2016年09月07日 (水)

I-O DATA LCD-RDT272XPB

丸3年強、電源を投入しっ放しで愛用(もとい酷使)していたRDT273WXのOSDがバグって使用不能状態になったのが9月冒頭のこと。映像出力には問題がなかったのですが、トルネ起動中はスルーモードを切り替えるルーティンが定着していた為、OSDが確認できないのは死刑宣告に等しい。

MacとPlayStationのラインを集約する我が秘密基地のモニタはこれ一台で全てを賄っているので、代々、個別の修理対応は眼中になく、買い替えによる世代交代あるのみ。従って、今回もRDT273WXを下取りに出してタイムスタンプを更新、新たにLCD-RDT272XPBを迎え入れることとなりました。

新製品の動向が掴めないのでこのタイミングでの買い替えには躊躇がありましたが、Destiny|鉄の章も20日に控えた時期とあっては止むを得ません。ホームゲームは完全な状態で迎えたいですからね。手痛い出費が続きます。

Image:LCD-RDT272XPB

三菱の系譜を受け継ぐアイ・オー・データのLCD-RDT272XPBはこれが2世代目。入力端子の刷新やフリッカーレス、ブルーリダクション、ナイトクリアモードなど細部に変更はあれど、AH-IPSパネルの品質も、バックライト漏れの加減も、フレームの立て付けも、ベースはほぼほぼRDT273WXだと考えて差し支えありません。

ただ、LCD-RDT272XPBでは内部遅延0.05フレームを実現する為にギガクリア・エンジンII周辺に手が加えられており、これがマルチメディアモデルの売りの一つだった画質に大きな変化をもたらしています。

基本的にPlayStationではスルーモードを常時ONにしているのですが、内部遅延0.05フレームというのはプラセボ以上の実効はありません。が、見方を変えればプラセボ程度の気付きはあるので、元来、三菱のこの系統はAV機器譲りの画質とそこそこの遅延を両立した安パイ=無難としての最適解だった訳で、アクションやシューティングにおいてはシビアな価値が見出せるものだと個人的には思っています。

しかしながら、前述の通り、その内部遅延を実現する為に採られている手法というのが、技術的なブレークスルーではなく、映像エンジンの処理を幾つかオミットするというものなので、スルーモードをONにするとブロックノイズリダクションやエリアコントラスト、肌色検出、シャープネス、3次元ノイズリダクションなどが強制的にOFFになります。

まあ、この辺りは各種のメディア記事でも語られているように、アイ・オー・データには三菱から譲り受けている技術的なブラックボックスの核心部分をどうこうできる手段がないので致し方ないことではあるのですが、実はLCD-RDT272XPBにおいてはこの映像エンジンの迂回処理によるデメリットが大きく、直近のRDT273WXに比べると(スルーモード時の)画質が劣化しています。

最も大きな気付きとしては、映像が全体的に色褪せて見えること。色が薄いとかコントラストが弱いとか、要するに白っちゃけて見える......とも言えるかもしれませんね。失ってみて初めて分かる大切さ、エリアコントラストによる明るさ制御や、3次元ノイズリダクションによる高品質な映像美の威力は、思いの外偉大だったということですね。

OSD設定から「色のこさ」を振ることである程度誤魔化せる要素とはいえ、映像全体のバランスや整合性を考慮すると小手先の調整では限界がありますし、内部遅延0.05フレームによるメリットとデメリットを天秤に掛けて勘案すると、今のところデメリットの方が上回って見えるのが所見です。

とはいえ、RDT273WXの残滓が焼き付いている当面は違和感の連続だと思いますが、そこは歴代のモデルがそうであったように、その内この個体にも慣れるでしょう。馴染むかどうかは分かりませんが。

追記

一週間ほど継続使用してみて目が慣れてくると、なかなかどうして、このモニタの快適度はなかなかのものです。

パネルに多少のギラ付きはありますが、フリッカーレスの効果か、長時間使用していても深刻な眼精疲労は起こりませんし、この個体の彩度に五感が最適化されて来ると、シャープにして色鮮やか、腐っても三菱IPSの血統を受け継いでいる映像美は結構なお手前だと感じます。

また、ゲーム攻略中に酷使することになるPC/HDMIへの入力切替のレスポンスも高速化しており、ブラッシュアップは細部にまで至る模様。

そして何より、内部遅延0.1→0.05フレームへの改善効果が素晴らしい。例えば、前述の通り3年目に突入するホームゲームのDestiny(アクションシューティング)や、1080p/60fpsにリマスターされたDmC:DE(3Dアクション)において、この"プラセボ程度"と評した体感フレームの緊縮具合は思いの外作用が大きく、キビキビ動くという表現がピッタリ。(慣性で)照準が流れるとか、操作キャラの身体が流れる、といったような視覚と入力の食い違いによる微妙なストレスが極めて少なく、コントローラ操作の圧縮具合が小気味良いので、個人的には事前に想像していた以上の恩恵に与っています。

アイ・オーに引き取られて初めて生まれ変わったLCD-RDT272XPBは、「買い替えて良かった」と素直に思えるモニタですね。高価な値段に見合うパフォーマンスを備えた優良物件だと思います。

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