2011年01月26日 (水)

Movable Typeの黄昏

広告ネットワークのVideoEggが、メディア事業に転換しつつあったSix Apartを買収し、SAY Mediaという新会社を立ち上げたのが昨年のこと。これを受けて、シックス・アパート日本法人は社名変更なく既存事業を継続することを発表し、既に日本法人が主体となって開発されていたMovable Typeなどの製品・サービスの販売、サポートはこれまで通り継続して実施することがアナウンスされましたが、このほど、当該のシックス・アパートが新体制へ移行することが発表されました。

2011年1月21日、米SAYメディアはシックス・アパート日本法人の全株式をインフォコム社に売却することに合意しました。同時に、米SAYメディアが保有するMovable Typeの知的財産権やSix Apartの商標権などを、シックス・アパート日本法人に売却します。またTypePadについては、今後もSAYメディアが知的財産権を保持し事業を続けますが、日本国内に関してはシックス・アパートが引き続きライセンス販売やサービス提供を継続します。新体制のスタートは2011年2月1日を予定しています。

【重要発表】 シックス・アパートは2月1日に、新しい体制に生まれ変わります!

早い話が身売りであります。Web 2.0の先駆けとなった今日のブログの普及も、全てはMovable Typeから始まったと言っても過言ではありません。しかし、米国での生存競争に敗れ、WordPressなどの競合を排して、独自に市場を切り開く体力も技術的優位もないことがハッキリしたMovable Typeの没落は早かった。ベンとミナのSix Apartが消滅し、あれよあれよという間に日本のドメスティックなCMSになってしまったMovable Typeには隔世の感慨を覚えずにはいられません。

コミュニティに打撃を与え紆余曲折したライセンスの問題、バージョンを重ねる度に鈍重になるパフォーマンスの問題。Movable Typeが主流から転落した陰には様々な要因がありましたが、一度アテンションを集められなくなると、そこから盛り返すのは至難の業。この業界で「新しい体制に生まれ変わる」という時、それは大抵がかなりの末期であることが多く、シックス・アパートが今後どのような青写真を描くにせよ、この先2〜3年が勝負となるでしょう。

主立った事業戦略として、法人向けCMSに位置付けられる日本の商売、パッケージを海外に持ち出すという見方がありますが、方法論としては悪いことではないと思います。ガラパゴスでの奇形進化を期待するのも一興でしょう。ただ、そうなった時に、もはやMovable Typeのターゲットは個人ではなく、それはMovable Typeで食べているプロの為のシステムであり、個人が新規に手を出すものでは無くなります。そういう意味では、やはり「僕らの愛すべきMovable Type」の時代は名実共に終焉を迎えたのだと思います。

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