2015年03月26日 (木)

機動戦士Vガンダム Blu-ray Box 発売

幼少の頃を除くと、物心付いて以降、初めてリアルタイムで視聴したTVアニメシリーズが機動戦士Vガンダムだった自分としては思い入れのある作品なのですが、既に当時の記憶はおぼろげです。

ガン消し、カードダス、元祖SDガンダムのプラモデルなど(BB戦士よりもこっち派)、私はいわゆるSDガンダムから入った人間なのですが、丁度、オリジナルのガンダムに興味を持ち始めたのがこの頃。何処かでリアル頭身の武者ガンダムや騎士ガンダムの商材を見掛けていて、それが「意外とかっこいい」と刷り込まれていた影響もあったかもしれません。

詳しい前後関係は定かではありませんが、この時期にバンダイ・ホビー事業部のいろプラで展開されていたのがシルエットフォーミュラで、人生初の1/100であるRXF-91を大層愛でていたとか。

この時、店頭で配布されていた手帳サイズのガンプラカタログにはVガンダムが巻頭で特集されており、それ以降のページには初代からシルエットフォーミュラまでの機体がズラリ。これで一気にガンダムシリーズへの視界が開ける訳ですが、同時代には、NHK BS2の夏休みアニメ特選でポケットの中の戦争、逆襲のシャア、F91などを鑑賞したり(劇場版パトレイバーや攻殻機動隊を放送していたのも確かこの枠だったのではないだろうか。NHK BS2の大人アニメ枠は尖ってて良かったなぁ)、エンターテイメントバイブルMS大図鑑やニュータイプ100%コレクションなどの設定資料集方面の知見に目覚めたり、その後のG→W→Xと順調に深化を重ね、ものの見事にどっぷりハマっていく訳ですね。

さて、機動戦士Vガンダムはいわゆる黒富野作品として知られています。当時はそういうものだと思って視聴していましたが、今にして思えば色々と狂っているのも確か。しかしながら、世の中には「狂気の沙汰ほど面白い」という言葉もあるように、病んでいるからこその尋常ならざるエネルギーと異様な熱量に溢れているのがVガンであり、狂気との境界さえ曖昧で、それどころか神懸かってさえいる、ある意味で剥き出しの作家性が襲い掛かってくる強烈さ......なんてことを、以前、機動戦士ガンダム生誕30周年を記念したNHK BSプレミアムでの特番で感じた覚えがあります。

せいぜい小中学生やそこらの感性では内容の理解もままならず、映像の断片が印象に残っているだけで、この歳になってディテールを改めてみても、やっぱり泣けるし救いがないけれど、大人になった今だからこそまた見てみたい───というノスタルジーを与えてくれるVガンが私は好きです。

で、本作については折に触れて富野監督が自身の黒歴史だと公言しているように、今回も

何がダメなのか探してください。

この作品は全否定したいと思っているものです。このような結果になったのは、全て監督の責任です。何かの間違いでこのBlu-rayで見た方は『機動戦士Vガンダム』の何がダメなのかを探してみてください。そこから気付ける人がひとりでもいらっしゃればBlu-rayとして出した意味があると思っています。

総監督 富野由悠季

PRODUCT|機動戦士Vガンダム

こういうことを云っている訳ですね、御大は。ただ、その後に発表された平成の傑作∀ガンダムで、そんな暗黒面をも含めて全肯定されているアングル、というのもまたある種の屈折があってファンには堪らないと思うのですよ。

混迷の平成シリーズにあって、黒富野の極致である機動戦士Vガンダムと白富野の極致である∀ガンダムはある意味対になる存在であり、生みの親の苦悩と解放を彩るハイライト。一家に一台奉納されるのが是であります。

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