2008年05月08日 (木)

スーパーアグリ、F1撤退へ

スーパーアグリF1チームの鈴木亜久里代表は6日、都内で記者会見を行ない、F1世界選手権からの撤退を発表しました。ホンダの支援を受けて2006年からプライベーターとしてF1に参戦し、2007年にはチーム結成22戦目に当たるスペインGPで初ポイントを獲得、カナダGPではマクラーレンのアロンソをオーバーテイクし最高位の6位をマークするなど、2007年コンストラクターズランキングで9位という成績を残したSAF1のF1における活動は、この日をもってその幕を閉じることになりました。

スーパーアグリF1チームからの声明

オールジャパン体制で挑んだ夢の国産チームは、残念ながら資金難から志半ばでF1から撤退することが決まりました。思えば、当初より財政面での不安を抱え、度々資金難問題が取り沙汰されて来たSAF1。2007年にはメインスポンサーとされていたSSユナイテッドの契約不履行で経済的なバックボーンを失い、チームの地盤が急降下。窮状から脱せないまま迎えた2008年の開幕シーズンでは、イギリスのマグマ・グループとの買収交渉が99%合意に達していたにも関わらず一方的に白紙撤回され、その後、ドイツのワイグル・グループの支援に漕ぎ着けたものの、資本力不足からホンダの答えはNOという、彼らを取り巻く逆境は常に厳しいものでした。

そもそもSAF1は、バトン・ゲートのせいでホンダのシートを追われた佐藤琢磨の為にホンダが用意したサテライト・チーム。しかし、当のホンダとしては、既に100億円を超えると言われている資金援助をこれ以上増やす訳にも行かず、また、ホンダ自身の成績が低迷していた為、他チームに構っている余裕もなかった、というのが本音でしょう。そういった意味では、ホンダの都合で生まれたSAF1も、ホンダの企業としての優先順位により切り捨てられてしまったと言っても過言ではないのが実情です。ただ、カスタマーカーを前提に参戦したSAF1にとっては、本来であれば2008年シーズンから解禁された筈のカスタマーカーが様々な情勢の変化によって禁止され、2010年には完全に独立したコンストラクターとならなければならなくなったレギュレーションの改定は重く、チームを買収しようと画策していたスポンサーにも大きな影響をもたらしたであろうことは想像に難くありません。ホンダのプレスリリースに曰く、SAF1がチームの運営において財政的に自立出来なかったことが撤退に至った原因であり、鈴木亜久里代表の決定にホンダは関与していない、という弁明も、現状、参戦へのハードルが余りにも高いF1の難しさを物語っています。

結局のところ、何をするにしても夢を追い掛けるにはそれ相応のお金が掛かるものですが、F1だけは、流石に夢と情熱だけでどうにか出来る類いのものではなかったということでしょう。まともに走らないマシンを気合と根性で捩じ伏せて、ポイントすら獲得し、数々の健闘を演出することで、多くの専門家、或いは他チームからも驚愕と賞賛に預かったSAF1。企業体が大きくなってしまった本家ホンダ以上に、彼らがチャレンジングなホンダスピリッツを体現していたことは疑い様がありません。しかし、いくらサーキットに新風を巻き起こしたところで、資金が無ければどうしようもない、それが現実です。タバコ広告が禁止され、プライベーターがF1に進出するのは無謀な時代となり、100億円の予算を組んでも弱小チーム扱いされてしまう近代F1は、もはや大資本を持ったワークスチームのみが参戦を許されるスポーツであり、F1は夢と情熱を持つだけのチームでは賄えない世界となってしまっています。

或いは経営力や政治力といった部分での脆弱さから、最終的にチーム存続の道が断たれ、SAF1が終焉を迎えてしまったことについては冷静に受け止めなければなりません。しかし、多くの日本人が特別な感情を抱いていたであろうSAF1は、多くのF1ファンにとってもまた、同じだけの夢を見させてくれる存在でした。もっとまともな財政状況でチームを運営し、もっとまともなマシンに乗れていたら……と思うことは多々ありましたが、僅かに2年半のF1参戦ながら、彼らの一挙一投足には心からの声援を贈りつつも、楽しませて貰いました。最後まで日本企業の支援は得られず、ファンによる言葉や行動、また、内外からのジャーナリストの声も財界人には届かず仕舞いでしたが、これまで幾多の感動を与えてくれたSAF1チームには感謝の気持ちで一杯です。

同時に、本音を言えば、やはりどこか煮え切らない思いと悔しさがあるのも事実で、次戦から琢磨の勇姿が見られなくなるのは本当に辛い。それでも、ファンとしてはまだまだ粘り強く、彼のF1レーサーとしての行く末を見守りたいところです。とりあえず、希望的観測としては、SAF1にとっても目の上のたんこぶであったニック・フライが、いよいよ弁解の余地がない成績次第で更迭される可能性があることと、ホンダが今年で契約の切れるバリチェロに替わって、来期から琢磨にシートを与える可能性があることが挙げられます。中嶋一貴がトヨタ・エンジンで走っているのだから、ホンダも日本人ドライバーが欲しいはず。琢磨人気を後押しする世論を味方に付けることは企業戦略上も理に適っています。何より来年は鈴鹿の日本GP、聖地には琢磨をもって臨む他ありません。

リンク:
スーパーアグリ、F1撤退を発表
亜久里代表「琢磨、アンソニーに関してはこれから詰めていく」
ホンダ「スーパーアグリの決定はやむを得ない」

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