2009年08月21日 (金)

Go Back to Carbon Copy Cloner

アンペア不足から頻繁にブレーカーが落ちる我が家では、かといって高価なUPSを導入する訳にも行かず、外付けHDDの電源を常時投入しておくことが不可能である為、Time Machineを利用してMacのデータをアーカイブすることが出来ません。従って、昔ながらのアナログな方法で、即ち、バックアップツールなどの専用のユーティリティを用いて個別にバックアップを保存する必要があります。バックアップツールを使用してMacのクローニングを行う方法は、キャッシュ回りのトラブルが頻繁に報告されているTime Machineに比べて、確実性や信頼性の面では歩があるものの、やはり余分な手間隙が掛かることは否めないので、操作面での障壁を取り除きながら、最低限の導入コストで出来る限り簡単に行いたいものです。

その点、「SuperDuper!」は、クローニング、差分バックアップ、項目の個別同期、スケジューリング等々、必要最低限の機能をコンパクトにまとめながらトレンドに満遍なく対応し、かつ、Macにおける主要なバックアップユーティリティの中で最もコピー精度が高いと評価されたこともある高度な信頼性を兼ね備えており、Mac OS Xにおけるバックアップツールの理想型の一つであると言っても過言ではありません。

従来はこれをレジストしたフル機能版を愛用していましたが、ただ、最近は目立ったアップデートが無いことに加えて、Leopardとの相性がイマイチなのか、どうにもPanther時代ほど使い勝手が宜しくない。具体的には、バックアップ完了時にアプリケーションが終了せずにクラッシュしてしまったり、バックアップの所要時間が極端に長くなるなど、HDDの不具合さえ疑ってしまう様な不安定な現象が頻発し、ストレスが溜まっていました。その為、猶予期間を設けて「Carbon Copy Cloner」を併用していたのですが、ramhorn05jとしては「SuperDuper!」をプッシュしていた手前もあるので、この度、メイン環境のバックアップツールを「Carbon Copy Cloner」に一本化したことを改めて報告させて頂きます。

ScreenShot:Carbon Copy Cloner

ユーザー心理としては、それが一介の有志が行ったサンプル調査でも、一定の俯瞰性を持った“検証データ”というものを突き付けられると、敢えて意識的な動機付けを行わずとも、少なからず影響は受けてしまうものです。


http://blog.plasticsfuture.org/2006/03/05/the-state-of-backup-and-cloning-tools-under-mac-os-x/
http://blog.plasticsfuture.org/2006/04/23/mac-backup-software-harmful/

例えば、「SuperDuper!」に関する「Macにおける主要なバックアップユーティリティの中で最もコピー精度が高い」旨の比較資料については、新・Mac板:【コピー?】データのバックアップ【クローン?】4にも参考になる書き込みがあります。ただし、該当のログは2007年のものであることに加えて、ソース自体が2006年時点のものと情報が古いので留意が必要です。


が、現在のMac OS Xで、バックアップエンジンの違いによるコピー精度の差異やデータの整合性にそこまで神経質になる必要はないと思っています。乱暴に言ってしまえば、厳密にメタデータやフラグの再現性にまで気を遣うよりは、速度や使い勝手の方が重要です。dittoにしろpsyncにしろ、そのコマンドが実現する仕組みにおいて、同期自体に齟齬が発生することは稀であり、それほど、コピー処理の正確性という部分において極端な差は生まれません。単純にクローニングを目的にするのであれば、それこそ「ディスクユーティリティ」からディスク内容の復元を実行するだけのコストを掛けてやればいい話で、わざわざバックアップツールを利用するからには、専用アプリケーションならではの利便性を追求しなければ意味がありません。

「Carbon Copy Cloner」の価値は、Mac OS Xらしさと言い換えてもいいシステムとの相対的な親和性の高さにあると感じています。こちらもソフト開発におけるスピード感の無さには定評がある「Carbon Copy Cloner」ですが、バージョン3系に関しては、世間が「SuperDuper!」に執心している間にも地道なアップデートが重ねられていた様子で、現行バージョン(v3.2.1)は2.x時代とは明らかにソフトの仕上がりが違っており、非常に安定感のある、ある意味ではエレガントでさえあるアプリケーションに進化しています。日本語にローカライズされたフロントエンドは、シンプルさを保ちながらもより直感的に再整理されており、クローニングを強力にサポート。拙環境では、「SuperDuper!」に比べて全体的にバックアップに掛かる時間が短く、フルバックアップ時には3時間27分→1時間38分と、最大で50%ほど所要時間が短縮されたのには驚きました。副次的な効果として、CPU負荷も気持ち軽めなのがポイントです。

起動ディスクのクローニングは勿論のこと、差分バックアップやスケジューリングにも対応しており、ドネーションウェアにして「SuperDuper!」とほぼ同等の、恒常的なバックアップに必要充分な機能が揃っています。最小限の手順で高速な処理を実行出来る「Carbon Copy Cloner」は、Time Machineの欠員分をカバーし補完するのに最適な、効率的な運用を提供します。

今回、一世代ぶりに返り咲くも、あまりのご無沙汰ぶりに思わず見違えてしまった「Carbon Copy Cloner」ですが、定番には定番なりの理由があるということですね。無難という言葉がこれほどしっくり来るアプリケーションもありません。作りの確かさを再認識しました。

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