2008年04月12日 (土)

Adobe「Adobe Media Player」正式リリース

Adobe Systemsは4月9日、「Adobe Media Player 1.0」を正式リリースしました。

「Adobe Media Player」正式リリース。オフラインでもFlashを再生

AMPは、Adobe AIRで開発されたカスタマイズ可能なクロスプラットフォームメディアプレーヤー。視聴者には好きなコンテンツを発見、利用する新たな方法を提供し、コンテンツ提供企業には売り上げやブランド構築の機会を提供するとしています。

なお、同日には無料のオンラインビデオサイト「Adobe TV」も立ち上げられており、AMPでの視聴が可能となっています。

同ソフトは、Flashフォーマットのビデオであればストリーミングでも、ダウンロードしたものでも、ローカルに保存したものでも再生できる。解像度は1080p、720p、480iに対応。ユーザーはテレビ番組などのオンラインビデオを購読して、自動的に新しいエピソードを受け取ることもできる。

一方、コンテンツ所有者やメディア企業は、動的な広告の配信や、自社ブランドに合わせたプレーヤーのカスタマイズなどにより、Media Playerを収益やブランド構築に活用できる。視聴回数などのコンテンツ利用状況も把握できるほか、プロテクト付きストリーミング、DRMなどのオプションもある。

いよいよ登場した「Adobe Media Player 1.0」正式版。Pantherはシステム要件で撥ねられてしまったので、妹者のWindows XPで試用しました。スペックが基準未満なので動作は緩慢ですが、それでもなおシンプルで洗練された使い勝手は良好です。単なるオフラインFLVプレーヤーとして見ても、類似のソフトウェアに比べて、Flashとの親和性、機能性、デザインはピカイチ。オンライン版「Photoshop Express」といい、こんなに便利なソフトウェアが今まで無かったのが不思議なくらいですが、これもMacromediaとの合併効果なのだとすれば、Adobeは確実に良い方向に進んでいると思います。

AMPはプラットフォームがAdobe AIRなのでWindows / Macに両対応していますが、そのAdobe AIRがローカライズされていない為、日本語には未対応です。一方で、AMPではTV番組やミュージックビデオといったHD品質の映像と音声を無料で楽しむことが出来ますが、ストリーミングのみならず、コンテンツをダウンロードしてから好きな時に好きな場所で視聴することも可能なので、使用形態を選びません。

収益モデルとしては広告収入を想定しており、バナー広告やバグ広告などが随時挿入されることになりますが、とはいえ、メディア側としては、動的な広告配信や、プレーヤーカスタマイズ、視聴回数カウント、不正コピー防止機能などが独自の裁量で実現出来る為、これまでとは違った新たなインターネットの利用価値が生まれそうです。例えば、スタンドアローンなMP3プレーヤーとして登場したiTunesが、iTunes Storeとの統合によりメディアプレーヤーとしての進化を果たすことで市場を掌握して行った様に、Flashを足掛かりにAMPが普及すれば、Joostなど世界のベンチャーが活路を模索している“テレビチャンネル”といったコンセプトもたやすく実現することが可能でしょう。そういった意味では、AMPには世界を変えるだけの力があり、AppleやMicrosoftと張り合うだけでなく、将来的にはBlu-ray Discなどのディスクメディアのライバルとなり得る可能性があります。

YouTubeで一躍その存在を知られる様になったFlash Videoですが、プレイヤー分野の本命が具体的なリリースを行い、本家本元からメディアプレーヤーがローンチされたことで、それを使った本格的なサイトも登場し始めています。メディアプレーヤーとしては後発ですが、ウェブとデスクトップの狭間を補完する目的で構築されたAdobe AIRのキラーアプリケーションとしてリリースされたAMPはブロードバンド配信を席巻する可能性を秘めており、AMPは今後10年の流通の流れを決める重要な試金石となるでしょう。今後、日本語ローカライズやFlash以外のコンテンツのサポートも予定されているので、日本のメディア企業の動きにも注目が集まります。

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