2007年09月25日 (火)

Now Playing|Craig David / The Story Goes...

Amazon.co.jp:Craig David / The Story Goes...

Craig David「The Story Goes...」がヘビーローテーション中。デビュー当時は2ステップの衝撃もそこそこに、何よりもそのマイルドな音楽に強く惹かれたCraig Davidですが、何かとタイミングが合わず、現在所有している作品は唯一これのみ。

“2ステップの貴公子”として名を馳せる一方で、アコースティック・ギターをフィーチャーしたミディアム・スローナンバーではソウルフルな歌声を披露するなど、バラエティ豊かなサウンド・スタイルを展開するCraig David。2005年にリリースされた3rdアルバム「The Story Goes...」は、ミドルテンポのバラード曲が中心の構成で、2ステップ色は薄め。元来、ソウル好きやポップス好きのアンテナにもヒットするだけの魅力を備えるミュージシャンなので、クール&ダンサブルな一面が抑えられR&B寄りにシフトした本作は、より一層メロディアスで人当たりの良いアルバムに仕上がっています。美しい旋律から紡ぎ出される二枚目なナンバーはひたすらメロウにブラッシュアップされており、彼の真骨頂である小気味良いリズム感とシルキーボイスが、どこまでも心地良いことこの上ありません。

とにかく耳触りが良く、聴き易い。それだけ、ゴリゴリのブラック・ミュージックという印象はないので、R&B初心者にも優しい作品です。しかし、だからといって、キャッチーな出来映えと引き換えに底が浅いのかといえばそうではなく、聴き込むほどに味が出る“スルメアルバム”という表現をして、トータルバランスに配慮され、サウンドは錬磨されています。また、リスナーを柔らかく包み込む繊細な歌声は相変わらずですが、誰しもが聞き惚れる美麗なメロディが秀逸。彼自身が「自分に合う楽曲」というものを存分に心得た上で、吟味に吟味を重ね、丹念に作り上げられたアルバムであろうことが伺えます。

パンチの効いたアッパーな曲こそ少ないのでインパクトは及ばないかもしれませんが、面白味が無いなんてとんでもない。落ち着いたトーンをもって哀愁を醸し出す豊潤な調べの数々は、ゆったりとリラックスしながら聴けるので、作業用BGMとしても最適です。これからの季節にはピッタリの1枚でしょう。末永く普遍的に愛されるであろう名盤です。

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