2012年11月21日 (水)

Now Playing|坂本真綾 / ミツバチ

坂本真綾の9年ぶり、3作目となるシングルコレクション。タイトルは、ハチポチ→ニコパチに続く「ミツバチ」。2005年以降に発表したシングルCD / A面曲と新曲、リミックス等の音源を収録、ニコパチ後のディスコグラフィをザックリと網羅した内容となっています。高音質SHM-CD仕様。

Amazon.co.jp:坂本真綾 / シングルコレクション+ミツバチ

菅野よう子との久々のプラチナタッグ復活でヒットを記録した「トライアングラー」から、各種タイアップ曲、ユーミンのカバーまで、バラエティ豊かなサウンドが詰まった珠玉のベスト。入門盤としても最適な一枚です。

多種多様な作り手とのコラボレーションという意味では、従来とは若干毛色の異なるシングルコレクションとなっている今作、様々なアーティストとの共演を重ね、あらゆる世界観を歌い上げることで成長を遂げて来た彼女の足跡がコンパクトに凝縮された作品に仕上がっています。音楽以外の分野でも多彩な才能を発揮し、舞台女優に執筆活動と多方面に渡る活躍を続ける中で、近年はそのフィードバックを“本業”に取り込むことで、自らの殻を破ろうとしているかにも見えた“才媛”の安定と祝福の10年、その集大成がここにあります。更に、菅野よう子×岩里祐穂が提供する新曲「猫背」からは、ここから先の10年に向けた区切りともスタートラインとも言える、坂本真綾の“今”の温もりと美しさが伺えるでしょう。

時に、彼女の魅力はと言えば、何と言ってもそれ自体に完成された趣きがある完璧な名前その歌声。瑞々しさをたたえた真っ直ぐな歌唱、その透き通った声色と息遣いの波間に身を委ねている感覚は、まさに“やさしさに包まれたなら”であり、かといって、単純なヒーリングボイスと表現してしまうには勿体無い、ポップシンガーとしての芯の強さをも持ち合わせているのだから堪らない。それでも、たまにネットの街角で「奇跡の海」なんかを耳にすると、ここ10年ほどで確実に表現力も向上しているのだなぁということを実感したりもします。

しかし、いわゆる普通の声優ソングやアニソンとは一線を画するこのアーティスティックな雰囲気はどうだ。“坂本真綾”というカラーを選り分けるに当たって、楽曲群はそれぞれが多彩なサウンドを展開し、シングルとしての絵面、仕掛けの強さを持ちながら、アルバムの歯車としても機能する噛み合わせの良さを持つという、恵まれた素性こそ体現しているものの、そのさりげなさが故に、ポップソングとしてはそこまで殊勝なフックがある訳ではない。それが、“坂本真綾”というブランドが付くだけでこのムード。これはある種のセルフプロデュース能力と言っていいのか、単にお洒落だとか芸術的だとか音楽的だとか、そういうことではない、或いは、そう見られることに長けている空気感は一体何処から来るのか、実に不思議。それこそがまさに非凡であることの証左なのだろうなぁと。

ところで、

SHM-CDとは?通常のCDとは別種の液晶パネル用ポリカーボネート樹脂を使用することにより素材の透明性をアップ、マスター・クオリティに限りなく近づいた高音質CDです。全てのCDプレーヤーで再生可能です。※この商品の高音質とはマスターに対する高忠実再生という意味で、音質に関する評価は再生環境により異なりますのでご了承ください。

ご覧の通り、今作はSHM-CDということなのだけど、この手の「材質を交換することでの高音質化」を謳っているCDは、リッピングした音源にも影響するのだろうか。普通に考えたらしないよね。まあ、それを抜きにしても音はいいですけどね……と思ったら、そうでもなかったかもしれない。一部、音割れしている曲とかあるで。ボリュームや音圧のバランスはしっかりしているので一見聴き易いですが、実際のところ“質”に関してはよく分かりません。

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