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2008年07月22日 (火)

スクエニ、「ファイナルファンタジーXIII」をマルチ展開へ

年に一度のゲームの祭典、E3 / The Electronic Entertainment Expo 2008が開催され、Microsoftが実施したXbox 360 Media Briefingにて、PS3向けに開発が進められている「FFXIII」のマルチプラットフォーム展開が発表されました。ただし、Xbox 360版「FFXIII」は欧米のみの展開となる予定。

『FFXIII』、欧米ではXbox 360でも展開

FFにかつてのブランド力が失われて久しいとはいえ、今回「FFXIII」のマルチ化が発表されたことで、MSの本気度を垣間見ると同時に、遂にその時が来てしまったという悪寒にも似た衝撃を感じました。個人的に「FFXIII」には特に興味はありませんが、PS3陣営が誇る最大最強の独占タイトルがマルチ化されたことは、タイトルそのものの牽引効果だけでなく、今後のサードパーティの動向にも影響を与えます。コンシューマー市場への参入に際して放った「勝つまでやる」という宣言通り、悲願のFF獲得に成功したMSですが、まるでかつて任天堂陣営が味わった辛酸を舐めさせられているかの様なSCE陣営、こと「FFXIII」に関しては、日本語リソースがあるのに後々出さない訳はないので、Xbox 360ユーザーは歓喜といったところでしょうか。2008年7月14日この日は“キラーソフト”という言葉が死語になった日として記憶されることになりそうです。

メーカーの立場からすれば、特に北米市場でのXbox 360が無視できないシェアを占めている以上、マルチプラットフォームという選択は当然の決断であるように思え、現時点で出来得る最大限のパイを獲りに行くという姿勢からも、極めて合理的な判断が働いたことが伺えます。ハードの高性能化による開発費の高騰を考えれば、コスト回収の為にマルチ化するのはやむを得ない判断であり、特に和田社長が就任して以来のスクエニの経営方針を鑑みれば、今回の決定は当然の成り行きと言えるのではないでしょうか。ただ、Xbox 360向けに「インフィニット アンディスカバリー」「スターオーシャン4」「ラスト レムナント」などを相次いで投入しながら、「FFXIII」だけを売らない理由が存在しないので、現時点で国内販売の予定無しというアナウンスは、PS3に形だけの義理を通した格好となっています。しかし、商売上必要とはいえ、Xbox 360が売れている欧米のみに限られるマルチ展開に加え、「FFヴェルサスXIII」がPS3独占のままでは、Xbox 360側から見れば中途半端なことこの上なく、PS3側から見れば独占が嘘になった訳で、ユーザーのことは何も考えていないと言われても仕方がありません。

今後、スクエニがどんなゲームを発表するにしても、「どうせマルチだよね」と受け取られてしまうのは得策ではない気がしますが、それも結局は、守れない約束はするな、これに尽きます。カプコンを始めとして、出来ないなら言わなきゃいいのにが多過ぎる、利益至上主義が見え見えな後出し発表が多過ぎるが故に、メーカーのみならず、ひいてはゲーム業界そのものの信用が地に堕ちて来ている気がしてなりません。独占と謳ったソフトがマルチ化されたり、同梱版まで発売されたソフトが新要素を追加して旧世代機でリプレースされるなど、昨今はハードの競合にユーザーが振り回されている感がなきにしもあらずで、業界のやり方にうんざりしたユーザーがゲームから離れてしまわないかが心配です。たかがFF一つでこんな気分になってしまうのも、国内のゲーム産業全体が著名なタイトルの続編に頼り切った商売をしていたことが根本的な問題であるとはいえ、ソフトの取り合いで生じる疑心暗鬼の応酬にゲーム業界の明日があるとは思えず、メーカー倫理の崩壊と言っても大袈裟ではない程、無責任な公約の放言で募った不信感が、やがてゲームの末期にも繋がり兼ねない混沌とした現状を危惧しています。メーカーは利益のために信用をすり減らしていることを理解すべきで、理解しているのならそれを正すべきです。勿論、いち企業として利益を追求することは肝要ですが、ゲームはエンターテイメントでもあるので、ユーザーにもゲーム業界にも、もっと夢を与える必要があると思います。

とはいえ、今回の一件はSCEにも責任の一端があり、「FFXIII」をOnly for PS3に出来なかった彼らには呆れる他ありません。ファーストパーティの責任として、SCE自らが率先してPS3のマーケットを広げて行かなければならないのに、それが出来ずにいるところをまんまとMSに持って行かれた印象があります。それもこれも、サードパーティ任せの姿勢や、開発難易度が高い歪な本体構成など、ゲーム市場と次世代ディスク市場の覇権を奪うことばかりに気を取られて、ユーザーや開発者のことを考えなかったSCEの傲慢さが招いた結果だったのではないでしょうか。旧世代機での地位に胡座をかいていたSCE、という構図を見れば当然の帰結に他なりません。

一方で、E3でのMSの発表を見ていると、Xbox 360がお膝元で景気の良い花火を打ち上げ、本国での立場を盤石にしつつある、ということ以外の意味はあまり見出せませんでしたが、それだけに北米市場の大きさを考えると決定打にならないとも限らず、PS3やWiiでやろうとしていることのいいとこ取りをしている様な印象があったので、MSもいよいよ本気で天下を取りに来ているのだと感じました。先人の弁を借りれば、日本のゲームファンとしては、日本発のゲームソフトが日本製のゲームハードで世界中の多くの人に遊ばれて欲しい、というのがある種の夢であり、ある種の矜持的な醍醐味だったので、そういう点では今回のスクエニの決定には失望の一言しかありませんが、その傍らで、これまで「FFXIII」がPS3独占を謳って来たのは、恐らくSCEとスクエニの間で何らかの契約があったと見るのが自然で、今回の一件はMSがSCEよりも好条件を出したからこそのマルチ化なのだろうと思います。実った果実は金で奪い取るという徹底した戦略と、更には業界を焦土と化してでも勝つという強固な意志を以て、こういうやり方をされてしまうと、無尽蔵に資金を投入出来るMSには誰一人として敵わないでしょう。そういう意味ではSCEには同情を禁じ得ませんが、今は、力技で市場を独占した挙げ句、後には焼け野原しか残らないという、かつての国内のPC業界が辿った道と同じ道をゲーム産業も辿るやもしれないという危機感があり、最も恐れていたことが起きてしまったという意味では、「FFXIII」ショックの衝撃は計り知れません。

SCEに打つ手があるとすれば、何よりも地道なハード面とソフト面の充実ですが、ハードに関しては期待以上のペースと内容でアップデートされていると思うので、今後はPS3の新境地を感じさせる様な自社ソフトの開発に力を入れて貰いたい次第。幸い、最近のPS3陣営はPS初期を彷彿とさせる遊び心を持ったソフトが出始めているので、このまま継続を力として頑張って欲しいところですが、とはいえ、それだけでは今のMS陣営や任天堂陣営の勢いに着いて行くことは難しいでしょう。やはりサードパーティあってのSCEだと思うので、昨今のソフトハウスの流出にどう対処し対策するのか、SCEの次の一手を見守りたいところです。ただ、どんなに素晴らしい一手があろうとも、覆せないタイムリミットというものはあるので、策があるにせよ無いにせよ、手遅れにならない様に注意して貰いたいものです。

SCEは今、勝負の時を迎えています。この期に及んでも、HOMEのアピールに終始するとか、小手先のソフトウェアで荒唐無稽な販売目標を掲げるとか、ここでかつての任天堂の様に悠長で暢気な態度しか示せない様なら、多くのPSユーザーはSCEに失望することでしょう。盛者必衰、驕りにかまけて取り返しの付かない事態に陥らぬ様、一貫した「MGS4」の誠意を裏切らないSCEの本気に期待しています。そして、PS3のハートプラットフォームとしての夢を取り戻すと共に、出来ることならば、日本のメーカーには日本の市場とハードを大切にする気持ちを忘れないで欲しいと願うばかりです。

オリジナルストーリー:
http://sinobi.ameblo.jp/sinobi/entry-10116268697.html

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