2009年06月26日 (金)

「VMware Fusion 2」を購入しました

Macソフトウェアの販売でお馴染みのact2が5月25日〜6月30日までの期間限定でリニューアルキャンペーンを実施中。人気ソフトが特別価格で提供されています。といっても、実質的な目玉は6,800円の「VMware Fusion 2」のみ。良い機会だったので、「StuffIt Standard 2009 for Mac」を上乗せして購入してみました。

Image:act2 ストア リニューアルキャンペーン

「VMware Fusion 2」は、先進の仮想化技術によって、一台のIntel Mac上でMac OS X、Windows、及びLinuxの同時実行を可能にする仮想化ソフトウェア。OSを切り替える度に再起動する必要がなく、Mac OS Xの機能と操作性をそのまま使用することが出来ます。

Macに対応した仮想化環境で、パフォーマンスに優れたソフトウェアというと「Parallels Desktop for Mac」が挙げられますが、機能的には「VMware Fusion 2」とほとんど違いがありません。共に最新バージョンではBoot Campとの共存が可能となっているので、兼ねてから物欲候補には数えられていましたが、最終的に決め手となったのは、VMwareのネームバリューと安心の日本語サポート、そして価格です。

既に構築されたBoot Camp環境を利用する場合は、基本的にパーティションをインポートするだけでそのままWindowsを実行することが出来ますが、バージョン2では、仮想化ソフトウェアに特有の環境であることを意識させることなく、普通のアプリケーション感覚で使えるカジュアルな操作性を実現しました。特に、複雑な技術的背景を仲介する環境設定ではGUIで設定出来る項目が増えており、Mac OS Xとの親和性が向上したことで、全体的に痒いところに手が届いている感じです。

デフォルトでは、アプリケーションフロントエンドにWindowsのデスクトップを表示するシングルウインドウモードが立ち上がりますが、全画面表示のフルスクリーンモードは勿論のこと、デスクトップを表示せずに個別のウインドウだけを直接表示するユニティモードも搭載されており、トレンドに満遍なく対応しています。

MacとWindowsを本格的に往来させる使い方では、一つのファイルをMacとWindowsのどちらからでも開くことが出来る共有フォルダ機能が便利。一つのファイルを二つのOS間でシームレスに操作することが可能なので、VMwareを介することでシステムの一元化を図りながら、プラットフォームの垣根を取り払った柔軟な仮想化環境を再現しています。また、ミラーフォルダ機能では、MacとWindowsでファイルをミラーリングさせることが可能。詳細な設定項目で制御を振り分けながら、OSに跨がってドキュメントを自動的に同期してくれるので、ソース→サブの様にファイルのバックアップに使えるだけでなく、更新差分に頭を悩ませる必要もありません。勿論、OS間のドラッグ&ドロップにも対応しているので、これらVMwareが備える基本的な機能とインターフェイスを活用することで、Macの箱庭を越えた同時多発的な共同作業が実現します。

尤も、Boot CampをVMwareで共有するとパフォーマンス的には若干不利なので、PSUなどの高負荷な3Dゲームは起動こそするものの、快適な動作には程遠いことを踏まえておく必要はあります。反面、これまでWindowsの需要自体はBoot Campでも充分に賄えるものでしたが、あくまでもMacの補助役としてスタンバイさせていることを考えると、彼我における現実的な運用方法はMac非対応サービスを一時的に待避させる、といったケースに限られます。その場合、わざわざBoot Campを立ち上げる必要がないVMwareの使い勝手の良さ、可搬性の高さには大きな利点があり、更に、仮想化ソフトウェアを利用するメリットは、Mac側との細かい擦り合わせの作業が必要となるクロスブラウザチェックや、アップデートの効率化にも潜在しています。中でも、ソフトウェアアップデートやWindows Updateではマシン自体を再起動する必要がなく、また、それに伴うフリーズや再起動の失敗など、Boot Campに固有の不具合を回避することも出来るので、円滑なWindowsの運用が可能となります。難点は、VMware Toolsとスタンドアローンなドライバが混在することで、Boot Camp側の設定に齟齬が生じ、アプリケーション実行環境が衝突することですが、まぁ、これについてはそのうち何か対策を考えます。

今回、実際に二つのOSを同時に運用してみましたが、動作の重さをストレスに感じる場面が想像以上に少なかったのが印象的です。手応えは、まさにMacの中でWindowsマシンが動いている感覚ですが、VMwareが大抵の誤謬を吸収してくれることを考えれば、応用次第で実に幅広い活躍が期待出来ると思います。良い買い物をしました。

Image:StuffIt Standard 2009 for Mac

一方、圧縮・解凍・暗号化をより手軽に便利に利用する「StuffIt Standard 2009 for Mac」は、ファイルの圧縮・解凍といった基本的な操作から、暗号化までをカバーする、圧縮・解凍の為の基本セット。インターネット上で取り扱われているほとんどのエンコード形式に対応するアーカイバの定番で、Mac OS X標準のアーカイブ機能を補完してくれます。

バージョン的には13番目のリリースですが、“13”という数字を嫌ったのか、“2009”と銘打たれた最新のStuffItは、ZIPからLHAまで、引き続き主要な圧縮フォーマットのほぼ全てをカバーする汎用性の高さがウリですが、アプリケーション自体がコンパクトで使い勝手が良いのが特徴です。Mac OS X以降、アーカイブ機能がOS標準で搭載されてからというもの、StuffItも存在感が大幅に薄れていますが、これも実際には地道なブラッシュアップが成果を上げており、特に、バージョン12以降はエンジンがパッケージに内蔵される様になったので、システムを汚しません。Mac OS X黎明期の行儀の悪さがすっかり改善された現在のStuffItは、非常にスマートなアプリケーションに生まれ変わっています。

ZIPの圧縮はOS標準で、SITの解凍はExpanderで充分なので、これが果たして万人に必要なツールかというと疑問ですが、圧縮したファイルを取り扱う機会が多いユーザーには便利なユーティリティだと思います。拙環境では、「レガシーアーカイバ『Zippist』を代替する暗号化ツールのニーズと必要性」という部分だけでも使い出があるのは確かですが、流石に価格は割高で、Deluxeには手が出ませんでした。

なお、アフィリエイトリンクを踏んでもいいよ!という酔狂な方がおられましたら、サイドカラムのバナーから飛んで頂けると幸いです(ニヤリ。

2009年06月21日 (日)

PS3「バイオニックコマンドー」6月25日発売

今週の一本は、スウィングアクションの新基準「バイオニックコマンドー」。

AC「トップシークレット」の流れを汲む「バイオニックコマンドー」は、“新世代スウィングアクション”を謳うTPSアクション。1988年にFCで発売された往年のアクション「ヒットラーの復活」の正統な続編として注目を集め、販売目標150万本に対して一説にはおよそ20億円の開発予算を投じて製作が進められましたが、話題性という点では一貫して盛り上がりに欠け、終止マイナー感が拭えなかった作品です。海外の主要なメディアレビューでも総じて微妙な評価を獲得していますが、機会があれば購入したいゲームです。

Amazon.co.jp:PS3「バイオニックコマンドー」

1988年に家庭用ゲーム機で発売された傑作ACT『ヒットラーの復活』。その初の続編タイトルが、約20年の時を経て、ついにPS3とXbox 360に登場! プレイヤーは、ワイヤーを伸ばして物体に引っかけて自在に伸縮できる"バイオニック・アーム"をあやつり、そびえ立つビルからビルへ振り子のようにスウィングし、縦横無人に移動し、敵組織と戦うことになる。バイオニック・アームを駆使すれば物体を軽々と放り投げたり、敵を空中に浮かしたり、周囲の障害物を粉砕したりとリアルな応用が可能。次世代の物理エンジンにより、残骸や煙、粉塵、武器のエフェクトなどさまざまな物理効果で圧倒的な世界を作り出している。バイオニック・アーム以外にも特殊な武器や手榴弾を使うことが可能で、それらの組み合わせによりアクションの幅も広がっている。また、ステージ構成もワイヤーアクションに特化した構造になっており、高層ビル群や深い峡谷、切り立った岸壁などが自由度の高い3次元移動を可能にする。

最近のカプコンは、自社のソフトウェア資産を食い潰すかの如く、手塩に掛けて育て上げた競争力のあるタイトルをみすみす手放し、ブランド戦略を考えれば決して得策ではない手段を推進することで、即ち、企画を外注に丸投げするケースが増えていますが、本作についてもデベロップメントはスウェーデンの開発スタジオ「グリン(GRIN)」が担当しています。

プレイヤーは、バイオニック技術で強化された肉体を持つ“バイオニック・コマンドー”こと主人公ネイサン・スペンサーを操り、バイオニック・アームを駆使しながら、テロ組織の壊滅を目指します。システムとしては、シングルプレイモードの他、オンラインで最大8人のプレイヤーと対戦できるマルチプレイモードが用意されており、ランキングやボイスチャットにも対応します。

本作における最重要テクニックは、何といっても他に類を見ないバイオニック・アームによるスウィングアクション。移動可能なエリア内であれば、とにかく「どこでも掴める」のがウリで、建物の壁面や街灯など、あらゆる場所にワイヤーを引っ掛けて飛び回ることが可能となっています。振り子運動を利用したスウィングはこれが意外と難しく、ワイヤー移動の操作一つとってもかなりのクセモノとの評判ですが、その分、具体的に「スウィングが綺麗に決まるか決まらないか」という部分でテクニックの上達が目に見えて分かるので、コツを掴むと病み付きになること間違いなしの達成感があります。

また、コンテナ、クルマ、エネミーなど、あらゆるオブジェクトを掴んでは投げ付ける、引き寄せては蹴り上げる、引っ掛けては吹き飛ばすなど、フックショット三掛けばりのバイオニック・アームを駆使した戦闘が痛快で、単純なサードパーソンシューティングには無いインスピレーションに溢れています。洋ゲーらしくモーションは大味ですが、ワイヤーを自在に使いこなす三次元戦闘の爽快感と、スウィング移動による独特の浮遊感は他では味わえない醍醐味です。

しかし、本作は「ワイヤー操作は爽快で楽しいが、実際に遊んでみないと面白さが分からないタイプのゲーム」であるとは言えますが、インタラクティブ体験としては最新技術やグラフィックのムードを楽しむ類いのものではなく、更に、時間を掛けて作ったとは思えないほど、ゲーム自体の出来は驚くほど普通です。

シングルに目を向ければ「堅実ではあるが当たり障りがなくパッとしない」といった評価を甘んじて受け入れなければならず、マルチに目を向ければ「単調で手応えがない」という、なまじオリジナリティがあるだけに扱いに困るのが「バイオニックコマンドー」の本質。特に、マルチプレイモードはシステムそのものが“おまけ”といった雰囲気で、非常に散漫で味気ないものに仕上がっています。かいつまんで挙げるだけでも、マップが広大で移動の自由度が高過ぎる為、索敵が面倒で大変なこと、その割にスナイパーライフルが強力なので、常に動いていないとあっという間に狙撃されて即死すること、それだけ高速移動合戦なのでエイムが困難を極めること等々───退屈な時間が長く、かつ本気で逃げられると決着が付かないので、対戦ゲームとしては淡白で、メリハリに欠けると言わざるを得ません。今時の新作シューティングで、オフライン専用ゲームとしての企画を通すというのも無理があるとは思うので、余計に惜しいと感じます。

結局、シングルにしろマルチにしろ、「これだけ上等な素材を揃えているのだから、ワイヤー操作のモチーフを何とかもっと上手い具合に昇華させて欲しかった」、というもどかしさからは逃れることが出来ないので、こんなことなら素直にカプコンに開発を任せておけば……と思わなくもありません。が、そこはスウィングスピードの底上げを図り、カメラワークを改良するだけでも、システムを煮詰めれば大化けする可能性があるので、気の早い話が、是非とも続編を期待したいところではあります。

*付記*

一方、今回、運良く……と言っていいのかどうか、中古のPS3「Call of Duty 4」が定価色付き程度の価格で手に入ったので、まずはそちらを片付けることになりそう。PS3「レジスタンス」に挫折して以来の本格的なFPSへのチャレンジが、果たして吉と出るか凶と出るか。FPSアレルギーを乗り越えた上での、ルーチンワークとしての定着とスケールメリットの享受、それがCoD4に課せられたハードルであり、そうすることで初めて元が取れる投資。プレミアに対する過大な出費が、結果的に負債として計上されないとも限らないリスクを考慮すれば、我ながらスリリング(笑)な買い物をしたものです。

2009年06月17日 (水)

Apple、Snow Leopardを9月発売へ

さて、WWDC 09キーノートでは、Mac OS Xの次期主力バージョンである「Mac OS X v10.6 Snow Leopard」が初めて一般公開されました。発売は2009年9月を予定しており、価格は129ドル。現行のLeopardユーザーには29ドルでアップグレード版が提供されます。

Image:Mac OS X v10.6 Snow Leopard

既に多くの情報がリークしていたSnow Leopardですが、今回のWWDCでは、システム全体に及ぶ技術として、マルチコアプロセッサでのスレッド動作を最適化する最新のテクノロジ支援Grand Central Dispatchの搭載と、GPUの並列処理性能を映像以外のタスク、一般的な計算処理にも活用する標準規格OpneCLの採用、及び、主要システムアプリの64bit化が強調されていました。

Snow Leopardでは、Cocoaで新規に書き直されたFinderを始め、内蔵アプリケーションの64bit化によりパフォーマンスが向上しています。また、Dockに組み込まれたExposeやStacksの改善、PDFの文書レイアウトを分析し、文書構造の正確なコピーを可能とすることでよりパワフルなビューワーに生まれ変わったプレビュー、Nitroエンジンを搭載するSafari 4の高速化とマルチプロセスによる安定化、編集機能が追加されインターフェイスが一新されたQuickTime Xにおける全般的なビルドアップなど、アーキテクチャの前進を支える形で内部設計が改良され、Mac OS Xにおけるプロジェクト全体のおよそ90%が刷新されています。更に、Microsoft Exchange Server 2007に標準対応しており、企業ユースにも訴求する内容となっています。

今回のSnow Leopardは、メジャーアップデートを謳ってこそいるものの、その中身はといえば現行バージョンであるLeopardのブラッシュアップが中心で、システムの高速化を主な課題として、内部的な機能強化など一見して地味な変更点が多いのが特徴です。開発アプローチとしては足回りの拡充が最重要事項に掲げられているので、それだけ技術者にとっては堪らないアップデートとなりますが、エンドユーザーが体感出来る部分としては、64bit化とマルチスレッド対応が高速化に大きく貢献しており、特に、これまで後回しになっていたマルチスレッド化の作業を消化出来たことが、この先、メニィコア時代のアプリケーション操作において成果を上げて来ることは間違いありません。また、ほぼ完全な64bit化を果たしたSnow Leopardですが、ここでもUniversal binaryのコンパイルによって32bitと64bitのパッケージを単一のシステムの元に柔軟に運用することが出来るので、ビット数の違い、互換性問題をユーザーに意識させることなく、64bitへのスムーズな移行を促進させることが可能となっています。

これまでAppleは、先進的な設計思想を持ったNeXTSTEPをベースに、あくまでも可及的な適正範囲内においてパフォーマンスチューンと機能の実装を重ねることで、Mac OS Xという一つのプラットフォームをひたすらに磨き上げて来ました。しかし、Snow Leopardでは、次世代のハードウェア、ソフトウェア、そして、ネットワークサービス時代のアプリケーション環境に対応して行く為に、初めてOSの基礎部分に手を入れようとしています。新しい時代のソリューションに適応する為に、ここで一旦足下を見直し、将来に備える為の地均しを行なおうというSnow Leopardについて、Appleは兼ねてから厳密に表には見えない部分での改善に集中して、ユーザーインターフェイスの改良や追加機能に関しては控えめなアップデートになることを強調して来ました。乱暴に言ってしまえば、エンドユーザーから見た変化は少ないが、OSの基盤部分には大きな変更が入る、中身の洗練に重きを置いたリリースという訳です。

それだけに、GCDやOpenCLなど、Snow Leopardに搭載されるテクノロジの一部はまだこれからの技術です。これらの効果をエンドユーザーが実感出来る様になるまでには、しばらく時間が掛かるでしょう。しかし、Snow Leopardの本質がプラットフォームの進化であるならば、Apple史上最大のベストセラーであるLeopardをブラッシュアップしながら、同時に今後のコンピュータアーキテクチャへの移行を着実に浸透させていく……という過程は、これまでのどのMac OS Xよりも戦略的で、非常に前向きなアップデートです。

特筆すべき事項としては、Macでは恐らく初めてのケースだと思われる既存ユーザーへのアップグレード版が用意されており、Snow Leopardの特性を踏まえた上での配慮が伺えるのもポイントです。その代わり、今回から正式にIntel Macのみをサポートし、Power PCには対応しません。Intel Macへの切り替えには良い契機だと思いますが、発売時期がまだしばらく先であること、また、安価なアップグレード版が用意されていることを考えると、新しいMacが買えるのであれば、プリインストールモデルを待たずとも特に問題はないのではないでしょうか。ユニボディ以降のMacは、基本的に全てSnow Leopard以降の技術を見据えた作りになっているので、世代的にはどのタイミングで購入しても不都合はありません。小刻みなアップデートで最先端を走っているMacBook Proを筆頭に、その為の器は揃っています。

2009年06月15日 (月)

Apple、MacBook Proファミリーを更新

Appleは8日、サンフランシスコで開催されたWWDC 09のキーノートにおいて、MacBook Proシリーズのリフレッシュを発表しました。今回のアップデートでは、全体に構成の底上げと値下げが図られています。

従来の15インチ、17インチモデルに加えて、今回のラインナップの一新で、新たに13インチのユニボディMacBookが“Pro”に昇格しました。それぞれ外観や基本スペックはほぼそのまま前モデルを踏襲していますが、プロセッサの動作クロックが全体的に強化されている他、液晶ディスプレイの色域が向上し、搭載メモリの上限が正式に8GBまで引き上げられています。また、17インチ以外のモデルについては新たにSDカードスロットを搭載し、更にバッテリが17インチモデル同様ビルトイン方式の内蔵型に統一されました。13インチモデルに関しては、バックライトキーボードが搭載され、ユニボディMacBook時に削られていたFireWireポートが復活しています。

価格はそれぞれ13インチモデルが134,800円から、15インチモデルが188,900円から、17インチモデルが278,800円からとなっています。

Image:MacBook Pro Mid 2009

性能的なマイナーチェンジと値下げが実施されたMid 2009モデル。GPUのアップデートは覚悟していたので、上位モデルでもNVIDIA GeForce 9600M GTが据え置かれたのは意外でしたが、Late 2008を購入したばかりで型落ちにならなくて良かったという点では、正直ホッとしています。とはいえ、MacBook Pro最大の弱点である液晶が強化されたことで、Late 2008のハズレモデルを愛用しているユーザーとしてはMid 2009には2歩先を行かれてしまった感じなので、8日以降はLate 2008もプロトタイプを使っている様な錯覚に陥ります。

今回のアップデートでは、過渡期に有りがちな一代限りのレアモデル「ユニボディMacBook」という副産物を生み出しながら、まずは見た目と名前を一致させてラインナップを整理したことで、ようやく落ち着いた棲み分けが実現しています。技術的には細部のブラッシュアップに留まる一方で、カテゴリ再編によるお値打ち感を出すことで新規顧客の取り込みを狙っており、業績の底上げを画策せんとするAppleの常套戦略としては妥当。MacBook Proファミリー全般にかなり割安感が出て来ています。

しかし、どうにも拡張スロット関連は迷走している感が否めません。恐らくは、内部的にスペースの確保が難しいところへ持って来て、SDカードがデファクトスタンダードに近いレベルで普及していることから、複合的な要因を総合的に判断した結果としてExpressCardが廃止されたものと思われますが、SDカードブータブルなどひとネタ仕込んではいるものの、この辺りに善くも悪くもアメリカ製らしい大味さと、Appleと言えども常に洗練されない部分が残っています。Macらしいマイナスの哲学と、コンピュータとしての拡張性の確保は、製品を編成する過程においてもしばしばコンフリクトを起こしていますが、例えば、FW400はコンバータで互換が利くとはいえ、そこは曲がりなりにも“Pro”を名乗るのであれば、拡張性を犠牲にして欲しくはありません。SDスロットについては、いっそ独自のSSDモジュール追加スロットを提案してしまうくらいの心意気が欲しかったところです。

一方、これに伴い、ポリカーボネートモデルのみに戻ったMacBookファミリーも、近々再編成があるものと予想されます。白いポリカーボネートは、元々の人気の高さに加えて、アメリカでは教育市場向けに「児童が雑に扱っても……大丈夫ッ!」な廉価ノートとして需要があるので、往年のeMac的な位置付けで当分の間は製品ラインとして残る気がしますが、例えば、今回の15インチ下位モデルは“Pro”の主力ラインであるにも関わらずNVIDIA GeForce 9400Mのみのモデルが構成されるなど、仕様的には旧MacBookとの橋渡し的な色合いが強いので、この辺りが上位モデルに集約されるタイミングで動きがあるのは確実だと思われます。

それにしても、性能アップは部品の価格帯を維持しながら部品自体の自然進化に任せ、使用頻度の少ない機能や利便性は外してコストダウンを行う、そんな当たり前がセオリーとして確立されている成熟市場においても、毎度、これだけの悲喜交々とワクワク感を提供してくれるAppleというメーカーは相変わらず大したものです。いずれにしても、Mid 2009はかなりお手頃。Snow Leopardへのアップグレードも29ドルで済んでしまうので、拡張性やバスインターフェースなど細部の仕様が気にならないのであれば、9月以降のプリインストールモデルを待つ必要はないと思います。

2009年06月06日 (土)

「タウンマーケット」始めました

リクルートが鋭意実施中の新事業「タウンマーケット無料宅配サービス」は、週刊テレビ情報紙と地域のチラシを一週間分まとめて、毎週金曜日に宅配してくれる地域限定の無料サービス。タレントインタビューなどを掲載した一週間分のテレビ番組表と、地域のスーパー、家電量販店などのチラシを、自宅までクロネコメール便でお届けしてくれます。会費は無料で、例えば「テレビ欄とチラシで十分」といった典型的な下流新聞購読者層にとっては手厚い代替サービスといえるので、まだ事業化調査段階にあると言われるビジネスですが、個人的には非常に期待感の大きいサービスです。

首都圏を中心としたスタートアップエリアに加え、5月には東京23区の一部でサービスイン。今回、我が家もサービス提供エリアに含まれたので、早速申し込んでみました。

幸せ生活便 Town Market

Macと出会い、やがてブロードバンド時代に突入してからというもの、世の中の動きを把握するのに必要な情報の収集と揺らぎの消化は徐々に新聞紙面からネットの世界へと移行して行きましたが、唯一ネットで代替しきれないのが地域のチラシとテレビ欄でした。やはりパソコンで見るテレビ番組表は一覧性に欠ける為、見易さにおける紙媒体の圧倒的な優位性は揺るがない、というのがその最たる理由として挙げられます。

さて、二週間ほど利用してみた感想はというと。

テレビ番組表については、これまで「テレビジョン」「TVガイド」「TVぴあ」などを歴々散逸して来ましたが、最近の「テレビジョン」などは、地デジ完全対応を謳うことでMXTVやTVKなどをテレビ欄に昇格させる傍ら、NHK BSがリストラの憂い目に遭うなど旧来のアナログ組にはやや厳しい誌面作りとなっており、NHKフリークとしては頭を悩ませていました。その点、「テレビ情報フリーペーパーTown Market TV」では、今のところ、首都圏における全国ネット局をNHK BSも含めてフォローしているので、私にとってはそれが何より重要なポイントとなっています。ゴシック体と明朝体が混在した組版には若干癖があるのでパッと見で把握出来る情報量は多くありませんが、A3判変型とサイズが大きいので視認性は確保されており、ジャンル別の色分けに加えて、旬なタレントの素顔に迫る特写インタビューや、エンタメランキングを抜粋したランキン*ラボといった連載企画を含む簡易的な巻頭巻末特集、番組解説と一通りの体裁は揃っているので、思ったよりもしっかり作られている印象です。

また、チラシは広告の絵本として流し読みするだけでも暇つぶしになり楽しいですが、実用系の母者・妹者によれば、めぼしい案件はないものの、それも折り込みチラシ一週間分の斜め読みと考えれば上々の様子。エリア区分、内容ともに新聞には追い付いていない感じで、相対的に量も少なく、近所のスーパーや商店街の広告が少ない分、主婦の仕事を突き詰めて行くとあまり使えない印象ですが、新聞を取っていない家庭にはオススメ出来る程度のものではあると思います。

これらが無料のパッケージで手に入ることを考えれば、凄く役立ちはしないがあまり邪魔にならないという部分で、例えば「テレビ欄とチラシが欲しい」一人暮らしのニーズにはピッタリなサービスだと思います。個人的にも、ことテレビ欄に関して言えば、テレビ雑誌を情報誌としてではなく番組表として活用していた購読者層にはプッシュ出来る内容なので、このクオリティで270円/週の出費が節約出来るというだけでも、家計には大変助かります。とはいえ、何分、試験運用的な色合いが強いままだと突然サービスが打ち切られても困るので、月額300円程度であれば有料会員制のビジネスモデルを模索しても構わないのではないでしょうか。

新聞社、及び販売店の聖域を破壊するリクルート気鋭の「タウンマーケット」。個人的に広告事業には懐疑的な部分もあるので、必ずしもリクルート的価値観に諸手を挙げて迎合することはしませんが、一方で、「タウンマーケット」がサービスとして成立する背景には、新聞の媒体力の低下が一因としてあるのは間違いありません。インフラは強力な武器になるので、新聞業界が旧態依然とした意識に胡座を掻いてさえいなければ、これは本来、彼らが購買率の下落をカバーする為に既存の配達網を利用して真っ先に始めておくべきだったビジネス。裏を返せば、それだけリクルートがリアル媒体での情報ニーズを的確に分析・理解し、消費者の需要を汲み取っているということでもあります。

「タウンマーケット」事業の正否に関わらず、このご時世、それでも新聞には新聞なりの存在意義があると思っているので、これが即「新聞イラネ」とはならないと思いますが、反面、このサービスだけで事足りるセグメントも実際にはかなりの数に上ると推測されるので、広告の急減と部数の減少に疲弊する新聞社、販売店にとっては多少なりとも打撃を被ることは避けられないと思います。今までなかったのが不思議なくらい、逆説的に画期的なサービスである「タウンマーケット」は、明文化されていないルールを自ら変えて行くリクルートらしいカウンター事業と言えそうです。

2009年06月04日 (木)

SCE、UMDを廃止した「PSP go」を正式発表

並み居る強豪を押し退けて、神谷英樹ディレクター最新作「ベヨネッタ」の、まさに別格と言える次世代アクションの圧倒的なインパクトに興奮し、カプコンの期待作「ロストプラネット2」のPS3版リリースが確定したことで安堵の溜め息を漏らしたE3 2009。ニュースバリューに事欠かず、比較的収穫の多かった今年のE3ですが、そんな中、SCEからは大方の予想通り、今後のPSP、及びPSN展開を占う上での分水嶺となるバリエーションモデル「PSP go(PSP-N1000)」が発表されました。直前に漏洩した内容を含め、あまりにもリークが多かった為、プレスカンファレンスでのお披露目も目新しさに欠けた感が否めません。

Photo:PSP go

ディスプレイ下部に操作ボタンを収納したスライド機構を採用するなど、従来のPSPからボディ構造に大幅な変更が加えられた「PSP go」は、UMDドライブを廃止することで小型化、及び初代比で40%、PSP-3000比で約20%の軽量化を図ると共に、16GBのフラッシュメモリを内蔵。これに伴い、液晶ディスプレイは4.3型から3.8型に縮小されています。また、外部ストレージにメモリースティックマイクロ(M2)を採用するほか、新機能としてはこれまでの無線LANに加えてBluetoothにも対応しました。本体の概要は流出情報ほぼそのままで、事前に噂されていた通りのものとなっていますが、「PSP go」は既存のPSP-3000を置き換えるものではなく、当面の間は従来モデルも併売されることになります。

なお、SECでは、これに合わせてPlayStation Networkなどネットワークを生かしたコンテンツサービスへの対応を強化しており、「PSP go」向けの新作タイトルはダウンロード販売にて提供されることが想定されています。「PSP go」は、欧米では10月1日に、日本では11月1日に26,800円で発売予定。日本向けにはピアノ・ブラックとパール・ホワイトの2色が展開されます。

ハード的な特徴はUMDレスなこと、見た目のポイントは何といってもスライド式のボディ。AVプレイヤーとしてのポテンシャリティを維持しつつ、ネットワークコンテンツへの本格的な対応を加速させることで、従来の“ゲーム機+α”的なパッケージングを更に押し進めたiPhone時代のデジタルガジェット実現に向け、その地均しを狙う「PSP go」は、PSP2世代を見据えたバリエーションモデルというよりは、パッと見では外観も含めてmyloの後継機的な何か。しかし、全体的に「あれ?」といった雰囲気で、そのネーミングも含めて、これまで以上にSCEの意図が読めないデザインに仕上がっています。

単純に見た目の問題で言えば、全体との調和が取れていないアンバランスなビジュアルパーツが妙に安っぽく不気味で、過剰なRに対して無駄に異質感のあるディテールが大味な印象を与えており、野暮ったさに拍車を掛けているのは間違いありません。液晶周りのプラ素材表面が波打っていてムラがあるなど、モックアップの成型精度の低さも「PSP go」の印象を悪くするのに一役買っていますが、「PSPは美術品」とまで豪語していた久夛良木時代からは懸け離れた造形で、ある意味では合理性のない非常にエモーショナルなデザインだと感じます。

まぁ、見た目は所詮好みの問題でしかないので譲るにしても、一方では、UMDレスで内蔵ストレージが16GBというのは強気に出たなという印象。また、PSPのコンセプトにあって液晶の小型化は致命的な失策ですが、その割に操作時の保有スペースは大きくなっているので、かなりの部分で操作性が犠牲になっているものと思われます。方向キーの辺りで本体をホールドすると重量バランスがかなり悪くなりそうですが、手元が窮屈な上にL/Rボタンにも干渉するので、梃子の逃げ場が無さそう。加えて、アナログパッドの位置があまりにもヒドい。モンスターハンターがまともにプレイ出来ないボタン配置の時点で、国内における携帯ゲーム機としての存在意義は終わっている感じがしますが、スライドを閉じた状態で操作出来るボタンはL/Rボタンだけなので、メディアプレイヤーとしてもアウト側に振れている気がしてなりません。

PlayStationの名を冠しながら、特徴的なL2/R2ボタンが無く、右アナログパッドも不在。画質や通信よりも、“アナログスティックを一本付け加えただけのGAME BOY”と変わらない操作性が、何よりもPlayStationとしての“遊び”を制限してしまっています。PSPのゲーム機としての不満点が一切解消されないどころか、むしろ改悪されている「PSP go」は、かといってメディアプレイヤーとしてもどうなのかといったところなので、ゲーム機として売りたいのかメディアプレイヤーとして売りたいのかよく分からない中途半端なポジションに収まってしまっています。

とはいえ、場所と電池を食う上に、滅法遅いUMDスロットを非搭載にした点は評価すべきです。予想通りとはいえ、UMDレスは流通市場にとっては爆弾に違いなく、デメリットを無視することは出来ませんが、将来的なPSP2への移行を踏まえれば、UMDとの直接的な互換性を切り捨てることは妥協点としてやむを得ず、特に内蔵ストレージを搭載することで携帯ゲーム機としてのユーティリティを最大化せんと目論む「PSP go」にとっては、メディア廃止の方向性を具体的に打ち出したことは英断だと思います。しかし、そうなると「結局、UMDってなんだったの?」という気がしてしまいますが、そこはソニーのお家芸でありご愛嬌といったところなのでしょう。

メディアが無ければ国境を跨いだ流通事情にも左右され難く、コピー/中古対策も比較的容易。理想論としては、ユーザーにとっても良いソフトがより安く遊べるのであれば歓迎しない理由はないので、メーカーに利益が還元され、ゲーム環境が今より快適になるのであれば、ディスクレスの方向性はゲーム産業にとっても悪いことではないと思います。

一方、ソニーにとって「PSP go」は、どちらかといえば先を見据えた実験的投入の意味合いが強く、例えば、ある側面では「PSP go」は来たるべきPSP2に向けての「DL販売の可能性」を探る為の観測気球であり、DL販売が受け入れられるかどうかのリサーチャー的な役割を担っていると考えられます。そこには、いきなり利益を出すことは難しいかもしれないがやってみよう、という打算を突き抜けた挑戦的な気概すら感じられるので、最近のSCEのアグレッシブさを買っている人間としては応援してあげたい気持ちですが、こと「PSP go」に関しては前のめりにこけそうな気がしないでもありません。

最大のネックは価格でしょう。実際には、BluetoothやM2、フラッシュメモリの搭載など見るべき点はありますが、携帯ゲーム機としては「廉価スペックでまさかの値上げ」である事実が大きいので、「UMDを廃止したPSP-3000」としか見られないのであれば、販売的には厳しいと思います。価格を維持する為にストレージ容量を削るべきではないので、トレードオフの結果としての値上げはやむを得ませんが、それも本体のスライド機構そのものがコスト高になっているとすれば本末転倒。いずれにしても賛否両論を巻き起こすことは間違いなく、何時にも増してネタ的に盛り上がりそうなハードです。

リンク:SCE、UMDを省き小型化した「PSP go」を発表

2009年05月29日 (金)

「Coda」を購入しました

「Coda」や「Transmit」といったMac用のソフトウェア開発で有名なPanic社が、5月27日〜5月29日の期間限定で50%オフのセールを実施中です。「Coda」「Transmit」を含む同社の主力製品が一律半額で提供されています。

Panic社製のアプリケーションでは「Transmit」を愛用していますが、これまでフルプライスではおよそ10,000円という価格に躊躇していた「Coda」が半額ということで、衝動的に購入してしまいました。O.Z.K.にとっては宝の持ち腐れという気がしないでもありません。

Image:Panic App 50% OFF SALE

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コーダを導入して美しいコードを育てましょう。

パニック・ジャパン - Coda - Mac OS X 用 シングルウインドウ Web 構築環境

Web制作は、デザイナーのポリシーによって大雑把に「Dreamweaver」かテキストエディタか、つまりWYSIWYGか手書きかのいずれかに分類することが出来ますが、「Coda」はWebサイトをWYSIWYGではなく、手書きで制作しているプロフェッショナルに向けたソフト。例えば、同様に「RapidWeaver」が自動化ツールの集大成であるならば、「Coda」は手打ち系ツールの真骨頂という訳です。

「Coda」はMac用Web統合開発環境を謳うだけあって、「テキストエディタ+FTPツール+CSSエディタ+ターミナル+電子ブック」がシステムの元に一元化された贅沢な構成で、コーディングに必要な機能がコンパクトにまとまっています。Macでは、テキストエディタやFTPソフトなど、単体のアプリケーションでは優れたものも多く存在していますが、こういった統合環境は少ないので、「CSSEdit」をベースに開発された「Espresso」と人気を二分する「Coda」の素性の良さは際立っています。

Web屋の為のアプリケーションにして、Macにおける理想的なオールインワンエディタである「Coda」は、「SubEthaEdit」や「Transmit」といったMacユーザーには名の知られたソフトをエンジンとして組み込んでおり、コーディング作業からファイル管理までのワークフローを一つのウィンドウに任せてしまおうという趣旨の元で、コーディングとチェックの効率化を追求したアプリケーションです。構文モードでソースコードを補完するエディタ、SafariのレンダリングエンジンであるWebKitを採用した能率的なプレビュー、サーバ上のファイルを直接編集することも可能な「Transmit」譲りのFTP機能、同一画面内でSSH操作も出来るターミナルまで、ウェブ開発に必要な各機能を網羅し、サイトのクリップからシェルコマンドまでをも幅広くこなしながら、編集、ファイル管理、FTPをこれ一本で完結します。

DWに比べればシンプルなアプリケーションですが、その分、動作は軽快で使い易く、何よりも、Mac向けのネイティブアプリケーションであることをよく理解した上、徹底的に作り込まれたフロントエンドのデザインが優秀で、触っているだけでも気持ちが良い。要所に挿入されるアニメーションによるエフェクトは作業を邪魔することなく、しかし、細部に渡って趣向が凝らされていて、サイトを登録すれば自動的にトップページのキャプチャをアイコン化してくれるなど、気の利いた仕掛けも満載。Macならではの大胆で美しいインターフェイスが、「Coda」を使うことに喜びさえ与えてくれます。

それは同時に、「ハンドコード派のためのエレガントなエディタ」という触れ込みを掲げる「Coda」でもあるので、とかく使い勝手にも配慮されている印象です。機能的なインターフェイスを活かした自由度の高い画面レイアウトが、それぞれの作業環境に合わせた快適なソース管理の仕組みを実現すれば、デフォルトで採用されているBitstream Veraをベースにした"Panic Sans"フォントは、一見地味ながら視認性の高い等幅スタイルで、かなり見易いのがポイント。他方、インクリメンタルなコード補完機能も秀逸で、高品質なリファレンスブックと連動しながら、開始タグや完了タグ、属性の入力支援を行ってくれます。シンタックスチェック機能も含めたプッシュアップのレスポンスが非常に良いので、慣れてしまうとかなり爽快なコーディングが出来る様になります。

これが揃ってシェアウェアで90ドル、半額で45ドルとそこそこの値段ではあるのですが、40,000円超のDWに比べればかなり魅力的な価格です。DWより機能的に劣る部分は当然ありますが、逆に「Coda」の方が優れている部分もあるので、どちらかが足りる足らないということではなく、用途に合わせたアプローチを考えてやるのが妥当な使い方だと思います。ただ、Webサイトをタグ打ちで制作するデザイナーにとっては、DWの機能は必ずしも必要なものばかりではありません。低価格ながら充実したオプションを備え、アップロードファイルの先祖返りを防ぐ様な工夫を随所に盛り込み、小回りの利く開発環境を提供する「Coda」は、大規模な案件にも対応する柔軟性を持ちながら、一般的な企業サイトなど小規模な物件を制作するのに最適なビジュアルを提供します。

クリップやブロック編集、検索・置換機能など、まだまだ試していないことは沢山あるのですが、総じて、痒いところに手が届くおもてなし仕様のお陰で、私にとっては今のところ、これが統合エディタとしては一番手に馴染んでいます。日本語の対応も丁寧で素晴らしいのがPanic社の良いところであると併せて強調しておきますが、Web制作において、他のアプリケーションを跨いで移動する必要がなくなるというだけでも、これは結構なエネルギーの節約になるのではないでしょうか。「Coda」は、決してコーディングだけに特化している訳ではなく、エレガントな開発環境を包括的に提供してくれるので、どうせMacを使うならもう少しスマートなデスクトップを目指してもいいんじゃないか、という主張に説得力を持たせてくれる素敵なアプリケーションです。

2009年05月24日 (日)

DVD「仮面ライダーディケイド VOL.1」7月21日発売

2009年のスーパーヒーロータイムを疾走する「侍戦隊シンケンジャー」と「仮面ライダーディケイド」のDVD化がスタート。スーパー戦隊シリーズ第33弾となる「侍戦隊シンケンジャー」と、平成仮面ライダー10周年のアニバーサリーを飾る「仮面ライダーディケイド」、第1巻はそれぞれ7月21日発売予定です。

Amazon.co.jp:仮面ライダーディケイド VOL.1

*一筆奏上!天下御免の侍戦隊シンケンジャー、いざ参る!*

「侍戦隊シンケンジャー」は、リーダーを“殿”と呼称し、配下には多数の黒子を従えるなど、“和”をテーマに時代劇のエッセンスをふんだんに盛り込んだ勧善懲悪ストーリー。遥か昔からこの世とあの世を結ぶ「隙間」から、この世を恐怖に陥れる「外道衆」が襲来。武芸に秀で、不思議な「モヂカラ」を受け継いだ平成の侍・シンケンジャーが「外道衆」に立ち向かいます。ハードでシリアスな世界観とメリハリのあるギャグパートが融合した痛快チャンバラアクションは、近年の特撮ヒーロー作品には欠かせない小林靖子が脚本を手掛けていることでも注目されています。

*通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ*

一方、平成仮面ライダー10周年記念作品として制作された「仮面ライダーディケイド」には、平成ライダーシリーズ総決算としての記念イベント的な意味合いが込められています。“10年”を意味する名を持つライダーが「仮面ライダークウガ」から「仮面ライダーキバ」まで続く過去9作品の世界を旅し、歴代ライダーとの夢の共演を果たすお祭り的展開が、観る者を惹き付けて止みません。

───並行して存在する平成ライダーの世界が融合を開始し、崩壊の危機に直面したディケイドの世界。過去の記憶を失っていた門矢士に与えられたミッションは、ライダー達の世界を巡り、世界を崩壊から救うこと。ディケイドには、全ての仮面ライダーを破壊して世界の崩壊を食い止めるという使命が課せられています。

昭和ライダーへのカウンターでありアンチテーゼとして誕生した平成ライダーは、昭和ライダーの泥臭いイメージを逆手に取ることで、新しい仮面ライダーのスタイルを確立しました。ディケイドでも、平成ライダーらしい素っ気ないほどクールな活劇とスタイリッシュな演出は健在。同時に、「仮面ライダー電王」以降、やや鳴りを潜めていた現場感=ライブ感と、映画的なカットを多用した本格感が全面に押し出されています。

ディケイド最大の見所は歴代ライダーとの共演ですが、それぞれのライダーは、オリジナルの設定や出演者とは微妙に異なっています。それぞれが独立した世界観を持つ平成ライダーをパラレルワールドとして設定することで、由来10年の単純な回顧ではなく、区切りの今だからこそ実現出来る現在進行形の新しいドラマを再構築することがこの作品の意義でありテーマとなっています。

*スーパーヒーロータイムの当たり年*

2009年のスーパーヒーロータイムは、スーツデザインの酷さに反して、内容はといえば大人も楽しめる特撮エンターテイメントに仕上がっており、視聴率も好調。数字に質が伴っている近年稀に見る当たり年です。

ディケイドは毎回がお祭り騒ぎで心が躍りますが、一方のシンケンジャーもこれがなかなかシブい。初回冒頭から世界観が剥き出しで、本編は勿論のこと、オープニング・クリップからサイキックラバーによる主題歌に至るまで、脇を固める小道具のほぼ全てが完璧な仕上がり。ここまで小林脚本にハズレ回はなく、近年では最高の、それどころか平成戦隊史上最高峰の頂さえ狙える傑作戦隊になりそうな予感がします。とはいえ、それも子供目線ではどう理解されているか分からないので(といっても視聴率は健闘していますが)、彼らに人気が出ないからと現在のシリアス路線が軌道修正されないことを祈っています。

*オリジナルを必要としない唯一無二のディケイドの世界*

他方、そのディケイドも、制作発表当初の杞憂をよそに、お祭り企画の見本の様な内容でよくやっています。

  • 前年のキバが数字面でも収益面でも低調だった為、ローリスクハイリターンの企画が必要だった。
  • クウガの頃に生まれていない子供にもレンタルビデオを借りさせたい。
  • 10年付き合ってきたマニアには復刻グッズを買わせたい。
  • 各オリジナル作品の本編内で未消化だった設定を回収しつつ。
  • ライダー、怪人の着ぐるみを再利用することで制作費をカット。
  • 出演が難しいと思われる役者事情を考慮し、パラレル設定を利用することで、オダギリジョーや要潤、水島ヒロらのギャラをカット。
  • それは同時に原作ファンへの配慮でもあり、マニアに抵抗感を抱かせない為の言い訳として活用。

こういった要素をかいつまむと、お祭り感というよりは採算最優先の番組という感じがしますが、仮面ライダーとしてのスケールメリットを俯瞰することで、ある意味、平成シリーズの中継装置として機能するハブ的役割を盛り込みながら、温故知新を促進させる戦略性を忍ばせている辺り、非常にクレバーに立ち回っている印象です。よくここまで「失敗するはずがない」企画を考えたものだと感心させられます。

それだけに、電王やキバなど特定作品の優遇には気が滅入るところで、例えば、響鬼編を除けばただ一人オリジナルの世界観を踏襲した電王編は、“リ・イマジネーション”を標榜する本作のコンセプトにあってはその破綻に他ならず、ディケイドの物語としては不適格。また、カブト編のクウガ・ペガサスフォームやファイズ・アクセルフォームに見る効果的なカメンライドを考えると、毎回やられる為だけにしゃしゃり出て来るキバの存在意義は一体何なのかと自問してしまう。そこには、作品としての創造性よりも優先するスポンサー事情が見え隠れしており、商業主義的な制約がそれぞれのオリジナル作品の印象を悪化させることに一役買うだけでなく、10年に一度の祭典に水を差しています。

そういった側面も含めて、平成ライダーファンとしてシビアに現状認識を整理してみると、ディケイドスタッフからは原作への愛情こそ感じるものの、あと一歩、決定的な何かが足りない気がしています。例えば、カブトにおける音声シークエンスやゼクターギミックのオミットなどは、客観的に見ればほんの僅かな差であっても、原作ファンにとってはそれが決定的なこだわりの差となるので、尺の都合、制作費の問題、玩具展開との兼ね合いなど諸々の事情はあれど、ディケイドのプロットそのものは筋が良いだけに、この微妙な気配りの足らなさ、こと再現性という点におけるディテールへの妥協感が余計に惜しい。

とはいえ、カブト編を終えて、オールライダー劇場版の全貌も明らかになりつつある今、後半戦に向けてディケイドのドラマがますます楽しみになって来たのは間違いありません。あとは、既に起こってしまった脚本交代劇が本編に悪い影響を及ぼさないことを願いつつ、これ以上の身内のゴタゴタと、制作面での大人の事情が発動しないことを祈るばかり。

2009年05月06日 (水)

「機動戦士ガンダムUC」アニメ化決定

「月刊ガンダムエース」にて連載中の福井晴敏による「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」のアニメ化が決定。公式プレサイトがオープンし、2009年冬のアニメ化と、宇宙世紀に新章を築き上げる主要スタッフが発表されています。

Image:機動戦士ガンダムUC ユニコーン

原案:矢立肇・富野由悠季
監督:古橋一浩
脚本:むとうやすゆき
キャラクターデザイン原案:安彦良和
アニメーションキャラクターデザイン:高橋久美子
モビルスーツ原案:大河原邦男
メカニックデザイン:カトキハジメ、佐山善則、石垣純哉、玄馬宣彦
設定考証:小倉信也
ストーリー:福井晴敏

http://www.gundam-unicorn.net/

作家・福井晴敏が手掛けるガンダムは、2000年に発表された「∀ガンダム」の小説版である「月に繭 地には果実」に続き2作目。物語は、アムロとシャアの対決が描かれた「逆襲のシャア」から3年後の宇宙世紀0096年を舞台としており、宇宙世紀をモチーフとしたガンダムにまつわる多くの出来事が描かれているのが特徴となっています。工業コロニー・インダストリアル7を基軸に、少年バナージの成長と白いモビルスーツ・ユニコーンガンダムとの出会い、そして禁忌の箱・ラプラスを巡る宇宙規模の抗争を描く「機動戦士ガンダムUC」。宇宙世紀の新たな流れを作り上げる「機動戦士ガンダムUC」のアニメ化によって、ガンダムファン、宇宙世紀ファンはその器量を試されることになります。

制作は、これまでのガンダムシリーズ同様、サンライズが担当。2009年冬から作品展開を開始します。サンライズによれば、「機動戦士ガンダムUC」は同社が展開するガンダム作品ラインナップの中核に据えられ、全世界に向けた戦略作品群の一つとして位置付けられるとのこと。イベント上映、映像パッケージ販売の他、インターネット網などを利用した、多言語対応による世界同時配信を提案しており、視聴形態に縛られないマルチメディア展開を予定しています。

プレスリリースを見る限り、ネット配信が中心になると考えられる「機動戦士ガンダムUC」ですが、多言語対応による世界同時配信を謳うなど、その映像展開は、かなり大規模な動員戦略をもって実施される模様です。作品公開の流れとしては、ネット配信後にパッケージ販売、場合によっては劇場版も……といった展開が予想されますが、視聴形態に縛られないマルチメディア展開ということなので、TVアニメ化の線は薄いと見られています。サンライズとしては、「機動戦士ガンダムUC」が同社の総力を挙げた大型プロジェクトであることを強調しており、バンダイナムコグループを巻き込んだ大掛かりな仕掛けと、従来のシステムに捕われない新たなビジネスの枠組みが注目されています。

ガンダム30周年に満を持して発表された大人の為のガンダム「機動戦士ガンダムUC」。直近では、「RD 潜脳調査室」での辣腕ぶりも記憶に新しいベテラン・古橋一浩監督を筆頭に、宇宙世紀の息遣いを紡ぐに相応しい、旬なクリエイターが集結しています。デザイン原案は、お馴染み安彦良和&大河原邦男コンビとなっており、正統ガンダムとしての世界観を主張していますが、反面、実際に設定画稿として描き起こされたバナージのイメージを見ると、安彦良和のキャラクターに見られる風貌や雰囲気は削ぎ落とされており、原案のそれとは受ける印象が異なります。ただ、これも実際に劇中で動くとなると話は変わって来るので、今はデザインに言及すべきではないのでしょう。

とはいえ、アニメーターが悲鳴を上げそうなユニコーンのデザインをほぼ変更なしで押し通してしまう、これを野心と取るか愚直と取るかは微妙なところで、スタッフも企画の段階から随分と無茶をするなぁというのが率直な感想。MSV全盛、80年代スタイルのリバイバルと考えれば、作画の簡略化が進んだ00年代では却って新鮮に映るのは確かですが、こうも複雑怪奇に線が多いと3DCGを用いずに動かすのは至難の業で、作画スタッフがこれをどう攻略して見せるのか、興味深いところです。

他方、ここに来て、やはり最初からアニメ化ありきの企画だったことが明らかにされている本作ですが、それもそのはず、脇を固めるにしては豪華過ぎる安彦良和とカトキハジメを巻き込み、サンライズ公認の下、宇宙世紀の正史にまで踏み込んだプロジェクトが動き出そうかという時に、そういった話が持ち上がらない訳がありません。そういう意味では、またぞろ民間人の子供とオーパーツが主人公で、おまけにヒロインが貴族様という、いい加減食傷気味な設定が持ち込まれた背景にも、半ば合点が行くというものです。

しかし、SEEDに引き続き、00にも落胆させられたガンダムファンとしては、基本的に一年戦争の延長線上にある宇宙世紀モノには見込みを持ちたいものの、一方ではユニコーンという作品自体に若干懐疑的な印象を抱いている為、期待半分不安半分というのが正直なところ。ただ、昨今のマーケティング戦略やアニメ的な“お約束”が中心の作品作りに満足していない頑固な大人たちにとっては、作劇論を主体とした作品作りに志を掲げる本作のスタッフの意気込みに、共感を覚える部分があるのも確かだと思います。00年代に顕著だった軟派路線に一石を投じることが出来るかどうか、お手並み拝見です。

リンク:
O.Z.K. : 「機動戦士ガンダムUC [ユニコーン]」Webサイトオープン

2009年05月02日 (土)

本日のお届けもの:PS2「仮面ライダーカブト」

PS3「KILLZONE 2」を物色していたら何時の間にかPS2「仮面ライダーカブト」を買っていた……な、何を言ってるのか分からねーと思うが(略

ということで、コレクターズアイテムとしての現物確保が至上命題だった念願のPS2「仮面ライダーカブト」を今ようやくお買い上げ。「仮面ライダーディケイド」での登場が近いこと、劇場版の地上波初放送でカブト熱が爆発的に再燃したことで、物欲の衝動を突き動かされました。最近は、PS3「KILLZONE 2」効果でFPS日和が続いており、この機会にDayTripperさんを始め各方面からオススメされていたPS3「Call of Duty 4」を購入しようと画策していたのですが、なんと中古市場の相場が9,000円を超過するという異常事態に陥っていることが判明。流通在庫が少なくプレミア化しているという噂は聞き及んでいましたが、Xbox 360版だけの話だと思い込んでいたので、少々面食らってしまいました。早々に確保しておくべきだったと後悔しても後の祭りで、こうなってしまうと廉価版契機を狙うしかなく、面目ないなぁ。

Amazon.co.jp:PS2「仮面ライダーカブト」

「仮面ライダーカブト」がアクションゲームに。1対多の強いライダーを表現するために移動方法は3Dに進化。派手かつ有効な技が自動連係するセミオートと、自ら連携を決めるマニュアルの2種類の操作手続きを実装した。1人用プレイでは、ユーザーの習熟度により、ステージごとにCPUの難易度を自動調節するチューニングも実装。キャストオフによるフォームチェンジはもちろん、クロックアップによる高速バトルへの突入を再現。時間が止まるシーンもテレビ番組同様にこだわりの演出を収録した。通常のVSモード、タッグバトルに加え、デモムービーを編集してライブラリーに収録できるEDITモードや、隠しキャラクター、隠しモードも用意されている。

開発終了ギリギリの時期にお披露目されたTV本編のキックホッパーに感動して、わざわざゲーム中のモーションを作り直した、という逸話を残すなど、例年になく異常に気合いが入っていたゲーム商材「仮面ライダーカブト」。その溢れるカブト愛故に、ワームに擬態されたデジフロ社員が開発したという賛辞をもって迎えられ、“デジフロイドの奇跡”として語り継がれる本作は、本編がもともとゲーム向きの素材だったこともあって、キャストオフやクロックアップなどのモチーフを忠実に再現し、ゲーム中における駆け引きのフックとしてシステム化することで、出色の出来映えを実現。連打に頼らないゲームバランスと、大味な操作感がいちいち爽快で、従来の格闘スタイルを踏襲しつつも、新たに開発された3Dエンジンが高速三次元戦闘をスタイリッシュで魅力的なものにしています。

例えば、カブト&ドレイク vs 影山ザビーといった舞台装置や、RIDERCHIPSの「FULL FORCE」における“お前はもう死んでいる”気分を高揚させる舞台演出、また、会心のライダーキックをフィニッシュブローとして機能させる為に必要な戦略性と、それが決まった直後に流れるクロックオーバーなど、思いがけず本編同様のシチュエーションが実現することで脳汁が噴出しますが、そういったロールプレイ要素、シミュレーション要素がプレイヤー次第で(ここ重要)比較的容易に実現する本作のポテンシャルは絶大。カブトの作品性を見事に使いこなした奥行きのあるゲームデザインと、サービス精神の行き届いた作り込みは、キャラゲーとしての上質な遊び応えを提供しています。

一方、アクション以外にも、天道総司、神代剣坊ちゃまによる注意事項の朗読から始まって、キャラ同士の掛け合いや、“サバミソパワァ”といった本編の洒落っ気をそのまま抽出してしまった新録マシンボイス、ローディング画面でのゼクターバトルなど、あらゆるディテールに配慮した仕上がり、思わずニンマリしてしまうファンディスクとしての懐の深さは、カブトファンにとってまさに天の道を往く神ゲーに他なりません。

作品性の再現という点では、例えば、ライダーゲーと似た傾向にある格闘スタイルのアクションシミュレーションでヒット作を量産しているドラゴンボールシリーズは、古くはSFC「超武闘伝2」から始まって、幾つかのエポックメイキングな作品を世に送り出していますが、仮面ライダーとは比較にならないほど巨大なワールドマーケットを形成するそれらの戦略タイトルに匹敵するほど、PS2「仮面ライダーカブト」のライダーゲーとしての出来映えは群を抜いており、キャラゲーとしての優秀さが際立っています。

反面、数多の要望の声も虚しく、結局、完全版が発売されることはありませんでしたが、例年にないフィードバックの多さは本作の素性の良さを物語ると同時に、裏を返せば、まだまだ改良の余地があるということを示しています。視聴者の年齢層から来るターゲット設定の曖昧さ、難しさもあって、本作は決して完璧なゲームではありません。しかし、発売時期の関係から収録キャラ数に限界があり、ストーリーモードが単調にならざるを得ないこと、また、ハイパーカブトのハイパーキックが未収録で、ダークカブトのキャラクター設定が本編とは異なること、そういった未消化な部分を差し引いてもなお、CD-ROM媒体である割には充分なボリュームがあり、多少の粗には目を瞑ってもそれを補って余りある面白さに酔いしれてしまう、それがPS2「仮面ライダーカブト」の商品力です。

ただ、それだけの充実した内容を誇りながら、約3万本と例年並みの販売実績しか残せなかったことが企画の縮小を招いたのか、将又、マーケティングの都合上、あらかじめ企画の打ち切りが決定していた為に、最後の花火とばかりにここまで気合いの入った作りになったのか、その前後関係を知る術はありませんが、結果的に、平成ライダーゲーの集大成を提示した本作を最後に、ライダーゲーのコンソールへの展開は一時的に中断することになりました。

そして、平成仮面ライダー10周年の今年、PS2「仮面ライダー クライマックスヒーローズ」の発売によって、いよいよ3年ぶりに量産ライダーゲーが復活の狼煙を上げますが、カブト以前の疑似2Dスタイルに戻ったゲームフォーマット、頭数を揃えられなかったライダーラインナップなど、発表当初の期待感をよそに、新情報が明らかになるにつれて不安ばかりが募る今作には、正直、希望が持てません。3年ぶりのライダーゲーであることと、平成ライダー10周年のお祭り感、また、内容、視聴率共に好調な「仮面ライダーディケイド」本編との相乗効果によって、終息しつつあるPS2市場においてもそれなりの販売実績は残すものと思われますが、こと品質に関しては、例年通りのバンナム・クオリティに軟着陸すると予想されるクライマックスヒーローズにとって、超えるべきハードル───カブトの壁───は高く厚い。

罪は一度でも良ゲーの味を知ってしまったこと。銘打てのユーザー体験が後に、クリアすべきライダーゲーの基準が引き上げられた状態にある私にとって、これといって目新しい要素のないクライマックスヒーローズに“後戻り”するのは辛く、その手に“未来を掴む”ことは難しいと感じられます。

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