2013年11月23日 (土)

Now Playing|Music of the Spheres

前回、前々回、前前々回に引き続き、資源の有効活用と言うことで、本記事はローカルに保存してある過去ログの草稿を流用した、君を再発見☆再発掘系エントリです。オリジナル投稿は2005年4月14日、午後8時18分。

The Stone Roses時代は知らず存ぜずなIan Brownですが、彼の地において、ブリットポップへと至る道筋の源流にいた人物なだけあって、その音楽性は素直にして剥き出しの原石ロック。本作のハイライトとなるM7「Whispers」を、伝説のチャート番組beat UKで見掛けてからというもの、ずっと気になっていた一枚を今ようやく確保。

ということで、ソロ名義のアルバムとしては第3作目となる「Music of the Spheres」は、しかし、前作「Golden Greats」で垣間見れたダイナミズムは鳴りを潜めて久しい。が、悪く言えば「Golden Greats」はダイナミズム一辺倒で芸が無かったので、そこにUKの風土特有の技巧を凝らしたテイストをプラスして、結果的にはより幅と深みのあるロックになっています。

ただ、その分、通して聴くには散漫というか、焦点が散ってしまって集中できないかも。そのある種のくどさ───抜けの良さが爽快感に、音の多彩さが気持ち良さに繋がっていないのが不思議なところ。結局、気怠く低調な雰囲気の中で、平凡な楽曲が淡々と時を刻んで行く。粗く硬い音の粒が体力を奪って行く割に、一進一退なのが停滞感やもどかしさを感じさせる要因なのかなぁと。

音が鳴っている間は五月蝿いくらいの波が押し寄せて来るのに、聴き終わったあとに感じる「あれ?」感。抑揚の無さか、将又、変化の無さか、このワンパターンぶりがもうちょっと何とかなれば化けそうなんだけどなぁ、という惜敗感ったらない。これが次の「Solarized」まで足を伸ばすと一気に聴きやすくなるので、「Golden Greats」から「Solarized」までは順当に深化の歴史でありましょう。そうした時に、「Music From The Spheres」は良くも悪くも流れの基点となる作品だと思います。

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