2014年01月23日 (木)

Now Playing|sakanaction

発売当初、CDを査収した時にざっと一聴した限りでは「ダイナミズムがゴイスー」というような感想が頭を過ったのだけれど、昨今、サカナクションといえばライブでの音響演出も注目を浴びる中で、今、改めて聴き直すこのアルバムはまさにその音響(の素性)が良いなと。ピュア的な音の良さや録音品質というよりは、サラウンド的な音の広がりとハウジングを震わせる駆動力で、これほどドルビーヘッドホンの恩恵を感じたアルバムもないでしょう。

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他方、テーマというか味付けというか、個性として見えるのは"緩急自在"の部分かな、と。一曲一曲、個々の楽曲も綺麗なくらい"溜め"から"解放"への盛り上がりが様式美として際立っているのだけど、それはアルバム全体で見ても然り。インストゥルメンタルがフックとして機能していることからも、アルバムとしての流れ、完成度を重視していることが伺えますが、起伏のあるリズムと最先端のデジタルサウンドがある種の三次元的な空間演出を引き締めれば、大凡似つかわしくない懐かしさを感じるような、チープなサウンドエフェクトが感覚を弛緩し、音像の根っこを二次元に引き戻す......その繰り返しと交互に折り重なるコントラストの絶妙さったらない。

音色の多彩さという点ではバラエティに乏しく、統一感というよりはやや画一的に感じてしまう面もありますが、とにかく通して聴いて楽しい一枚。巧妙さに裏打ちされたエレクトロ・ポップは、確かな実力で鳴らされるロックと、遊び心とも言える実験性とが同居しており、理性的であること、本能的であること、緻密で計算高いこと、即興でダンサブルであること......そういった相反する二面性、表と裏とを包含していながら、冷静に落としどころを見極めており、決して難解ではなく、つまらなくもなく、トータルバランスに配慮された仕上がりなのが骨頂。

現に、一歩間違えば破綻していてもおかしくないほどのエネルギーが濃縮されたパッケージには、外に向けたパワーや爆発力ではなく、内に秘めたパッションや気勢が殻の内側から空気の膜を震わせ、地を這い、坂を転がり、虚空に落ちたとてどこまでも深く潜れるような、それこそ心臓の鼓動や脈動をポンプアップするかの如きトルクと生命力を感じさせますが、一貫して肌触りはソフトで優しく、心地良い。いやぁ、実に頭脳的でクレバーです。単曲ではなく、必ず通してリピートしたくなる、アルバムとして筋を通したくなる作品ですね。

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