2016年05月07日 (土)

BEAT UK

当ブログでも度々話題に上がっているBEAT UKは、1990年から2002年に掛けてフジテレビ系列で放映されていた深夜の音楽番組。

イギリスのヴァージン・メガストアーズにおけるシングルチャートトップ20をメインに、ニューリリースやチャートブレイク、ライブ、特集、情報、各国のアルバムチャートトップ5など盛りだくさんの内容を紹介していた。

BEAT UK - Wikipedia

CHAGE and ASKAの主題歌がフィーチャーされていた時代の記憶はあまりないので、そういう意味では熱心に録画視聴を始めたのは恐らく初中期以降。

当時隆盛を極めていたUKロックは勿論のこと、最先端のテクノ・クラブシーンの動向にも長けていたのが特徴で、この番組のお陰で電子音楽の魅力に目覚めたリスナーも多かったとか少なかったとか。多感な時期のテレビっ子にとっては、毎週どんな音楽が飛び出してくるか分からない宝石箱のような番組でしたが、どう表現したらいいのか、BEAT UKの良さはその適度な網羅性と手頃さだったのではないかと思っています。

今のようにCS放送が当たり前の時代ではないので、フジテレビ・バブル全盛期の追い風も手伝って、「地上波で一時間の洋楽チャート番組」と聞くと随分攻めているなぁという印象ですが(中身も日本語音声 / 字幕一切無しという尖りっぷり)、あくまでも中心はチャート紹介であり、MVだけを淡々と流し、ライブ情報、ピックアップ特集などもどんどん巻いて進行していく怒涛さ。余計なゲストトークや引き延ばしなども一切ありませんから、個々の楽曲を割と吟味して視聴できる尺であり、それでいて可処分時間は60分ですから、サイズ感が丁度いい。

それと、地域に根ざした特有の網羅性。地上波深夜と言うとベストヒットUSAなどもありましたが、やっぱりアメリカのチャート番組はアメリカのチャート番組になっちゃうんですよね、基本的に自己完結している国なので。

その点、BEAT UKだと、当然イギリスのロックやインディシーンは地盤にあるものの、アメリカはアメリカで、オーストラリアはオーストラリアで、ザックリと“英語圏”という括りでヒットしている楽曲も普通に入ってきますし、それでいてヨーロッパという地理的な流動性もありますから、毛細血管のように枝分かれしたアンテナがより広範な文脈をキャッチして情報地図を構成する訳です。逆はあっても、ベストヒットUSAのレギュラーチャートでUKロックやテクノトランスがガンガン掛かる、なんてことはないですからね。

英語圏、欧州圏での適度な網羅性───たかが一時間の枠で、あれほどお得感があって、バラエティに富んだ手頃な洋楽カタログは他になかったと思います。

今や専門局で幾らでも情報を掘り下げることが出来るご時世とはいえ、その分、ああいった良い意味で大衆的な(マニアックな)入門番組の受け皿は無くなってしまっているので、生粋のテレビっ子や情報感度に対して受け身な人間にとっては難しい時代かもしれません。ラジオやネットでのコンテキストは無視しています。

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