2009年01月24日 (土)

次世代の高速規格、USB3.0の仕様が正式決定

去る11月17日、Intel、Microsoft、Hewlett-Packard、NEC、Texas Instruments、NXP Semiconductorsら業界大手6社を中心に構成されるUSB3.0推進団体USB3.0 Promoter Groupは、USB3.0の規格策定を完了しました。

USB3.0は、現行のUSB2.0の上位規格。転送速度は5Gbpsで、USB2.0の実に10倍以上となる高速化を実現しています。また、バスインターフェースも拡張されていますが、従来のUSBとの互換性を維持しているのが特徴です。

策定完了に伴い、同規格の管理はUSB管轄団体USB Implementers Forum(USB-IF)に移管されていますが、新規格に準拠したUSBディスクリートコントローラが登場するのは2009年下半期、対応コンシューマ機器が登場するのは2010年になる見通し。

Logo:USB 3.0

大きく変わろうとしているUSBの世界

史上最も成功したインターフェイス規格と言われるUSB。遡ることインターネット黎明期の90年代、当時のインターフェイスでは不可能だったホットスワップやバスパワーに対応するなど、先進の機能を備えたUSB1.0は、シリアル端子やパラレル端子、PS/2端子などのレガシーポートを置き換える規格として、1996年に登場しました。その後、USB1.0の改良版であるUSB1.1をベースに機能を拡張したUSB2.0がリリースされますが、高速化されたUSB2.0は汎用性が高く、1.0 / 1.1で定着したインフラの優位性を活かして急速にマーケットに浸透するとデファクトスタンダードとしての地位を確立、現在の主流となっています。USB1.1でサポートされていたLow-Speed(1.5Mbps)とFull-Speed(12Mbps)に加え、新たにHigh-Speed(480Mbps)に対応したUSB2.0、そんなUSB2.0に、更なるSuperSpeed(5Gbps)を追加したのがUSB3.0の骨子です。そして、このほどインテルを中心としたメーカーによってUSB3.0規格の策定が完了しました。

転送速度…………USB2.0:480Mbps → USB3.0:5Gbps
最大供給電流……USB2.0:500mA  → USB3.0:900mA

USB3.0ではバスパワーが見直され最大供給電流が拡張されていますが、SuperSpeedという名称そのものが示しているように、最大のメリットはその超高速スピードにあります。

これまでにLow-Speed / Full-Speed / High-Speed / SuperSpeedという4段階の速度進化を辿ったUSBですが、SuperSpeedに至っては、もはや数値だけを見れば内蔵インターフェイスに匹敵するスピードを実現しており、こうなると処理のボトルネックはI/Oに絞られてくるので、この速度を十分に活用出来るデバイスが何であるかを考えることが重要になって来ます。その点、安価に出回るHDDもTBが当たり前となりつつある昨今、流通するデータも巨大なHD動画や非圧縮音源となり、コンピュータのモビリティ、デジタルハブのキャパシティは肥大化を続ける一方なので、移行期には、外付けのSSDやHDDを始めとするデータストレージデバイスは勿論のこと、デジタル音楽プレーヤーやハイビジョンデジタルカメラなどからの大容量のデータ転送に威力を発揮しそうです。

しかし、初代USB1.0と比較すると優に400倍超の速度を実現しているUSB3.0は、端子内部のピン数を増加させることで規格実装上の課題をクリアするなど、機能強化の仕組みとしては単純なインフレを指摘出来る一方、互換性を維持したまま出来ることの限界に挑戦しており、端子の形状を保ったままよくここまでの高速化を達成出来たものだと、感心せずにはいられません。相変わらず、デジタル技術の進歩はぶっ飛んでいます。同時に、Macコミューンの一員として物事を眺めると、我々はかつてのIEEE1394ことFireWireとUSBの戦いの歴史を知っているだけに、プロモーターにインテルがコミットしていることの強さを再認識せずにはいられません。

とはいえ、今日までにUSB2.0の登場から実に8年の歳月を要するなど、USB3.0の新仕様が確定するまでには長く困難な道のりがありました。おまけに、本格的な規格の普及には更に2〜3年の足掛かりを必要とするので、早くても2012年が普及元年となることを考えれば、その頃にはもう一つ上の転送速度が必要とされている可能性を考えなければなりません。発案当初は先見の明に溢れていた規格も、その後は、必ずしも戦略的なスケジュールで動いていたとは言い難い側面もあるUSB3.0は、USBに固執する余り、そもそもUSBである必要性はあるのだろうかという根本的な疑問を提起するに充分な難題をも抱えています。図らずも規格そのものの限界を露呈してしまったという意味では、恐らく、SuperSpeedをもってUSBは終焉を迎え、その後は、超高速スピードを維持したまま、安定性や供給電圧などの足回りを強化した全く別の新規格に道を譲ることになるのでしょう。

ということで、まだしばらくは製品としてお目見えすることはないので、現時点で買い控えのスパイラルに巻き込まれることはありませんが、逆に言えば、Macのライフサイクル的に、後3年登場するのが早ければと思わずにはいられないのが、いつの時代も変わらぬ世代交代へのジレンマ。いずれにしても、Wireless USBも音沙汰が無くなって久しい昨今、USB3.0には色々と可能性がありそうなので、期待を寄せずにはいられません。

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