Pt|NieR:Automata
Posted by ramhorn05j
何気にヨコオタロウゲーは初めて手に取りますが、氏は非常に作家性の強いゲームクリエイターとして知られており、その高名な鬱ゲーの轟きっぷりには戦々恐々としていたのですが、オートマタに関して言えば、最終的な結末の描かれ方はトゥルーエンドとして得心の行くものであり。
たまたま直前に取り掛かっていた魔女と百騎兵もそうですが、本流を構成するエレメントとしては鬱要素が多分に含まれており、その時々で気持ちがしんどい、心が抉られる......といったこともあるのですが、「終わり良ければすべて良し」じゃないですけど、こういった"切ないハッピーエンド"として幕引きを図ってくれる作品は、鬱ゲーなりに救いがあるので割合良心的ですね。
物語の全体像は、切なく、儚く、荒涼としていて、それこそ"呪い"や"罪"などといった業を包含するものですが、一方で、全編に散りばめられている愛嬌のあるギミックには、「ゲーム」といったメディアそのものに対する愛情や熱意がふんだんに盛り込まれているので、ユーザー体験としては不思議と胃もたれはしません。小並感で言えば、「本当にゲームが好きな人が作ったゲームなんだなぁ」といった感じでしょうか。
前作レプリカントや、別件でドラッグオンドラグーンを体験していないと、特定のキーワードや設定的にはやや取っ付き難い部分がありますが、一遍の寓話としてはオートマタ単体で綺麗にまとまっているので、余白を想像しながら、情報の断片から脳内補完や考察で妄想を膨らませるパティーンのゲームが好きな人には堪らない耽美な世界なのではなかろうか、と想像します。
他方、ヨコオタロウ節とも言える作家性は勿論のことですが、敢えて本作を手に取ろうと思った最大の動機はやはりそのアクションにあり、プラチナゲームズ産に特有のモーションや操作性、バトルシステムの拘りに惹かれたからに他なりません。
ぶっちゃけ、個人的にはプラチナゲームズは良くも悪くもセンス(職人芸)一本槍で食っているデベロッパーだと思っていて、技術的に優れているとか、開発力に長けている部分があるとはあまり考えていません。本作も、ぷろぉなのにファンが大層唸りを上げているので、何処にそんな処理を食っているのかと心配になるほどです。が、この手の作家性とセンスの融合、洗練された感性とコモディティの化学反応は、それこそ最近、久しくお目に掛かれなかったタイプの和ゲーの真骨頂という気がしないでもありません。
オートマタのゲームスタイルは、オープンワールドというよりは、それぞれのレベルデザインを平面的に繋ぎ合わせたシームレスマップとでも言った方が適当なものですが、システム面では、武器の組み合わせやチップ・カスタマイズの面白さに見られる奥行きは勿論のこと、何と言ってもイージーオートマチックが素晴らしい。
難易度設定としてのイージーオートマチックは、デビルメイクライやベヨネッタといったゲームにも従来から搭載されているものですが、本作ではオートマチックの基盤が前述のチップ・カスタマイズに統合されており、例えば、慣れてくればオート射撃だけONにしてオート回避はOFFに、或いは常時ワンボタンでON/OFFを切り替えながら───といった遊び方が可能になっています。片やリワードや報酬素材には制約がなく、それでいて縛りの強度はある程度調節可能で、今回ほど融通が利いて快適な、夢のようなガイドラインもありません。
アクション面でのストレスを感じることなく、何ならお手軽玄人感に陶酔さえしながら物語に没頭することができ、おニューのHD700をも唸らせる極上の音楽とアメイジングなボイスアクト、魅力的なキャラクターと世界観を余すことなく堪能できる良質なアクションRPGに仕上がっています。
一方、ニーアはメタ的な視点を持つゲームでもあり、本作ではメインシナリオをクリア後に「トロフィーをゲーム内マネーで購入できる」という驚きのシステムを搭載。
自分はオートマタの哲学にすっかりやられてしまい、少しでも長くこの世界に浸っていたかったので、「最強支援兵器達(全てのポッドを最高レベルにした者が現れる)」以外の実績に関しては地道な行脚でコンプしましたが、いざとなれば最終的には何とかなる(奥の手がある)という保険があるのは、取得率が気になる完全主義者にとっては気が楽でいい。自分自身のゆとりと余裕と尺度でもって遊べるので、そういった意味でも心の底からゲームを楽しむことが出来ました。
基本的に私はオープンワールド系がそれほど得意ではないので、そういった個人的な素養が半分と、あとはゲーム自体にも細かい粗がないではなく、マップの構造的な把握の難しさに始まって、戦闘以外での自由度はあまりないので、そういった部分が半々で微妙なところもあるにはあるのですが、それも所詮は枝葉末節の文脈であり、それ以上に本質的な部分で代え難い魅力があり、総合的には抜群に面白いゲームと言えるのがオートマタ。ある種、典型的な古き良きスクエニゲーの色気とも言える手応えを感じさせる作りで、年間マイベストでも5本の指には入りそう。
累計プレイ時間は50時間を超えているのですが、それを感じさせないほど、1週間ちょっとがあっという間に溶けてしまった時間泥棒でした。疲労困憊。
獲得したトロフィー
レベル:28(90%)
プラチナ:108
ゴールド:458
シルバー:1242
ブロンズ:3942
合計トロフィー数:5750
タイトル | 達成率 (%) |
---|---|
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