2013年11月15日 (金)

Now Playing|As If To Nothing

資源の有効活用と言うことで、本記事はローカルに保存してある過去ログの草稿を流用した、君を再発見☆再発掘系エントリです。オリジナル投稿は2005年6月26日、午前2時29分(細かい)。

さて、ジャケットが印象的(詐欺的)なCraig Armstrong名義の2ndアルバム。リー・リンチェイことジェット・リー主演の映画「Kiss Of The Dragon」のエンドクレジット曲にインスピレーションを得て購入した一枚ですが、表題曲との繋がりはありません。

アルバムを通して感じられる雰囲気は、さながら映画のサントラ。チルアウト・アンビエントとでもいうのか、スコットランド人の作曲家であるCraig Armstrongは気鋭のDJという訳ではないので、嗜好的なテクノを想像していると痛い目を見ます。第一印象は、静寂をたたえたスローかつモノトーンな心象風景。菅野よう子的というと一気に矮小化されてしまいますが、全体的にシリアスで重厚、どこかのCMで耳にしたようなあの名曲も幾つか。

グルーヴや電子音による刺激は少なく艶のない音ですが、重低音シンセをバックにストリングスを多用したクラシカルなインストから、ボーカル入りの叙情的なリミックスまで(この頃のボノのボーカルは本当に苦しい。不快感を感じるほど)、ゆったりとした時間の流れの中に様々な光景が浮かんでくる。作業用BGMというよりは、リラックスタイム用のヒーリングサウンドとして有用。

しかし、コンピレーションとして全体的にまとまってはいるものの、個々の楽曲を見て行くと、パンチが足らないというか、煮え切らないもどかしい曲調が多いというか。メランコリックな音作りは非常に生真面目で整然としており、抑揚を抑えた旋律と相俟って流麗と言えば流麗。しかし、そこを「美しくドラマチックだ」と感じるほど私の感性は素朴ではなく、逆に面白味がなくつまらない、むしろ鼻に付くといった感覚さえ覚えてしまいます。

確かに退廃的なまでに美しい側面が垣間見える部分はあるものの、何か今一つ突き抜けたものが感じられないこのアルバムは、何とも中途半端で、退屈に思えるものでした。

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