2009年04月20日 (月)

PS3「KILLZONE 2」4月23日発売

大作のリリースラッシュで盛り上がりを見せるPS3から、フロムソフトウェア開発の「Demon's Souls(デモンズソウル)」に続き、コアゲーマーの頸木を解放する駄目押しの一手「KILLZONE 2(キルゾーン2)」がいよいよ登場。今週一押しの一本です。

Amazon.co.jp:KILLZONE 2

KZ2は、PS2で発売されたFPSタイトル「KILLZONE」、及びPSPで発売された「Killzone : Liberation」の続編に当たるシリーズ最新作。SCEE発のファーストタイトルで、開発はオランダのGuerrilla Games(ゲリラゲームズ)が担当しています。日本版のCERO区分は「D」で17歳以上が対象となっていますが、体験版では流血表現が抑えられ、一部のオーバーキル・ムーブやヒット・リアクション、部位欠損がカットされるなど、海外版に比べ若干の規制が入っている模様です。

架空の惑星“ヘルガーン”を舞台に、過去2作から引き続き、独裁国家ヘルガストと宇宙共和国ヴェクタの戦いを描く本作。プレイヤーはヴェクタの特殊部隊“ISA”のエリート集団“α部隊”の隊員となり、潜入作戦を展開して行きます。前作をプレイしていれば、より深いレベルで世界観の全貌を楽しむことが出来ますが、未プレイの場合でも、簡単なあらすじを押さえる程度で今作の理解には問題ないものと思われます。

地球を離れた人類は、多大な犠牲を払っていくつかの惑星への移住を果たし、惑星間戦略同盟“ISA”結成する。しかし、もっとも資金力を持つ惑星ヘルガーンが、ISAからの脱退を宣言し、他惑星への侵攻を開始したことで、ISA軍とヘルガスト軍の戦いが始まる。前作でヘルガスト軍の侵攻を跳ね返したISA 軍は、その軍事的脅威を取り除くべく、敵地へと進攻を開始する。しかし、たどり着いた敵地では、事前の調査を遥かに凌ぐ、圧倒的な兵力が待ち受けていた。

http://www.famitsu.com/game/coming/1222181_1407.html

当初よりPS3に最適化した開発が進められていたKZ2では、グラフィックと演出が劇的に進化。PS3ならではの映像処理能力で、美しくも生々しい戦場を再現している他、砂嵐や落雷など大規模なギミックを用いた天候の概念が戦況に影響し、攻略性に富んだ地形やオブジェクト破壊などの要素が絡み合うことで、高度な戦術性を要求しています。また、敵のAIはより洗練され、“生身”を感じさせるリアクションもダイナミックにバージョンアップ。一方、Co-Opにこそ対応しないものの、FPSタイトルには欠かせないオンライン対戦機能も充実。驚くべき“リアル”と“臨場感”を提供するKZ2では、前作までとは比較にならない規模での熾烈なミッションが展開し、更なるスリルと緊張感に溢れた戦闘が楽しめる様になりました。

E3 2005を皮切りに、PS3のローンチに合わせた各種のカンファレンスでもテックデモが大々的に披露され、次世代クオリティのグラフィックが話題を集めていたブロックバスターKZ2が、およそ4年の歳月を経て遂に登場。これまでPS3では、実機の仕様が確定する以前に発表されたデモ映像については、その後の製品スペックが事前の構想に届かなかったことや、本体構成の開発難易度の高さなどから、最終的にグラフィックスケールが劣化するケースが多く、例えばMGS4などを筆頭に、それらは実機上では到底実現し得ないモックアップ詐欺などとも揶揄されていました。しかし、KZ2では、テックデモの水準をクリアするに留まらず、それを更に上回るレベルでブラッシュアップされた驚異的なビジュアルを提示。コンソール史上最高峰のグラフィックと評されるKZ2の映像美───それは高負荷時にも致命的な処理落ちを許さない文字通りの完璧な映像美───は、PS3のポテンシャルの高さを示唆しています。

本作の肝であり、最も分かり易いセールスポイントの一つがグラフィックにあることは間違いなく、家庭のテレビでもその圧倒的なルックスは十分に堪能することが出来るので、KZ2を通じたゲーム体験は、映像美も極まればそれ自体がエンターテイメント足り得る、ということを実感させてくれます。まるで、かつての久夛良木CEOの亡霊が乗り移ったかの様な重厚長大主義的妄言を唱えることに、今回ばかりは躊躇を覚えません。

本作は欧米では既に2月末にリリースされていますが、大作と言われ続けて来ただけに発売前の期待度は凄まじく、内容が伴わなければ非常にシビアな評価が下される可能性もありました。が、海外の辛口レビュアーが、悉く、その異様な期待の高さに応える高評価で絶賛しているのも、KZ2を素通り出来ないタイトルにしている理由の一つかもしれません。

各メディアのレビューでは、それまであまり話題になっていなかった最大32人同時参加可能なマルチプレイヤーについても積極的な言及がなされており、「シングルプレイとマルチプレイのバランスが完璧」と賞賛する声が挙がるほど、いずれかの要素に偏ることなく二つのモードが徹底的に作り込まれていることが伝えられています。そこに革新性を見出すことこそ出来ませんが、価値のあるビジュアルと優れたアクション、そして、鮮烈なシングルプレイと深みのあるマルチプレイによって、KZ2の完成度は最大限にまで高められています。

システムそのものは凡庸なまでにオーソドックスなFPSである為、それが却って堅実な印象を与えるKZ2は、既存のタイトルに比べて特段目新しい要素がない分、「やるべきことは全て堂々とこなしている」といった仕事ぶりで、非常に競争力のあるパッケージに仕上がっています。FPSアレルギーを持つ似非ゲーマーにとっては、これがTPSでないのがつくづく悔やまれるものの、その壁を乗り越えてでもやってみたいと思わせるほど、強烈な魅力を持ったタイトルであることは間違いありません。多少大袈裟に言って、Halo以来の衝撃と、Call of Dutyシリーズに匹敵する実力を兼ね備えたKZ2は、PS3においてコンソールシューターを代表する地位を確立せんとする意欲作です。

PS3の世界戦略タイトルと位置付けられている本作も、残念ながら日本市場での売り上げには期待出来ないでしょう。とはいえ、その名の通りゲリラ的な色気を放つKZ2はコアゲーマーにとって見逃せないタイトルであると同時に、シューター以外にも訴求する絶大な商品力を持ったゲームであることは確かだと思います。マシン性能の極限とも言える本気のエンターテイメント体験を是非ともご賞味あれ。

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