2015年12月01日 (火)

坂本真綾20周年記念LIVE "FOLLOW ME" at SSA

ダイジェスト映像は定期的に試聴していましたが、BD自体はほとんど衝動的に購入したものです。昨今の編成ではその辺がどうなっているのかは分かりませんが、例えば、まだまだ専門局の少なかった時代、一昔前のNHK BSならプライムタイムに、フジテレビなら深夜の帯にOAされていてもおかしくないクオリティのライブですしね。故に、来るかも分からないTV放送や動画配信を待つ手もありましたが、そこは"一夜限りのお祭り"ということで、20周年記念のプレミアム感に絆された形です。

付帯事項としては、現在、拙宅にはCDDAをリッピングする為の外付けドライブがなく、音楽ライブラリを配信音源に切り替えている過渡期にある関係から、PS4で鑑賞する下手なBDパッケージの方が音が良いので、ライブ作品の物色に積極的になっているという事情もあります。特にアニメや声優関連の物件はCDDAよりも気持ち良く聴ける場合が多いですしね。

2015年4月25日(土)に行われた20周年記念LIVEの模様を完全収録したBlu-ray&­DVD!
スペシャルゲストとして迎えた菅野よう子のピアノによる20周年記念メドレーや、つい­にLIVEで共演を果たしたthe band apartとの「Be mine!」など見どころ満載!!
3時間以上に及ぶLIVE本編のほか、映像特典としてLIVEのリハーサルからバック­ステージまで密着したドキュメンタリー映像、LIVEのステージスクリーンに投影され­た貴重な過去映像を集めてつくられた「これから」スペシャルMVを収録!

最近の坂本真綾さんと言うと、鈴村健一さんが画面に映った時の実況コメント「嫁の旦那」の流れが好きです。

それはそうと、真綾さんのところは夫婦揃って歌の方も達者でいらっしゃいますが、こと"坂本真綾"ブランドとなると、長年に渡る菅野よう子との盟友関係もイメージの向上に一役買っているのか、近年はすっかりアーティスト風情に磨きが掛かっており、世の羨望と尊敬の眼差しを一身に浴びておられる彼女であります。

従って、本作もあくまでもメインは音楽のコンサート。何せバックバンドに従える面子の渋いこと、彼らの所作や表情を見ているだけでも絵になるステージということです。

例えば、先頃の「ラブライブ!μ's Go→Go! LoveLive! 2015~Dream Sensation!~」などを思い浮かべると、片や2.5次元のアイドルもの、両者の性質は180度異なるものなので本作にはある種のストイックさも感じるのですが、それが味気ないかと言えばそうではなく、趣向を凝らした色彩感溢れるライティングや表情豊かな舞台演出、珍しく光り物を用いた小道具の同期やドラマチックなカメラワークは、坂本真綾のみならず演奏者そのもののパフォーマンスを際立たせており、さいたまスーパーアリーナという箱の大きさを微塵も感じさせない迫力で、ステージを完璧に支配しています。

こと音響に関してはストレスが少なく、音圧自体は高めですが、会場のスケール感を損なわず、適度な厚みと音場再現で仕上げたマスタリングの仕事は、擬似的なサラウンド空間を錯覚するような広大な設備と生演奏の臨場感を過剰な海苔コンプで潰すことなく伝えてくれるので、ステレオヘッドホンでも充分に楽しめます。

それにしても、思わずうっとりする横顔のラインに、まるでティアラのような小洒落たイヤーモニター、左手薬指に光る指輪なども綺麗で印象的でしたが、なんというか、近年の坂本真綾さんは年々顔面の"圧"が増している気がするのですよ。単に「(物理的に)頭が大きい」ということではないと思うのですが、そう誤謬するほどのプレッシャー、それこそ女神の威光に平民愚民はひれ伏し押し潰されてしまうほどの存在感。動じなさと言ってもいい。本当にお美しい方です。

表現力も年々上がっていますが、この日は非常にコンディションが良かったようで、淀みなく伸びやかな歌唱は、見る者、聴く者を魅了します。透明感の中に力強さがあるポップシンガーとしての美声は、しかし、今作ではどっしりと重心が低く安定した音程に加えて、声自体が非常に太くなっている印象があり、力みがなく音域に無理がない。歌手としてはもう一段階伸び代がありそうな気がしますね。坂本真綾の進化はまだまだ止まりません。

追記

この円盤、改めて聴くと音圧バカの凶悪な音質。頭が痛くなる。基本的にはダイジェスト動画のそのままなので参考までに。

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