2009年12月02日 (水)

スクウェア・エニックスへの呪詛

O.Z.K.:「Call of Duty 4: Modern Warfare」成長の備忘録より分離独立。いよいよ12月10日に日本版の発売を控えた「Call of Duty: Modern Warfare 2」は、私にとっては何年かに一本出るか出ないかの、本気で楽しみにしていたタイトルでした。それだけに、今回ばかりはスクエニの糞っぷりに心底絶望したので、我ながら邪悪だとは思いながらも、追記分だけでは収まりの付かないこの気持ちを、独立したエントリとして書き起こしておこうと思います。

ホリデーシーズンに発売を控えた洋ゲーの広報活動が活発化する中、本命中の本命でありながら、日本版のリリースに関しては一向に動きが見えなかったMW2。そこに降って湧いて来た吹き替え騒動。和田社長に曰く「我々が適切なマーケティングを行うのでMW2は日本でも売れる(キリッ」の答えがこれでした。PC版の恐慌を対岸の火事だと意に介さなかった私の認識が甘かった。以下、追記分を再掲。

Amazon.co.jp:CALL OF DUTY : MODERN WARFARE 2

スクエニにローカライズを任せた結果がこれだよ!

発売間近も12月1日になっての情報解禁で、あろうことか、まさかの日本語音声吹き替えが確定したMW2。Resistance 2やKillzone 2の日本語吹き替えも違和感が大きく苦痛でしたが、あれはSF(ファンタジー)なのでまだ我慢出来ないこともなかった。しかし、現実の延長線上にある世界を舞台にした現代戦でこれは受け入れ難い。それも、CoDシリーズは伝統的にオリジナル音声+字幕スーパーだった作品で、直接的な前作であるCoD4も勿論それを踏襲していた訳です。Gazの英国訛りの英語と海兵隊の米国英語とのコントラストが国際色豊かな紛争問題に彩りを添えていたことを思えば、英米合同作戦としての趣きも、欧米資本主義社会を中心とした対ロシア、対中東、対テロといったMWが描く混沌とした現代戦の構図も、全てが台無しです。

極論、リアリティやディテールの再現に極限までこだわっているMWは、ストーリーを把握し易いか否かよりも、戦場の空気感や、本物感のある雰囲気の方が遥かに重要だったゲームです。「英語は分からない。でも翻訳は知りたいし、オリジナルの雰囲気も味わいたい。」という人向けの文化が字幕スーパーだとすれば、そういった需要は確かにあったはずで、それはむしろシリーズを支持して来たファン層にこそ当て嵌まるはずですが、ローカライズに当たって、スクエニが何故こんな判断を下したのか、私には理解出来ません。ファミ通の記事が正しければ、わざわざオリジナル音声をカットしてまで、問答無用で日本語吹き替え版のみとした今回のローカライズは、プレイヤー層やジャンルを考えても、これはちょっとした暴挙ですらあって、正直、個人的にはPS3版モンスターハンター3が開発中止を宣告された時と同等の大きなショックを受けています。なんてこった、どうしてこうなった……彼らを一度でも「空気を読んでいる」「良い仕事ぶり」と賞賛した自分を呪ってやりたい。スクエニに期待した私が馬鹿でした。

至極残念な吹き替えであるとか、許容の限度という次元を超えて、少なくともプレイ意欲を限りなくゼロに等しいレベルにまで削ぎ落とされるには充分過ぎる情報だったので、MW2の明日がどちらに転ぶかは現時点では分かりません。本当に悔しい、死ねばいいのに。

12月5日追記

字幕/ボイスともに日本語のみで、英語音声に切り替えることはできません。前作は字幕のみでしたが、FPS初心者に向けて間口を広くしたいという Activision側の強い要望があり、ボイスも翻訳することにしました。今後のファン拡大を考えると、我々もこの判断は正しかったと思っています。

『モダン・ウォーフェア2』のようなゲームの場合、音声が母国語でないと、周辺で飛び交っている指示の半分も聞き取れず、ゲーム制作者の意図がプレイヤーにすべて伝わりません。

その上で、音声の日英切り替え機能はActivision、Infinity Wardともども最後まで可能性を検討したのですが、技術的な制約が壁になりました。他国語版はすべて自国語音声吹き替えのみだったので、日本版のみの独自仕様を作ってゲームエンジンをそれに対応させることはリスクが大きすぎると、最終的に判断されたのです

http://www.famitsu.com/game/news/1230281_1124.html

スクエニ広報部の説明によれば、元々MW2自体が他言語対応できないシステムであったとのこと。上記のコメントには、“技術的な制約”など、何かしら釈明の必要に迫られた場合の魔法の言葉、いわゆる常套句が当たり前の様に用いられているので、沽券など無に等しい彼らの口から云い放たれると如何にも言い訳がましいのが微妙ですが、仮にも百歩譲って、日本版の言語仕様が素直にActivisionやInfinity Wardの意向だとして、それを最大限に汲んだ結果であるとするならば、多少気持ちも楽になる……かなぁ……。

とすれば、スクエニのパブリッシャーとしての仕事とは一体何なのか、マーケッターとして果たすべき役割とは何なのか、(ちょっと乱暴だけど)本社側と綿密な協議を重ねてまで伝えたかったことは彼らの御用伺いを立てることだけなのか、など、まあ単純な消費者心理としては好き勝手に言いたいことは色々とありますが、この際ぐっと堪えて、敢えてそれを問い質すことはしません。ただ、告知の方法、タイミング一つ取っても、大口を叩いていた割にMW2に関してのスクエニのマーケティングは最悪の一言に尽きるので、今回の一件で、彼らの心証はより深いレベルですこぶる悪いものとなりました。

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