2009年06月04日 (木)

SCE、UMDを廃止した「PSP go」を正式発表

並み居る強豪を押し退けて、神谷英樹ディレクター最新作「ベヨネッタ」の、まさに別格と言える次世代アクションの圧倒的なインパクトに興奮し、カプコンの期待作「ロストプラネット2」のPS3版リリースが確定したことで安堵の溜め息を漏らしたE3 2009。ニュースバリューに事欠かず、比較的収穫の多かった今年のE3ですが、そんな中、SCEからは大方の予想通り、今後のPSP、及びPSN展開を占う上での分水嶺となるバリエーションモデル「PSP go(PSP-N1000)」が発表されました。直前に漏洩した内容を含め、あまりにもリークが多かった為、プレスカンファレンスでのお披露目も目新しさに欠けた感が否めません。

Photo:PSP go

ディスプレイ下部に操作ボタンを収納したスライド機構を採用するなど、従来のPSPからボディ構造に大幅な変更が加えられた「PSP go」は、UMDドライブを廃止することで小型化、及び初代比で40%、PSP-3000比で約20%の軽量化を図ると共に、16GBのフラッシュメモリを内蔵。これに伴い、液晶ディスプレイは4.3型から3.8型に縮小されています。また、外部ストレージにメモリースティックマイクロ(M2)を採用するほか、新機能としてはこれまでの無線LANに加えてBluetoothにも対応しました。本体の概要は流出情報ほぼそのままで、事前に噂されていた通りのものとなっていますが、「PSP go」は既存のPSP-3000を置き換えるものではなく、当面の間は従来モデルも併売されることになります。

なお、SECでは、これに合わせてPlayStation Networkなどネットワークを生かしたコンテンツサービスへの対応を強化しており、「PSP go」向けの新作タイトルはダウンロード販売にて提供されることが想定されています。「PSP go」は、欧米では10月1日に、日本では11月1日に26,800円で発売予定。日本向けにはピアノ・ブラックとパール・ホワイトの2色が展開されます。

ハード的な特徴はUMDレスなこと、見た目のポイントは何といってもスライド式のボディ。AVプレイヤーとしてのポテンシャリティを維持しつつ、ネットワークコンテンツへの本格的な対応を加速させることで、従来の“ゲーム機+α”的なパッケージングを更に押し進めた、iPhone時代のデジタルガジェット実現に向けた地均しを狙う「PSP go」は、PSP2世代を見据えたバリエーションモデルというよりは、パッと見では外観も含めてmyloの後継機的な何か。しかし、全体的に「あれ?」といった雰囲気で、そのネーミングも含めて、これまで以上にSCEの意図が読めないデザインに仕上がっています。

単純に見た目の問題で言えば、全体との調和が取れていないアンバランスなビジュアルパーツが妙に安っぽく不気味で、過剰なRに対して無駄に異質感のあるディテールが大味な印象を与えており、野暮ったさに拍車を掛けているのは間違いありません。液晶周りのプラ素材表面が波打っていてムラがあるなど、モックアップの成型精度の低さも「PSP go」の印象を悪くするのに一役買っていますが、「PSPは美術品」とまで豪語していた久夛良木時代からは懸け離れた造形で、ある意味では合理性のない非常にエモーショナルなデザインだと感じます。

まぁ、見た目は所詮好みの問題でしかないので譲るにしても、一方では、UMDレスで内蔵ストレージが16GBというのは強気に出たなという印象。また、PSPのコンセプトにあって液晶の小型化は致命的な失策ですが、その割に操作時の保有スペースは大きくなっているので、かなりの部分で操作性が犠牲になっているものと思われます。方向キーの辺りで本体をホールドすると重量バランスがかなり悪くなりそうですが、手元が窮屈な上にL/Rボタンにも干渉するので、梃子の逃げ場が無さそう。加えて、アナログパッドの位置があまりにもヒドい。モンスターハンターがまともにプレイ出来ないボタン配置の時点で、国内における携帯ゲーム機としての存在意義は終わっている感じがしますが、スライドを閉じた状態で操作出来るボタンはL/Rボタンだけなので、メディアプレイヤーとしてもアウト側に振れている気がしてなりません。

PlayStationの名を冠しながら、特徴的なL2/R2ボタンが無く、右アナログパッドも不在。画質や通信よりも、“アナログスティックを一本付け加えただけのGAME BOY”と変わらない操作性が、何よりもPlayStationとしての“遊び”を制限してしまっています。PSPのゲーム機としての不満点が一切解消されないどころか、むしろ改悪されている「PSP go」は、かといってメディアプレイヤーとしてもどうなのかといったところなので、ゲーム機として売りたいのかメディアプレイヤーとして売りたいのかよく分からない中途半端なポジションに収まってしまっています。

とはいえ、場所と電池を食う上に、滅法遅いUMDスロットを非搭載にした点は評価すべきです。予想通りとはいえ、UMDレスは流通市場にとっては爆弾に違いなく、デメリットを無視することは出来ませんが、将来的なPSP2への移行を踏まえれば、UMDとの直接的な互換性を切り捨てることは妥協点としてやむを得ず、特に内蔵ストレージを搭載することで携帯ゲーム機としてのユーティリティを最大化せんと目論む「PSP go」にとっては、メディア廃止の方向性を具体的に打ち出したことは英断だと思います。しかし、そうなると「結局、UMDってなんだったの?」という気がしてしまいますが、そこはソニーのお家芸でありご愛嬌といったところなのでしょう。

メディアが無ければ国境を跨いだ流通事情にも左右され難く、コピー/中古対策も比較的容易。理想論としては、ユーザーにとっても良いソフトがより安く遊べるのであれば歓迎しない理由はないので、メーカーに適切に利益が還元され、ゲーム環境が今より快適になるのであれば、ディスクレスの方向性はゲーム産業にとっても悪いことではないと思います。

一方、ソニーにとって「PSP go」は、どちらかといえば先を見据えた実験的投入の意味合いが強く、例えば、ある側面では「PSP go」は来たるべきPSP2に向けての「DL販売の可能性」を探る為の観測気球であり、DL販売が受け入れられるかどうかのリサーチャー的な役割を担っていると考えられます。そこには、いきなり利益を出すことは難しいかもしれないがやってみよう、という打算を突き抜けた挑戦的な気概すら感じられるので、最近のSCEのアグレッシブさを買っている人間としては応援してあげたい気持ちですが、こと「PSP go」に関しては前のめりにこけそうな気がしないでもありません。

最大のネックは価格でしょう。実際には、BluetoothやM2、フラッシュメモリの搭載など見るべき点はありますが、携帯ゲーム機としては「廉価スペックでまさかの値上げ」である事実が大きいので、「UMDを廃止したPSP-3000」としか見られないのであれば、販売的には厳しいと思います。価格を維持する為にストレージ容量を削るべきではないので、トレードオフの結果としての値上げはやむを得ませんが、それも本体のスライド機構そのものがコスト高になっているとすれば本末転倒。いずれにしても賛否両論を巻き起こすことは間違いなく、何時にも増してネタ的に盛り上がりそうなハードです。

リンク:SCE、UMDを省き小型化した「PSP go」を発表

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