2009年05月06日 (水)

「機動戦士ガンダムUC」アニメ化決定

「月刊ガンダムエース」にて連載中の福井晴敏による「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」のアニメ化が決定。公式プレサイトがオープンし、2009年冬のアニメ化と、宇宙世紀に新章を築き上げる主要スタッフが発表されています。

Image:機動戦士ガンダムUC ユニコーン

原案:矢立肇・富野由悠季
監督:古橋一浩
脚本:むとうやすゆき
キャラクターデザイン原案:安彦良和
アニメーションキャラクターデザイン:高橋久美子
モビルスーツ原案:大河原邦男
メカニックデザイン:カトキハジメ、佐山善則、石垣純哉、玄馬宣彦
設定考証:小倉信也
ストーリー:福井晴敏

http://www.gundam-unicorn.net/

作家・福井晴敏が手掛けるガンダムは、2000年に発表された「∀ガンダム」の小説版である「月に繭 地には果実」に続き2作目。物語は、アムロとシャアの対決が描かれた「逆襲のシャア」から3年後の宇宙世紀0096年を舞台としており、宇宙世紀をモチーフとしたガンダムにまつわる多くの出来事が描かれているのが特徴となっています。工業コロニー・インダストリアル7を基軸に、少年バナージの成長と白いモビルスーツ・ユニコーンガンダムとの出会い、そして禁忌の箱・ラプラスを巡る宇宙規模の抗争を描く「機動戦士ガンダムUC」。宇宙世紀の新たな流れを作り上げる「機動戦士ガンダムUC」のアニメ化によって、ガンダムファン、宇宙世紀ファンはその器量を試されることになります。

制作は、これまでのガンダムシリーズ同様、サンライズが担当。2009年冬から作品展開を開始します。サンライズによれば、「機動戦士ガンダムUC」は同社が展開するガンダム作品ラインナップの中核に据えられ、全世界に向けた戦略作品群の一つとして位置付けられるとのこと。イベント上映、映像パッケージ販売の他、インターネット網などを利用した、多言語対応による世界同時配信を提案しており、視聴形態に縛られないマルチメディア展開を予定しています。

プレスリリースを見る限り、ネット配信が中心になると考えられる「機動戦士ガンダムUC」ですが、多言語対応による世界同時配信を謳うなど、その映像展開は、かなり大規模な動員戦略をもって実施される模様です。作品公開の流れとしては、ネット配信後にパッケージ販売、場合によっては劇場版も……といった展開が予想されますが、視聴形態に縛られないマルチメディア展開ということなので、TVアニメ化の線は薄いと見られています。サンライズとしては、「機動戦士ガンダムUC」が同社の総力を挙げた大型プロジェクトであることを強調しており、バンダイナムコグループを巻き込んだ大掛かりな仕掛けと、従来のシステムに捕われない新たなビジネスの枠組みが注目されています。

ガンダム30周年に満を持して発表された大人の為のガンダム「機動戦士ガンダムUC」。直近では、「RD 潜脳調査室」での辣腕ぶりも記憶に新しいベテラン・古橋一浩監督を筆頭に、宇宙世紀の息遣いを紡ぐに相応しい、旬なクリエイターが集結しています。デザイン原案は、お馴染み安彦良和&大河原邦男コンビとなっており、正統ガンダムとしての世界観を主張していますが、反面、実際に設定画稿として描き起こされたバナージのイメージを見ると、安彦良和のキャラクターに見られる風貌や雰囲気は削ぎ落とされており、原案のそれとは受ける印象が異なります。ただ、これも実際に劇中で動くとなると話は変わって来るので、今はデザインに言及すべきではないのでしょう。

とはいえ、アニメーターが悲鳴を上げそうなユニコーンのデザインをほぼ変更なしで押し通してしまう、これを野心と取るか愚直と取るかは微妙なところで、スタッフも企画の段階から随分と無茶をするなぁというのが率直な感想。MSV全盛、80年代スタイルのリバイバルと考えれば、作画の簡略化が進んだ00年代では却って新鮮に映るのは確かですが、こうも複雑怪奇に線が多いと3DCGを用いずに動かすのは至難の業で、作画スタッフがこれをどう攻略して見せるのか、興味深いところです。

他方、ここに来て、やはり最初からアニメ化ありきの企画だったことが明らかにされている本作ですが、それもそのはず、脇を固めるにしては豪華過ぎる安彦良和とカトキハジメを巻き込み、サンライズ公認の下、宇宙世紀の正史にまで踏み込んだプロジェクトが動き出そうかという時に、そういった話が持ち上がらない訳がありません。そういう意味では、またぞろ民間人の子供とオーパーツが主人公で、おまけにヒロインが貴族様という、いい加減食傷気味な設定が持ち込まれた背景にも、半ば合点が行くというものです。

しかし、SEEDに引き続き、00にも落胆させられたガンダムファンとしては、基本的に一年戦争の延長線上にある宇宙世紀モノには見込みを持ちたいものの、一方ではユニコーンという作品自体に若干懐疑的な印象を抱いている為、期待半分不安半分というのが正直なところ。ただ、昨今のマーケティング戦略やアニメ的な“お約束”が中心の作品作りに満足していない頑固な大人たちにとっては、作劇論を主体とした作品作りに志を掲げる本作のスタッフの意気込みに、共感を覚える部分があるのも確かだと思います。00年代に顕著だった軟派路線に一石を投じることが出来るかどうか、お手並み拝見です。

リンク:
O.Z.K. : 「機動戦士ガンダムUC [ユニコーン]」Webサイトオープン

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