2010年07月03日 (土)

PS3「KILLZONE 3」正式発表に寄せて

絶賛お楽しみ中のファイナルファンタジーXIIIは、累計プレイ時間が95時間を超えた辺りで亀狩り(ガチ狩り)に突入。セーブ&ロードを繰り返しながらバンバン狩ってるけど、全然お金貯まらないよ!

さて、今年もE3が無事閉幕。新型番PS3やPSP2など、事前に噂されていた新ハードの発表が無く、また、同じくPS3におけるXMBのリニューアルやLinux互換の復活も無かった為、日本向けのニュースバリューには事欠けたSCE陣営ですが、全く収穫が無かったかと言えばそうでもありません。

今回、SCEはかなり思い切ったやり方をしたと思います。E3開催前に自社の目玉ソフトを連続して発表した上で、本番でのサプライズは、これまでPS3に毒を吐き続けて来たValve Softwareを迎えてのPORTAL 2。SCEの次期主力タイトルを前座に据えてゲイブ・ニューウェルを立てたという印象すら受けましたが、ここまで大胆な演出を行えたのも、裏には強力な新作が控える層の厚み、それも独占コンテンツを数多く揃えることが出来た自信からだと思います。

LittleBigPlanet 2、inFamous 2、Motorstorm Apocalypse、そしてTwisted Metalと、会期に照準を合わせたSCEのタイトルラッシュはまさに怒涛。E3は、それら新作ラインナップの感触を確かめるには充分な機会でした。そして、その中でも個人的に最も楽しみなタイトルがKILLZONE 3に他ならない、という訳です。

Image:KILLZONE 3

概要

PS2からPSP、そしてPS3とハードを跨いで展開されているKILLZONEシリーズは、SCEA Santa Monica Studio、Naughty Dog、Insomniac Gamesなどと並ぶ変態技術者集団、Guerrilla Gamesが開発を手掛けるオリジナルFPS。中でも、PS3におけるグラフィック・ラッシュに先鞭を付けたフェイバリット作品KZ2は、ハイクオリティなビジュアルと高度なAIが高い評価を受けました。直接の続編となるKZ3では、スカラー・ヴィサリ没後の惑星ヘルガーンを中心とした世界情勢とヘルガストの文化が描かれます。

KILLZONE 3のディテール

3D立体視に対応し、KZ2の10倍とも言われるスケールアップを果たす本作では、特に演出面での進化が評判を呼んでいる様子。KZ2以上にシネマティックな演出が盛り込まれたストーリーテリングと、ドラマティックなギミックを満載したステージが、極めて質の高いゲーム体験を約束しています。

特に、前作ではいわゆる通路的なシチュエーションが多かったことを踏まえ、KZ3ではプレイスタイルに大きくバリエーションを増やすことを目的としたテーマが掲げられており、これまで直線的だったゲームデザインに対して、複数の経路を用意したステージ環境を構築することで、前作の10倍にも及ぶスケールのレベルが実現されたことが明らかになっています。

また、マルチプレイヤーの遊び易さにも改善がもたらされることが明言されており、前作からのフィードバックを元にアクセシビリティの見直しを行うこと、そして、マルチプレイを実に「KZ3の半分を占める要素」と位置付けることで、大きくテコ入れが行われることがアナウンスされています。

一方、当然の様にGuerrilla Gamesに期待される技術的な部分では、Uncharted 2、God of War III以降のPS3タイトルとして、ハードウェアのパフォーマンスを100%引き出すことに自信を見せており、ここ(プレαコード)から更に圧倒的なブラッシュアップを目指すとのこと。美しさを増したグラフィックスと更に賢くなったAIが自慢のKZ3、その確信は一層揺るぎないものになっていると感じます。

展望

ということで、個人的にKZ3には本気で期待しています。例えば、前作KZ2をビジュアル面で際立たせていたのが美麗なライティングですが、本作では、そこにポリゴンのディテールアップやテクスチャ解像度の向上が加わり、より一層隙の無いものになっている印象です。これでも基礎が出来ているKZ3では、ゲームエンジンを一から作っていた前作に比べて開発期間が大幅に短縮されているのがポイント。とはいえ、私はKZ2について、“ビジュアルだけのゲーム”という評価には加担しません。

確かに、KZ2のゲームスタイルはFPSとしては凡庸なまでにオーソドックスなものですが、システムに目新しさが無い分、映像と音楽による臨場感や重厚な操作感、イマジネーションを刺激するオブジェクトデザインなど、“体感するゲーム”総体としての完成度が極めて高く、一貫して正統派な大作感を味わえる点に持ち味があると言えます。また、キャラクターや世界観に独自の魅力があり、人狼にインスパイアされた設定も今やオリジナリティとして昇華され、洗練されたアイデンティティを確立するに至っているのが強みです。ただまあ、Call of Dutyの様なライバルタイトルに比べると、猛烈に地味というかストイックというか、マニア受けする世界であることは否定しませんで、あのシックな雰囲気が逆にいい味を出しているとも言えますが、思わずグっと引き込まれるようなインパクトのある感動体験や、物語の深みといった部分ではアピールが弱かったと思います。

そういった意味では、KZ3がそれらの要素を補う方向で動いているのは、善し悪しは別として、一つの方法論としては理に適っているのではないでしょうか。KZ2の渋い世界観が好きだったプレイヤーからすれば、ちょっと不安な方向に進んでいる様な気がしなくもありませんが、その辺りは、ゲーム体験が幾ら派手になっても、「丁寧でいい仕事」に定評のあるGuerrilla Gamesが職人芸を放棄することは有り得ないので、多分、大丈夫……というか、実際問題としてどうとでもなると思います。

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