2008年06月16日 (月)

BMW GINAを発表

全身タイツを思わせるGINAは、まさに「この発想はなかった」と云わしめるほどの変態的なセンスを誇示する革新的スタディモデル。日本からは決して生まれ得ないであろうデザインであることが直感的に理解できてしまうことが悔しいですが、そこは流石に自動車を発明した国は一味違います。昨今、市販車における未来の極致とも言えるコンセプトカーでは先見性が求められていますが、それにしてもGINAの発想は飛び抜けており、ここ数年停滞していた自動車のデザインにイノベーションをもたらす突破口となるやもしれません。

BMWが革新的なロードスターのスタディモデルを発表

BMWグループは、革新的な手法を用いて製作された2シーター・ロードスターのスタディモデル、ジナ・ライト・ヴィジョナリー・モデル(GINA Light Visionary Model)を発表しました。

このモデルは、BMWグループ・デザインがGINA───Geometry and functions In 'N' Adaptions [無限に変化する形と機能の意味] と呼ぶ独自のデザイン哲学に基づいて製作されたもので、具体的に今後デビューするモデルを示唆したコンセプトカーではなく、あくまで未来のカーデザインのための研究対象であるとのこと。

それは、布地で覆われ、形が変わる車だ。

同社の『GINA Light Visionary Model』の車体は、鉄やアルミでも、カーボンファイバーでもなく、縫い目のない伸縮性のある布で覆われた可動式の金属性フレームでできており、ドライバーはその形を自由に変更することができる。

実際に動き、運転もできるこの車は、スタイリング・デザインのために作られ、ミュンヘンにあるBMW博物館に直行するもので、一般に生産されることはない。もともと、目的は実用的な車を作ることではなかった。

BMW社のチーフデザイナー、Chris Bangle氏が率いるチームは、実は6年前にGINA――「Geometry and functions In 'N' Adaptions」の略[無限に変化する形と機能の意味]――を作り上げたが、BMW社はそのことを6月10日(米国時間)まで「包み隠して」きた。

BMW「布製車体で、さまざまな変形が可能なコンセプトカー」動画で紹介

GINAの特徴は、内外装のほぼ全てを高い伸縮性と柔軟性を備えた特殊なテキスタイルの皮膜で覆っていること。皮膜は金属パネルの表面に貼られている訳ではなく、肋骨の様なアルミニウム製のフレームに支えられており、簡単に説明すれば、傘の様に骨組みの上を布地で覆っている構造となっています。また、この骨組みを電動油圧式のアクチュエーターで制御することにより、車体の形状を変更することが可能です。

Photo:BMW GINA

光を巧みに取り入れたスタイリングと、ほとんど継ぎ目の無いエクステリアは、まさに彫刻的な美しさ。しかし、まるで目を見開く様に動作するヘッドライトの点灯ギミックなど、その異様はまるで生き物。有機的なフォルムと艶かしい駆動を見て、すぐさまイマジネーションするのはバットマンカーですが、布地で覆われていてもBMWの意匠が失われていない造形は流石といったところ。ロードスター「Z8」をベースに製作されただけあって、このデザインで一般的な市販車レベルの安全性は確保されているというから驚きですが、GINAという発想をここまでの形にまとめ上げた製作チームには脱帽する他ありません。

このスタイルであれば、板金では難しいメカニズムとして、移動速度や空力に応じて外装の形状を微調整することすら可能なので、GINAをコアとすることで更に様々なアイデアが連想されます。が、一介のブロガーの見地から語るとすれば、とにもかくにもこのエロティックな質感に尽きるのでしょう。レオタードやスクール水着など、その手のマニアにも受けが良さそうです(違

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