2009年05月02日 (土)

本日のお届けもの:PS2「仮面ライダーカブト」

PS3「KILLZONE 2」を物色していたら何時の間にかPS2「仮面ライダーカブト」を買っていた……な、何を言ってるのか分からねーと思うが(略

ということで、コレクターズアイテムとしての現物確保が至上命題だった念願のPS2「仮面ライダーカブト」を今ようやくお買い上げ。「仮面ライダーディケイド」での登場が近いこと、劇場版の地上波初放送でカブト熱が爆発的に再燃したことで、物欲の衝動を突き動かされました。最近は、PS3「KILLZONE 2」効果でFPS日和が続いており、この機会にDayTripperさんを始め各方面からオススメされているPS3「Call of Duty 4: Modern Warfare」を購入しようと画策していたのですが、なんと中古市場の相場が9,000円を超過するという異常事態に陥っていることが判明。アクティビジョン撤退の影響もあり、流通在庫が少なくプレミア化しているという噂は聞き及んでいましたが、Xbox 360版だけの話だと思い込んでいたので、少々面食らってしまいました。早々に確保しておくべきだったと後悔しても後の祭りで、こうなってしまうと廉価版契機を狙うしかなく、面目ないなぁ。

Amazon.co.jp:PS2「仮面ライダーカブト」

「仮面ライダーカブト」がアクションゲームに。1対多の強いライダーを表現するために移動方法は3Dに進化。派手かつ有効な技が自動連係するセミオートと、自ら連携を決めるマニュアルの2種類の操作手続きを実装した。1人用プレイでは、ユーザーの習熟度により、ステージごとにCPUの難易度を自動調節するチューニングも実装。キャストオフによるフォームチェンジはもちろん、クロックアップによる高速バトルへの突入を再現。時間が止まるシーンもテレビ番組同様にこだわりの演出を収録した。通常のVSモード、タッグバトルに加え、デモムービーを編集してライブラリーに収録できるEDITモードや、隠しキャラクター、隠しモードも用意されている。

開発終了ギリギリの時期にお披露目されたTV本編のキックホッパーに感動して、わざわざゲーム中のモーションを作り直した、という逸話を残すなど、例年になく気合いが入っていたゲーム商材「仮面ライダーカブト」。その溢れるカブト愛故に、ワームに擬態されたデジフロ社員が開発したという賛辞をもって迎えられ、“デジフロイドの奇跡”として語り継がれる本作は、本編がもともとゲーム向きの素材だったこともあって、キャストオフやクロックアップなどのモチーフを忠実に再現し、ゲーム中における駆け引きのフックとして様式化することで出色の出来映えを実現。連打に頼らないゲームバランスと、大味な操作感がいちいち爽快で、従来の格闘スタイルを踏襲しつつも、新たに開発された3Dエンジンが高速三次元戦闘をスタイリッシュで魅力的なものにしています。

例えば、カブト&ドレイク vs 影山ザビーといった舞台装置や、RIDERCHIPSの「FULL FORCE」における“お前はもう死んでいる”感を高揚させる舞台演出、また、会心のライダーキックをフィニッシュブローとして機能させる為に必要な戦略性と、それが決まった直後に流れる“クロックオーバー”SEなど、思いがけず本編同様のシチュエーションが実現することで脳汁が噴出します。そういったロールプレイ要素、シミュレーション要素がプレイヤー次第で(ここ重要)比較的容易に実現する本作のポテンシャルは絶大。カブトの作品性を見事に使いこなした奥行きのあるゲームデザインと、サービス精神の行き届いた作り込みは、キャラゲーとしての上質な遊び応えを提供しています。

一方、アクション以外にも、天道総司、神代剣坊ちゃまによるゲーム起動時の注意事項の朗読から始まって、キャラ同士の掛け合いや、“サバミソパワァ”といった本編の洒落っ気をそのまま抽出してしまった新録マシンボイス、ローディング画面でのゼクターバトルなど、あらゆるディテールに配慮した仕上がり、思わずニンマリしてしまうファンディスクとしての懐の深さは、カブトファンにとってまさに天の道を往く神ゲーに他なりません。

作品性の再現という点では、例えば、ライダーゲーと近似した傾向にある格闘スタイルのアクションシミュレーションでヒット作を連発しているドラゴンボールシリーズは、古くはSFC「超武闘伝2」から始まって、幾つかのエポックメイキングな作品を世に送り出していますが、仮面ライダーとは比較にならないほど巨大なワールドマーケットを形成するそれらの戦略タイトルに匹敵するほど、PS2「仮面ライダーカブト」のライダーゲーとしての出来映えは群を抜いており、キャラゲーとしての優秀さが際立っています。

反面、数多の要望の声も虚しく、結局、完全版が発売されることはありませんでしたが、例年にないフィードバックの多さは本作の素性の良さを物語ると同時に、裏を返せば、まだまだ改良の余地があるということを示しています。視聴者の年齢層から来るターゲット設定の曖昧さ、難しさもあって、本作は決して完璧なゲームではありません。しかし、発売時期の関係から収録キャラ数に限界があり、ストーリーモードが単調にならざるを得ないこと、また、ハイパーカブトのハイパーキックが未収録で、ダークカブトのキャラクター設定が本編とは異なること、そういった未消化な部分を差し引いてもなお、CD-ROM媒体である割には充分なボリュームがあり、多少の粗には目を瞑ってもそれを補って余りある面白さに酔いしれてしまう、それがPS2「仮面ライダーカブト」の商品力です。

ただ、それだけの充実した内容を誇りながら、約4万本と例年並みの販売実績しか残せなかったことが企画の縮小を招いたのか、将又、マーケティングの都合上、あらかじめプロジェクトの打ち切りが決定していた為に、最後の花火とばかりにここまで気合いの入った作りになったのか、その前後関係を知る術はありませんが、結果的に、平成ライダーゲーの集大成を提示した本作を最後に、ライダーゲーのコンソールへの展開は一時的に中断することになりました。

そして、平成仮面ライダー10周年の今年、PS2「仮面ライダー クライマックスヒーローズ」の発売によって、いよいよ3年ぶりに量産型ライダーゲーが復活の狼煙を上げます。が、カブト以前の疑似2Dスタイルに戻ったゲームフォーマット、頭数を揃えられなかったライダーラインナップなど、発表当初の期待感をよそに、新情報が明らかになるにつれて不安ばかりが募る今作には、正直、希望が持てません。3年ぶりのライダーゲーであることと、平成ライダー10周年のお祭り感、また、内容、視聴率共に好調な「仮面ライダーディケイド」本編との相乗効果によって、終息しつつあるPS2市場においてもそれなりの販売実績は残すものと思われますが、こと品質に関しては、例年通りのバンナム・クオリティに軟着陸すると予想されるクライマックスヒーローズにとって、超えるべきハードル<カブトの壁>は高く厚い。

罪は一度でも良ゲーの味を知ってしまったこと。銘打てのユーザー体験が後に、クリアすべきライダーゲーの基準が引き上げられた状態にある私にとって、これといって目新しい要素のないクライマックスヒーローズに“後戻り”するのは辛く、その手に“未来を掴む”ことは難しいと感じられます。

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