2010年06月02日 (水)

Movable Type 4にアップグレードしました

げふー。連日の擦り合わせ作業で疲労困憊。といっても、コメント制御用のJavaScriptテンプレートの更新や(mt-site.js→mt.js)、“コメントスパム識別用のチェックボックス”を“Captcha”に置き換えた以外は、コメント完了ページの整形やmt-config.cgiの見直しなど最低限のものだけを調整して中身はMT3のまま。なので、「最近のコメント」セクションで使用する<MTEntries>タグにおいてrecently_commented_onモディファイアが機能しないバグや(limitモディファイアを同時に指定することで対処可能)、

<MTEntries lastn="3" recently_commented_on="3" limit="15">

コメントフォームのCookieがロードしない不具合など(未解決)、流石に細かい問題はあって頭を抱える。ただまあ、目立って致命的な障害は無く、コアの部分は平常に動作している様子なので、MT4への最適化は追々やって行くしかありませんね、追々。

ということで、Movable Type 3.37からMovable Type 4.27へのアップデート作業を完了しました。このエントリは最終的な投稿確認も兼ねています。

Logo:Movable Type 4

概要としては、データベースには引き続きSQLiteを使用し、PHPモジュール構成や

といった数少ないプラグインはそのまま継承。また、前述の“コメントスパム識別用のチェックボックス”を有効にする為の確認用スクリプトや、検索フォームにおいて全角スペース入力を半角スペース入力に置換するパッチなど、アプリケーションディレクトリに直接カスタマイズを施していた項目は全て破棄。その上で、アップデート作業は旧バージョンのインストール行程を踏襲する形で、アプリケーションディレクトリを丸ごと入れ替える方法で行いましたが、今更、MT3からMT4へのアップグレード指南もないと思うので、ここでは公式マニュアルMovable Type ドキュメントと併せて参考にした情報を挙げるに止めておきます。

さて、一週間ほど触ってみた感想ですが、MT3に比べるとMT4は全体的に懐が深くなっているので、その分、トルクを感じさせる挙動というのか、動作のいちいちに安定感があり、頼もしくさえ感じられるのは嬉しいところ。ダッシュボード(管理画面)の重さは相変わらずですが、一方で「よりよく、よりたくましく、より速く」を謳うだけあって、肥大化したシステムを単純に肥えさせるだけではない丁寧なオーバーホールはクリティカルなパフォーマンスを向上させていて、目測ではサーバー負荷も軽減しています。具体的なポイントとしては、再構築の所要時間が最大で約75%ほど短縮されたほか、検索においては、“100倍のスピードアップ”も些か誇張ではないと感じられるほど、体感速度は目に見えて速く、即答に近いレスポンスが得られる様になりました。これはラッキー。

とはいえ、実はこの間、個人的にはWordPressへの乗り換えを結構本気で検討していました。純粋なブログツールではなく、プロプライエタリなCMSとしての進化を模索するMTの重装化は、ライセンス問題の曲折なども含めて、ブログオーナーの間ではネガティブな性格の話題として取り上げられることも少なくなく、私にとってもそれは必ずしも望むべき方向性では無くなっていました。スタティックなサイトの生成には欠かせない再構築も、未だにその呪縛からは逃れられず、システムの軽さであるとか、アップデートを確実かつ簡単に実行する方法の提供であるとか、そういった囁かな要望からは懸け離れている印象を持たざるを得ないのが実情です。

しかし、いざ乗り換えを挙行するとなると、これまでに培ったリソースを放棄して全てを一から勉強し直さなければならず、特にプログラミング言語であるPHPをある程度齧らなければならない敷居の高さと、日本語圏でのサポート体制の有無などを諸々鑑みる必要があり、最終的には二の足を踏んだというのが一つ。それを踏まえた上で、MT5ではSQLiteがサポートされなくなった為、現状で暫く様子を見るのが無難だという結論に達し、これに至ります。

ただ、それも突き詰めれば、Six Apartへの好感度とMTへの愛着を前に、(現時点では)WPの魅力もそれを覆すだけの訴求には至らず、と言い換えることが可能なので、結局、決定打となったのはCMSとしての思想の違いかもしれません。

例えば、WPの特徴は野放図とさえ言えるワイルドな拡張性にあって、本体は極力シンプルなコアを用意するだけ、後はGPLなフリーソフトウェアコミュニティがモジュールそのものを継ぎ接ぎしながら好き勝手にやる、それも開発方針からしてそういうアーキテクチャを目指している、と大雑把に言えばそんな印象を持っています。裏を返せば、全体としてのまとまりが無く、膨大なプラグインは玉石混淆で、それ故にセキュリティホールやコンフリクトを回避しながら上手く使いこなすにはコツとテクニックが必要であり、その為の情報もあちこちに散らばっていて……何やら全貌の掴めない得体の知れないCMS、そんな風にも言えるかもしれません。

その点、MTは固有の製品であり、Six Apartが包括的な方向性を打ち出すことで、それに沿った拡張エレメントが構築されて行く、ある程度統制されたプラットフォームであるという認識で一致しています。こと、あらかじめ一通りの機能が備わっていて、これ一本で自己完結出来るCMSという部分では、マトリクスが明らかであり、同時に一定の規律に則った最適化を探る方法が用意されているMTのアプローチは、安定環境における整合性、汎用性を指向するパッケージの在り方としては盤石。実際には、こうしたビジネスユースを想定した基本要素から構成されるMTの前進と、それがコンシューマ市場へもたらす恩恵はブログパブリッシングにとっても確かなメリットであり、垂直統合型のCMSとして完成度を高めるMTの思想は、WPやJoomla!といった競合に対する選択肢としても充分に妥当なものだと思います。

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