2016年12月01日 (木)

沼・新たなる物欲の呼び声

来年でこのブログもかれこれ12年目に突入するらしいのですが、実は2016年10月でエントリの連続月更新記録が途絶えたというのが今年の事件と言えば事件。

中身などあって無いようなもので、その時分、その時々で目先の出来事を気分任せのポエムに乗せて書き散らすだけのリハビリ散文詩が、むしろ10年も話題の種に事欠かなかったというのがたまたま上手く回っていたにしては出来過ぎていたくらいの奇跡なので、まあ今後はより一層肩の力を抜いて、泥のように眠るのも吝かでは......もとい、自閉的でひどく蒙昧な傾向に拍車が掛かって行くのではないでしょうか。

ということで、以下は完全な雑記帳モードの備忘録です。何かと入用になる年末の書き入れ時ですが、当然、先立つものなどなく、今年は臨時の出費も多かった為、実現可能性は極めて低い野望の一端となります。

さて、2016年も年の瀬が差し迫るに当たって、今年最大の物欲発作候補、それはズバリbeyerdynamicの定番ヘッドホンT1です。これは実態のあるHD800ユーザーからすると最も身近な憧れと言えるかもしれません。STAXに対する望郷の念とはまた若干ニュアンスが異なるものですね。

引き篭もりの黄昏人間には、勿論、店頭で実物を見て、触って、吟味し、聴き比べることなど出来ないので、インターネッツの海原に散財しているレビュー評価のエレメントを繋ぎ合わせて全貌を想像するしかないのですが、足元を見つめた時に、そもそもの出発点としてはHD800が「無難なヘッドホンである」という事実がまずあり。

Sennheiser全般にそう言えるかもしれませんが、カタログだけを頼りに製品を選んでも、大成功かどうかは分からないが一先ず失敗はしないという鉄板の安心感があるブランド───その中でも、HD800は特に無難な機種と言えます。かつては「なんちゃってイヤースピーカー」と評したこともあったように、聴感上は極めてフラットであり、モニターライクで原音忠実性が高く、解像度と音場と等分配とで魅せる高級機。ザックリ言ってしまえばそんな感じです。

しかし、この"無難"というヤツが厄介で、殊更に何かを短所だと見立てて不満に思うことはないのだけれど、長年使用していると次第に物足りなくなってくるんですね、人間というのは。つまり、開放型の持ち味は残しつつも、よりバランスがイビツで、癖が強く、味付けの濃い製品も嗜みたくなってくる訳です。

特に、拙環境は上流が洗練には程遠いので、オーディオ特有の物量感で導線を誤魔化すことが出来ない。現在、最も音質が良好だと感じる末端のブーストは、Mac miniのAudirvana Plusと、PS4上で走るtorneのサウンドエンハンスモードのみ。イコライザほど派手な機能ではなくとも、小手先の工夫で何かしら出口を演出してやらないと、なかなか刺激的な音というのは出し難い状態です。

そこへ持ってくると、最も手っ取り早く、かつ費用対効果が大きいのがT1。現在の実勢価格は8〜12万ほど。一時期、国内の正規品流通価格では随分と開きがありましたが、欧州本国ではHD800とT1はほぼ同価格帯の高級機であり双璧を成すライバル同士。なかなか今すぐに買い替えというのは難しいですし、例えば、HD800は音質以外にも装着感やメンテナンス性などにも優れているので、必ずしも乗り換えた結果に満足感が得られるとは限らないのですが、目下のIYHターゲットとしてはT1に焦点が絞られつつある昨今、オーディオ人間の性、沼の業を感じさせる今日この頃です。

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