ウマ娘 プリティーダービー Season 2
Posted by ramhorn05j
まず、基本的に競馬は知らないし、スマホゲームもやらない。
それでも、興味を持ったのはゲームがきっかけ。事前予約受付からのリリース延期がゴシップのネタにされることはあっても、まさか3年の延期から復活してくるとは思わなかったし、早く介錯してやれとさえ嘯いていた。
一般的に、ゲームにとって度重なる延期は地雷信号。それが不死鳥の如く蘇っただけではなく、クオリティがちょっと尋常ではない。確か、ゲームに関しては最初期の座組の段階でお馬関係者から怒られたこともあったとあやふやに記憶しているのだけれど、ゴルシ全盛期伝説、ゴルシワープ、エヘ顔ゴルシキックなどを入口として辺りを見渡してみると、原作(史実)へのリスペクトに溢れているという声を聞くし、そうなったきっかけというのがアニメで、アニメの存在こそがプロジェクト全体への多大な影響を及ぼしているとも聞く。即ち、当初の擬人化アイドル構想からスポ根路線へ大幅に舵を切ったが故の崩壊・再生・再構築であったと。
そして、そのタイミングで、ツインターボ師匠がTwitterトレンドやニコニコランキングを席巻し、ニコニコ本体での公式動画第10話は再生数が爆発している。何が起こったのだろうか?これは見てみるしかない、そこで第10話をポチッとしたのが邂逅の始まり。
繰り返すようですが、競馬は時事ネタを嗜む程度しか知らないし、お馬の名前も風の噂で聞く程度。それでも第10話は、年齢のせいで脆弱性を抱えている涙腺が大崩壊してしまった。嗚咽し号泣、頭痛は痛くなり、流出する水分が体力を奪い疲労困憊。それどころか、動画を見ていない時でもふと思い出し反芻するだけで、涙腺がじわりと緩む。これほど重症なのはゾンビランドサガのまさお回以来であるし、これは衝撃的な体験をしてしまったと。
そこからは、第11話、第12話とリアルタイムに追い掛けながら、同時進行で第1話の冒頭から怒涛の復習行脚。dアニメストア ニコニコ支店は普段から有能であるけれども、こういう時に本当に役に立つ。入ってて良かったdアニメストア ニコニコ支店。
小並感としては、やはり史実をどう料理するか、どう脚色するかという点においての白眉は、涙腺大崩壊再びという意味も含めて第2話ではなかったでしょうか。体内の水分全吸収マシーンと化しているSeason 2において、第2話は危険すぎる。魂が震える出色のシナリオであり、あれがSeason 2の行く末、運命を決めた感があります。
主役がトウカイテイオーということで、シリアスで重くなるストーリーをウマ娘の世界観でどう描いて行くかがテーマの一つであったのだろうことは想像が付きますが、しかし、史実(物語のベース)が幾らドラマチックでも、それをただなぞれば感動的で優れた映像作品に仕上がる訳ではない。
そこへ持ってくると、いわゆるナマモノに近いジャンルであるし、半端なことは出来ないという覚悟も熱量も愛情もある制作陣であるというのは理解していましたが、さりとて、構成、脚本、演出から、劇伴、主題歌・挿入歌、その他諸々に至るまで、ここまで精鋭が揃うかというくらい秀逸な描写が多いのは驚く。そして、及川啓監督。ヒナまつりは面白かったけれども、ここまで回せる監督だとは想像していなかったし、正直、舐めていた。
そう、ウマ娘を舐めていた。そして、それは浅はかだし誤りだった。愛されているし、勢いもあるし、不死鳥の如く蘇ったゲームが話題になるタイミングまでバッチリ、これは久々のお化けコンテンツ。全ウマ娘にひれ伏す。
残すは最終話のみ。直近の例で言えば、ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会と同等かそれ以上には制作陣に全幅の信頼を寄せているので、座して第13話を待つ。
追記1(2021.03.25)
とにかく精鋭が揃っている制作スタッフ、それは生産物が神懸かっていることから逆算して導き出される答えであるのだけれど、その一つが劇伴。
例えば、魂が震撼する第2話は、演出から脚本から作画から何から何までヤバイのだけれども、レースの終盤で、悲壮感のある旋律がやがて誇らしく勇壮なものに切り替わっていくシーンが致命傷を与えてくる。かと思えば、第11話でキタちゃんとダイヤちゃんがイチャイチャするシーンの萌え萌えしいホワホワした音楽。BGM自体も、その使い方も、実に恐ろしい。
追記2(2021.03.30)
惜しまれつつも、希望と期待と祝福に彩られた第13話が無事終了。
問答無用、完全無欠。全制作スタッフ・キャスト・関係者はこれほどの仕事をこなしたことを誇るべき。伝説的な史実を見事に脚色しきってみせた傑作。Cygamesを含めたチームの格、コンテンツの価値が限界を突破するマスターワーク。劇場版を13本見終えたかのような疲労感と満足感。全ウマ娘に敬意と感謝を。
追記3(2021.04.01)
第2話(或いは第10話)などは初手から致命傷で体内の水分を搾り取ってきたけれど、第13話は繰り返し見れば見るほど、再生すれば再生するほど感情の激流を増し、その都度流出する水分量が増えて行く。これは疲労する、それは悪い意味ではなく。参ったなというのが正直なところ、別にいち視聴者としては挑戦も競争もしていないけれど、これは完敗であるしいっそ恐縮さえする。恐るべき完成度、劇場版というよりワンパッケージとして、ここまでのアニメ作品に出会えたのは久々かも。