2008年09月30日 (火)

「コードギアス 反逆のルルーシュ R2」最終回

超大国ブリタニア帝国に占領された日本=エリア11。そこに生きる二人の少年、ルルーシュとスザク。“ギアス”の力を手に入れ、世界を壊そうとするルルーシュ。ナイトメアフレーム“ランスロット”を操り、世界に理想と真実を求めるスザク。二人の対照的な生き方は、やがて帝国を揺るがす大きなうねりとなっていく───

TURN 25「Re;」

ゼロレクイエム。すべてははルルーシュとスザクの約束の為に。さらばルルーシュ、ゼロ最後の日!?さよならスザク、さらば戦いの日々そして・・・コードギアス最終回!万感の想いを胸に全力で刮目せよ!

http://www.geass.jp/

「相手の目を見て命令するだけ」で相手を意のままに操ることが出来る、時には人を殺すことさえ可能な特殊能力を持った主人公が、自らの信念に従って世界を動かそうとする。そんな荒唐無稽で過激な設定と、毎回、必ず山場を作るエモーショナルな展開で人気を博した「コードギアス 反逆のルルーシュ」も変則4クールという長き旅路を経て遂に終局。枝葉末節の部分では未消化な部分も見受けられますが、ルルーシュという少年が世界に変革をもたらす物語としては、これ以上ない完結を迎えています。

ストーリーが、主に倫理面で間違った方向に行かない為にも必要だった贖罪、こうする以外に落とし様がなかった感のある最終話は、逆に言えば予想通り過ぎて特に驚きのない帰結ではありましたが、物語としてのまとまりは良く満足度は高め。奇遇にも、話の輪郭は「機動戦士ガンダム00」と似通ったものとなっており、同じ時代に同じテーマを扱った作品が連続することは、作品の反映する世相を考える上でも興味深いものがありますが、ディテールは対照的です。

世界をまとめる為に、敢えてルルーシュが悪役を演じていた点については、想定の範疇といったところで、自らの死をその最終段階とする辺りは、これまでに背負ってきた業に対してけじめをつけて逝った印象。全ての悪意を己がその対象となりながら、責任を取って死んで行く主人公というのもあまり居ない気がしますが、公に殉ずる姿勢という意味では、彼は真に公人となったのだと思います。自ら指名してスザクの手に掛かるという仕向けは、ユーフェミアの件における彼の恨みを引き受けることで、人々の憎しみを全て引き受けるという目的を象徴しているかの様に感じられました。

また、人類の意思を統一し、人々をまとめるという意味では、ルルーシュの行為はブリタニア皇帝やシュナイゼルがやろうしていたこととも相似点がありますが、彼我の区別なく精神を融合しようとしたブリタニア皇帝や、ダモクレスとフレイヤの恐怖によって人類の思考を支配しようとしていたシュナイゼルとでは、それぞれの意志で歩み寄る地点が大きく違うところ。異なる考えを持つ人々が対話によって和解するという提案は、一期、二期の動乱を通して、そこに至るまでの過程を考えると随分と平凡ではあるものの、現実的で納得のいく結論となっており、ルルーシュの成長が感じられる解答となっていました。

一方、忘却の檻から解放されんとする贖罪の傍らでは、全権の信頼があるからこそ、その重い運命を託して、ルルーシュ自らの死をもって頸木を与えられたスザク。罰せられなかった罪に苦しんでいたスザクもまた、人として当たり前の幸せを望むことすら捨て、己の仮面を偽り続けることで、その重い十字架を全身全霊を懸けて背負うことになるのでしょう。また、盲目、即ち“ギアス”が効かないこと故の無垢から文字通り瞼一枚脱皮して、その瞳に強さを宿したナナリー。世界の憎しみを受け入れる覚悟があったからこそ、フレイアでさえもあっさりと撃ってみせた彼女の強さ、それを悟ったが故に、敢えてナナリーに“ギアス”を使い、レクイエムを迎えたルルーシュ……最愛の妹を敵に回してまで覇道を貫き通して見せた彼の真の優しさに気付かずにはいられません。

農園でオレンジ栽培というオチを付けてくれたジェレミア卿を始めとして、エピローグで生き残った人々がそれぞれの平和に与する描写は、ルルーシュのやったこと───安直に“革命”とさえ呼べるもの───が報われたことを示唆しています。それだけに、ルルーシュに罪があるとすれば、それは自身が体験してきた慟哭と死別を、最愛の妹に感じさせてしまったこと。ルルーシュの願いは、その死をもって世界を変えました。C.C.がカグヤに投げ掛けた優しいという言葉を紐解けば、ゼロレクイエムの結末が何たるかを知っていながらルルーシュを迎え入れようとしたC.C.も、ルルーシュの真意に気付くことで全てを慮ることが出来たカレンも、誰もが皆その瞳に優しさを湛えており、その意思を水鏡とするならば、それをして、ゼロレクイエム後の平定、それこそが彼らの望んだ優しい世界に違いありません。しかし、そこは一途に生きることを望んでいた彼だけが、ナナリーの幸せを一番に望んでいた彼だけが居ない世界。最後の最後に、ルルーシュの思いをナナリーが理解してくれたことが救いでしょうか。

反面、流れの上で今一つだったのは、第一期から散々引っ張ってきた父親と母親についての話がすぐに終わってしまったこと。やはり前半に比べると後半は駆け足気味だったので、尺的にも内容的にも、ブリタニア皇帝その人を含めて主要キャラがあっさりと退場してしまったことで、物語のカタルシスが尻すぼみになってしまった感は否めません。終盤で影の薄くなってしまったC.C.にも、共犯者としてもう一踏ん張りして欲しかったところ。

更にいえば、精神世界であるCの世界で一つの決着を付け、その上で現実でも落とし前を付けるという“けじめ”の二段構造は好感が持てただけに、“ギアス”関係の謎が放置状態になってしまったのは残念でした。“ギアス”とは、ただの少年に過ぎないルルーシュが世界を相手取る為に必要な“きっかけ”ではあったものの、そこに道具以上の価値はなく、あくまでも舞台装置としての機能が求められていたので、ルルーシュがスザクに殺害を依頼する場面で「希望に似ている」と言っている辺り、何故存在するかという疑問は割とどうでも良くて、手段や象徴としての“ギアス”に意味がある、とする見方は道理です。ただ、そこにSFとしての説得力があったかどうかは微妙で、動機付けとしては説明不足の嫌いが否めず、物足りなさが残ります。

しかし、結局のところ、この作品を俯瞰した時に、「コードギアス 反逆のルルーシュ」がどういう物語であったかと言えば、それは人類、国、戦争といったマクロに、個人というミクロが抗う物語、即ち、個人の意思が社会という事象そのものを動かす物語。主人公達が超人過ぎる上、“ギアス”という魔法はあるものの、「機動戦士ガンダム00」では描かれなかった、個人が社会に挑むことを奨励し、ある意味では讃歌するアニメでした。ただ、その為に、敵が味方に、味方が敵にと、思いは同じであれど世界に抗って人々の立場が流動的に変遷する。この社会が、個人の世界観と地続きであることを敢えて語らなくてはならないこの作品は、実に現代的で、暗に示唆的な作品だったと言えると思います。

総じて、ツッコミどころは数多あれど、それを踏まえてもなお十二分に楽しめるサンライズ的な娯楽アニメの典型だったと言える「コードギアス 反逆のルルーシュ」。高速展開が続く脚本、魅力溢れるケレン味の効いたキャラクター達、ガンダム以外で久々の高品質な2Dメカ戦闘、戦略描写の数々。これを変則4クールで見せて貰えたのだから、それ以上を求めるのは贅沢というもの。骨太なキャラクターと壮大なストーリー展開で多くの視聴者を魅了した「コードギアス 反逆のルルーシュ」は、受けそうな要素を詰め込めるだけ詰め込んだ結果、目が離せないという意味では退屈させない作りで、特に第2期は、スケールの広がった世界観が、キャラクターたちの群像劇をより魅力的なものにしていました。が、とにかく急展開に次ぐ急展開で、登場人物と視聴者を振り回し続けるスリリングなジェットコースターアニメでした。

物語としても、敵と味方が入れ替わる様な視聴者の予想を裏切り続ける展開を繰り返しながらも、ルルーシュが世界を作り替えようとする点においてはブレがなかった印象で、妹の為というところから始まり、降りかかる障害を排除し、遂には敵対する妹をも乗り越えて自分の命をも懸けるという動機の変化が、そのままルルーシュの成長の譚歌となっていました。ただ、やはり作品のテーマから帰納的にストーリーを構成されると、作り物感が出てしまうのが難しいところ。シンプルな筋立てをどこまで肉付けして娯楽として提供できるのかが制作スタッフの力の見せ所であり、その結果は良くも悪くもこれだけの話題性を獲得したことで報われたと言えますが、例えば富野アニメの様なライブ感は皆無だったと言えるでしょう。

リンク:
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20080820/168407/
オリジナルストーリー:
http://d.hatena.ne.jp/sevas/20080929#p1
http://d.hatena.ne.jp/knakano/20080929/

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