2012年10月09日 (火)

HD800|Audirvana Plusについて

ちなみに、Audirvana Plusの突っ込んだ設定は専門知識がないとなかなか難しいのだけど、なんとなくHD650の感覚からするとHD800は低音の量感に乏しかったので、音質に影響を与えるパラメータの一つであるAudio VolumeタブからVolume control typeをSoftware onlyに切り替えた上で、MBIT+のDithering ShapeをMedium、LevelをLowにしたところ(※)


追記1

アプローチの仕方を根本的に勘違いしていたようで、というのも、そもそもAudirvana Plusはリサンプリングの際に意図的にノイズを加えることでその質を向上させる技術、"ディザ"を用いたサウンドエンハンサ。一般論として、Shapeをディザで加えるノイズの形状、Levelをディザで加えるノイズの量と解釈すれば、HD800の特性を鑑みながら、ロジックを"感覚"への添え木としてセッティングの当てを探ることも可能。HD650の印象に引っ張られるあまり、広大な音場と解像度、弾けるようなイヤースピーカーの響きを潰してしまっては意味がない訳ですから。ということで、今のところShapeはLight、LevelはLowで安定。

追記2

ただ、どうやらこれを汎用設定とするのは難しいようで、ディザを「音を押し上げる」或いは「前面に押し出す」感覚と捉えると、録音レベルの低い音源は、やはり相応にエンハンスしてあげないと密度感に乏しい。裏を返せば、録音レベルの高い音源をエンハンスし過ぎるとHD800の持ち味が潰れてしまうのですが。初期設定はShapeがHigh、LevelがNormal。これを基点に考えるべきか。

追記3

12月初旬、Audirvana Plus v1.4正式版アップデートが公開されましたが、Direct modeの恩恵によるものなのか、全体的にストレスの少ない音に。つまり、明らかな音質の向上が見て取れるので、High / NormalにせよMedium / Lowにせよ、ディザのレベリングについてはいずれもHD800の個性を潰すことなく、かなり融通が利くようになりました。

追記4

......と、これまでSoftware onlyで何とか頑張っていたのだけど、結局、Volume control typeはDAC onlyに戻すことに。単体DACないけど。いちいちAVアンプのボリュームを弄るのが嫌だったり、ヘッドホンだとハイ上がりに聴こえる傾向があったりと、色々億劫で試行錯誤していたのだけれど、これではPS3の音楽プレーヤーにすら劣る音質的に限界でした。


これがまあスゴくイイ感じ。HD800の個性にボリュームバランスが上手くフィットしている感じで、大変気持ちが良いです。

反面、Audirvana Plusが不安定になる要因の一つとしては「アップサンプリングを行っている」という項目が挙げられることがあり、拙環境でも光デジタル出力における24bit/96kHzへのアップサンプリングを設定しているので、アプリケーションの起動経過時間や負荷の加減で\プチッ/\プチッ/と音飛びが発生し始めるのは、どうもその辺りの影響が大きいのではないかと想像していたのだけど、それ以外に追い込める部分への対処として、PreferenceからiTunes側の再生機能を全てシャットダウンした上で、OS側の機能を制御するSysOptimizerにもチェックを入れたところ、これがなかなか効果覿面で、安定性は目に見えて向上。

が、すっかり定着したかに見えた対処療法も実際は一過性のものだったようで、経過観察の過程で音飛びの頻度そのものは確かに低下したものの、それでも音が飛ぶ時は容赦なく飛んでしまうので、結局、マシンの機嫌次第という部分では根本的な解決にならず、

音が飛び始めたら一旦再生を停止してメモリを解放
          ‖
アプリケーションを再起動してリフレッシュする

という儀式スタイルの解消には至りませんでした。

で、これが一体どういう加減なのか、Webブラウザ、2chブラウザ、Twitterクライアントをフルオープンでサーフィンに勤しみ、裏ではSFTPクライアントがバックアップに唸りを上げ、上下にネットワークを酷使してもビクともしない時はビクともしないし、かと思えば、単一のRSSリーダーを開いただけでプチプチ始める時もあるし───まあ、拙環境では4年目に突入しているMacBook Proの健康状態を考慮しても、そもそもが肥大化したミュージックライブラリをカジュアルに扱えるだけの安定的余剰がある訳ではないので(Audirvana Plus実行時にトリックサーチの類いは御法度です)、どの道、それなりに気を遣いながら楽曲を取り回す必要があることに変わりはないんですけどね。

追記5

2013年春にリリースされたv1.5正式版の挙動はすこぶる良好。音飛びもなくなり、メモリ使用量も極めて安定しています。音質としては解像度が上がり音場がクリアになったので、一瞬ドンシャリかと錯覚するほど、音の傾向はこれまでと異なっていますが、エコーというのかリバイブというのか、空間の響きが控え目になったこともあって、総体として受ける印象から賛否両論あるであろうことは予想できます。個人的にはv1.5の音質はHD800との相性という点でも決して嫌いではないのだけれど、これまでAudirvana Plusは小数点刻みで頻繁にチューニングが変わっているので、そろそろ音質面でも安定志向に舵を切って貰いたいところではあります。

追記6(2015.4.15)

現在、Audirvana Plusはv2.0.10、主要機材はMac mini、HD-DAC1、HD800で安定。この間の変遷は、沼の備忘録としてしたためている散発的なエントリ群でもその都度回顧しているのでそちらを参照頂ければ幸いです。

HD800にとってはようやくまともと言える部類の環境(の一角)を築くことに成功していますが、この組み合わせ唯一の欠点はDAC onlyでは適切な音量を取るのが難しいこと。爆音かウィスパーかでその中間がないので、大抵耳が潰れます。

その為、当初は妥協案としてAudio Volume / Volume control typeをSoftware onlyに戻したのですが、ベストではないにしても、「意外と聴けるんじゃないのこれ」というのが今ここポイントです。

アップサンプリングにも余裕で耐え得るマシンスペック、また、アンプの性能とそれを存分に活かす為のInteger対応は大前提として、大き過ぎず小さ過ぎず適切な音量で聴けること、そして、DAC onlyでヘッドホンを用いるとハイ上がりに聴こえてしまう傾向が解消され、中〜低域がしっかりと主張するバランスで適正化されること。解像度はやや落ちるかなという印象ですが、聴感上の実体感と空間表現(立体感と音場)が伸張しているので、総じてHD800への最適化の恩恵が大きいです。

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