2011年07月21日 (木)

Marantz NR1601トライアル

まず、今回マランツを購入するに至ったのは、ヤマハのRX-V471に合点が行かず、ドルビーヘッドホンの瘴気に当てられた為。

誤算の始まりはMDT231WGですが、それを契機に「どの道厳しい出費には変わりないから、場合によっては今のRX-V471を下取りに出して、いっそメーカー行脚ならぬ候補別の機種に乗り換えるかも」などという緩い気持ちが芽生えてしまい、芽生えたが最後自制が決壊し、それからというもの散財続き。「ああ……今回も失敗だった……」と買っては売っての繰り返しで、本当に酷い買い物の仕方をしています。物欲の暴走というよりはビョーキに近い。発作すなぁ。

例えば、その内の一つが、家族用のAVセットとしてリビング向けに物色していた廉価ホームシアター。PS3サラウンドサウンドシステムから始まって、パナソニックのSC-HTB520-K、オンキョーのHTX-55HDXなど幾つかのモデルの仮設を試みていました。そのどれもが決め手に欠け、思う様な満足感は得られませんでしたが、ポジティブに考えるとすれば、結果的にはそれらの経験が今回各種のAVアンプを吟味する上での評価軸(参考値)として生きています。ホームシアターに関しては、住環境的に5.1chが組めないからといって、下手な2.1chフロントサラウンドシステムに逃げるよりは、中央にAVアンプを置き、ステレオスピーカーを揃えた方が音質的な満足度は高いという結論に至ったので、今はマランツ + Bowers & Wilkins(NR1601 + 685 or 686)の方向で検討していますが、機会があればこちらも別途備忘録するかもしれません。

総括としては、怪我の功名じゃないですけど、一連の物欲の失敗の産物として、液晶ディスプレイに備え付けのヘッドホン端子の音が「如何に腐っているか」というのが実体験として学習できたので、最終的にAVアンプを導入できたのは良かったかな、と。そうでも思わなきゃやってられない、或いは慚愧の念に堪えない、とも言います。

インプレッション

今回、敢えて型落ちのNR1601をチョイスしたのは、7月中旬以降に発売予定のマランツの新機種(2011年夏モデル)からドルビーヘッドホンが省かれた為。一時期に比べるとサラウンドヘッドホンの市場自体が縮小しているので、需要がないと判断されるのも止むなしといったところですが、それ故に“これしかない需要”という部分で、「普及価格帯のAVアンプで唯一ドルビーヘッドホンを搭載している」というマランツのバリューが消えるのは残念です。

Amazon.co.jp:NR1601

さて、実際の使用感としては、真っ先に感じるのが「当たりが優しく疲れない音」、或いは「暖かい音色」という部分ですが、かといって音が遠い、籠っているという感覚はありません。しなやかな低音と艶やかな高音が持ち味ですが、バランスとしては中音域が充実していて、厚みのある豊潤な音を鳴らします。それも、痩せた音を音場効果で演出する(悪く言えば誤摩化す)といった傾向ではなく、音質志向のチューニングで音の一つ一つが太くしっかりしている、という印象です。ドルビーヘッドホンとの組み合わせにおいては、台詞、ボーカルをここまで美しく、綺麗に響かせることが出来るというのは特筆もの。不自然に低音をブーストせずオーディオらしい音を鳴らすので、エントリーモデルらしからぬ質の高さを感じます。直近のヤマハと比較すると、RX-V471は自然な音と言えば聞こえはいいですが、素っ気ないくらいに飾り気のない、味付けのないフラットな音なので、マランツの「表情のあるサウンド」というのは、HD598との相性においても抜群だと思います(ただし、音の繋がりは弱め。映像についても、しっとりとした落ち着きのある色彩で出力されるRX-V471の方が好み)。

ただ、ドルビーヘッドホンは、奥行きと定位感を両立した広がりのあるサラウンド効果は流石に評判通りの実力と言ったところですが、音場や残響効果を弄るので、「ソースに忠実なストレートなバーチャルサラウンドを楽しみたい」といった需要には適いません。この辺り、ドルビーヘッドホンが省かれた最新モデルのヘッドホンサラウンドの性能次第では、NR1*02が訴求する理由となるかもしれません。

しかし、何と言っても現在主流の物量系AVアンプに比べて筐体が薄型・省スペースである点はポイントが高く、素直に“音がいい”と言えるマランツサウンドの実力を含め、なんだかんだと、トータルでは非常にパフォーマンスの高い製品だと思います。

レコメンド

SONY イーサネット対応 シルバーコーティング HIGH SPEED HDMIケーブル:

本品を選ばれる方は

「少しでも映像品質が劣化する要素を排除して、そのステータスの優位性を重んじたい」

考え方をお持ちでしたら、期待に違わぬクオリティーを有し、発揮できる品だと思います。 価格面で選ぶのではなく、品質や所有感で得るものだと考えられるといいかもしれません。

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Amazon.co.jp:DLC-HE10XF

ちなみに、AVアンプでエージング?と言われてもピンと来ないというか、実はその効果のほどが半信半疑だったりしていたのですが、それでも3日間くらい使うと音が落ち着いて来て、一週間もする頃にはハッキリと印象が変わりました。特にNR1601、この機種ではそれが顕著だった気がします。

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