、1982年8月17日にドイツ・ハノーバー郊外にあるPhilipsの工場で製造されました。タイトルは、当時Philips傘下にあったレコード会社Polygramに所属していたABBAの「The Visitors」。

CDの一般販売は1982年11月に日本と欧州で開始され、翌1983年の3月には米国にも市場を拡大、それから25年の間、今日までに全世界で累計2000億枚を超えるCDが出荷されました。プレスリリースでPhilipsは、「CDの発明は音楽産業に革命をもたらした。傷に強く、音質に優れたCDは、アナログからデジタルへの音楽技術の進化の先駆けとなった」とコメントしています。

幼少の時分は、音楽といえば専らカセットテープが中心だった我が家ですが、音楽的に物心がついた頃には、もう世間ではCDが主流だったでしょうか。それでも、小学生位の頃はまだまだCDには高価なイメージがあって、貧乏な我が家がプレーヤーを新調するには時間が掛かりました。

私にとってCDは、恐らく人生で初めて触れた次世代のデジタルメディア。虹色に輝く盤面に刻まれた信号を、赤外線レーザーで読み取るという仕組み、コンパクトでスマートなパッケージは、正に近未来技術の結晶でした。ちなみに、初めて購入したCDはCHAGE&ASKAの「TREE」、プレーヤーは福山雅治のCMが話題を集めた当時最新のPanasonic製コブラトップラジカセ「RX-DT95」と、我ながらミーハーなチョイスでしたが、プレーヤーに先立って入手した「TREE」を眺めながら、この光ディスクからはどんな音がするのだろうかと、ワクワクしながら「RX-DT95」の到着を待ちわびていた往年の思い出は、懐かしくも鮮明です。

しかし、一時は半永久的に再生可能なメディアと謳われたCDですが、今では、反射膜の劣化によって、20〜30年程度でいずれピックアップが不能になってしまうという認識が一般化しています。幸いにして、現在までにマイライブラリで再生不能になったCDは確認されていませんが、当時は、デジタルデータであるということと、何よりこの“半永久的”というフレーズに喜びを感じていました。それだけに、CDにも寿命があると知った時はショックで、恒久的なオーディオディスクというものはかくも実現が難しいものなのかと、せめて次世代には、購入した人間が死ぬまでは楽しめる程度のアイテムを提供して欲しいと願ったものです。

とはいえ、デジタルオーディオ隆盛の現代にあっても、CDというのは最も安定した、信頼のできる媒体なのではないでしょうか。25年前の規格が未だ庶民の最高音質である事実は、音質志向の消費者にとっては耳の痛い話ですが、それだけCDが利便性に秀で、バランスに優れた規格であるということでしょう。25年間、メーンストリームで使われ続けている技術というものの凄さを実感する時、当時のPhilipsとSonyが見出した先見の明には感嘆させられます。同時に、テクノロジーの発達がディスクメディアの未来を不透明にしている時代に、25年前の規格がこれだけの支持を集めている現実を、DVD-AudioやSACDの普及に失敗した音楽産業界はもう一度鑑みて欲しいところです。

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