2011年06月19日 (日)

YAMAHA RX-V471トライアル

ということで、MDT231WGを使用する場合は、別途外付けのアンプを用意する必要があるので、幾つか候補を物色。拙環境では、PS3を中継してヘッドホンに出力できれば良いのですが、既にソニーのSTR-DH710で失敗している教訓から、条件はサラウンド機能があること。また、MDT231WGのヘッドホン出力は、耳障りなノイズを除けば音の鳴り方自体は微妙に馬鹿に出来ないところがあるので、価格なりの音質も追求したい。

最も簡単かつ定番の方法は、ビクターのヘッドホンサラウンドアダプターSU-DH1を利用すること、もしくはソニーのサラウンドヘッドホンMDR-DS1000やパイオニアのサラウンドスピーカーPS-W1に付属のプロセッサー/トランスミッターユニットを流用すること。しかし、現在SU-DH1は生産完了品であることに加えて、過去に一度、MDR-CD2000との組み合わせで試用した時には充分な満足感が得られなかったことを考えると、SU-DH1よりも更にコストが安いMDR-DS1000を選択肢にするのは難しい。

一方、AVアンプ(AVレシーバー)の場合は、各社の製品で一部バーチャルサラウンド機能を備えたものがあり、主立ったところでは

  • ソニー:ヘッドホンシアター / Virtualphones Technology(一部機種に搭載)
  • パイオニア:フォンズサラウンド
  • ヤマハ:サイレントシネマ
  • デノン:オリジナル
  • マランツ:ドルビーヘッドホン*(一部機種に搭載、ディスコンの可能性)
  • オンキョー:DTS Surround Sensation*(一部機種に搭載、ディスコンの可能性)

といった対応状況の模様。

サラウンド評価ではドルビーヘッドホンに一日の長があるようですが、マランツでは最下位機種に該当無し。また、「廉価モデルでも“それっぽい音”が聴ける味付け」という点ではソニーの音響は好みなのですが、こちらも残念ながらエントリーモデルには該当無し。となると、自ずと選択肢は限られて来ます。HDMI対応のマルチチャンネルインテグレートアンプの入門機としては、パイオニアのVSX-821、ヤマハのRX-V471は価格でも性能でも横一線といった感じですが、違いがあるとすれば高音質アピールが明確なVSX-821と、省エネ・バランス型のRX-V471といった感じか。

Amazon.co.jp:RX-V471

して、ブランドとしてはサラウンドヘッドホン分野で実績のあるパイオニアに惹かれるものの、VSX-821は415Wという消費電力がちょっと怖かったので、今回は音場プログラムも充実しているヤマハのRX-V471をチョイス。

一通りの音源を試してみてはいますが、正直、バーチャルサラウンド機能は期待していたほどのものではありません。音場プログラム「シネマDSP」に関しては、定位を明確にするというよりは、自然で広がりのある緩やかなサラウンドを形成する音場効果ですが、包囲感はなく、音が遠いというのか、あまり抜けが良くなく籠りがちな音響であることに加えて、低音寄りのバランスなので、全体的に解像感がなく音像がぼやけてしまいます。ものによっては酷い残響効果でディテールが崩れるので(「風呂場の反響音」と評していた先人もいましたが、言い得て妙です)、利用シーンが限定される点にも留意が必要でしょう。

尤も、音場効果を掛けないサラウンドデコーダーでPCMを再生した時の音は、派手さこそ無いものの流石にある程度しっかりしているので、各種のステレオ〜マルチchソースをSTRAIGHTデコードで楽しむ限りでは、音質自体は申し分無し(音楽ファイルの場合、PS3側で出力周波数を44.1 / 88.2 / 176.4 kHzにアップサンプリングしていると、ドルビープロロジックII、ENHANCERはOFFになります)。エージングが進むにつれてネガティブな印象も多少は薄れて来ました。

スッキリと整理されたデザイン、ユーティリティに優れた機能、使い易さに関しては概ね満足なので、実売4万円以下の手頃なAVアンプとしては及第点の製品といったところでしょうか。

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