2014年01月25日 (土)

新雑誌「アニソンオーディオ」創刊

巷では「アニソンオーディオ」なるものが創刊ということで、日和にインスパイアされました。とにかく雑さを放り込んだ雑記です。本エントリは完全な与太記事としてご覧下さい。

音元出版より、また新たなジャンルの雑誌が誕生いたします。その名も「アニソンオーディオ」。名前の通り、"アニソンを良い音で楽しもう"というコンセプトのもと、アニソンの魅力をより引き出せるオーディオシステムをとことんご提案する雑誌となっております。

新雑誌「アニソンオーディオ」、1月30日発売決定!- アニソンを良い音で楽しむためのバイブル誕生 - Phile-web

昨年末の流れから、今年はアニソン界にとってもハイレゾ元年となりそうなご時勢ですが、アニメと言うと、絵に関しては何かと神作画だの作画崩壊だのが叫ばれ、オタク層からは口うるさく突っ込まれながら、右に左にとバックボーンが掘り下げられて行くのが通例となっている界隈ですが、これを音に当て嵌め、シフトして行くのは並大抵の作業ではないのではないかなぁと思っております。

というのも、そもそも、ピュアやサラウンドを整備してまで音楽、音響を楽しむ人間が少なく、また、コンテンツそのものも追い付いていない状況では、アニメの"音"を取り巻く環境はまだまだニッチと言わざるを得ません。これを、より多くの人間に、より広く広めて行きたいとする動きは歓迎できるものですが───オーディオというと何かとオカルトが喧伝され、馬鹿を食い物にする魑魅魍魎が跋扈する業の深い世界ではありますが、それは一先ず置いておいて、まず、アニメ業界自体も当然のことながら一枚岩ではなく、基本的に「音が悪い」と揶揄されることに甘んじてきたアニソン界の闇が深い訳です。

音と一口に言っても、劇中の音響や主題歌の音質など、切り口は様々あると思いますが、昨今、音響に凝った作品として知られる「ヨルムンガンド」や「ガールズ&パンツァー」にしても反応は様々。音が遠いとか、台詞が聞こえないといった典型的な「環境が追い付いていないディス」も見聞しますし、一般的にTV放送を視聴する設備にまで拘っているのは極一部なので、やはり、そこは"敢えて音楽を楽しみたい"人向けにリリースされている(はずの)媒体を取り上げるのが先決でしょう。

例えば、紅白歌合戦にも連続出場を果たし、圧倒的なセールスを誇るアニソン界の女王が言わずと知れた水樹奈々女史ですが、これがまあ、今や「アニソンは音が悪い」の代名詞として語られるほど、彼女のCDは音が悪い。これには、「圧縮音源やDAPを始めとするプアオーディオ向けのマスタリングにターゲットした結果である」という一般論とは別に、古くから「水樹奈々はライブに来てもらう為にわざとCDのマスタリングを悪くしている」などの諸説がありますが、とにかく、アニソン界のトップスターが圧倒的に音の悪いCDを出しているという現状には頭を抱えざるを得ない。

本来であれば、"敢えて音楽を楽しみたい"人向けに、純粋に音楽を楽しむ為の専用メディアであるはずのCDでは、純度の高い音質に振った調整を施すべきはずなのですが、これが実際には、TV放送ではいい感じだったのにCDで聴いたら憤死、という逆転現象がまま観測されるのがアニメ業界の実情です(坂本真綾、中島愛、May'nらを擁するビクター系列のFlyingDogを始め、勿論、音質志向のレーベルや、良質なマスタリングが期待できるSHM-CDなどのマテリアルCDのリリースに積極的なアーティストも存在します)。

また、大手ランティスも音が悪いレーベルとしては有名ですが、これはハイレゾにしても然り。直近の事例では、残念なことに「ラブライブ!」のボーカルCDは(不快感を覚えるレベルで)とにかく凶悪な音質なのですが、これがハイレゾ音源の場合、CD比でマスタリングが改善されているので、その分のマージンは上乗せされているものの、"音楽用CDを上回る情報量を誇るHigh Resolution"という枠組み自体の恩恵を受けているとは言い難い。つまり、先のCD音源よりはマシだが相変わらず音が悪いということです(これよりも音のいいCDは世の中に一杯あるよ、というレベル。インストに限れば普通に聴けるんですけどね)。当初は「ハイレゾを売る為にCDのマスタリングを悪くされたんじゃたまったもんじゃないなぁ」などと考えていたのですが、そのハイレゾにしても天井がこの水準というのは絶望に値します(ハイレゾになっても、ちょっとしたロックやポップスのCDよりも音が悪いのか......という諦観)。

ということで、今のところ、拙環境ではμ'sにしろ世界一かわいいゆかりんにしろ、アニソンのハイレゾ音源にはあまりピンと来ていません。繰り返しになりますが、これは音源(ミックスやマスタリング等々)の問題で、これよりももっと音の良いCDはあるよ、という話。本来、規格の上限としてはCDDAとは比較にならないはずなのですが、こういう仕上がりになってしまうのは残念です。これでは、自ずと育つはずの芽を業界自らが潰しているようなもんじゃないかなぁ、と。エンジニアの腕がそこまで腐っているとは思えないので、プロデューサーの仕業なのか、クライアントの意向なのかは分かりませんが、いずれにしても、それが闇が深いと呼ばわる由縁。

一方で、昨今、明確なクオリティ志向を持っており、地道に実績を積み上げているF.I.X.RECORDSのようなレーベルもあるので、そういう意味では、いつかその手のガッツリしたDSDタイトルを聴き込んでみたいし、そういう環境を手の届く範囲内で揃えてみたいよねぇ、と。こと高音質という面では、大手の売り込みで大々的にフィーチャーされるなんちゃってリマスターやアプコンハイレゾではなく、それこそ準ピュア志向の堅実な取り組みが(一般レベルで)評価されると、また違って来るのではないかなぁと思います。

追記

ただし誤解なきよう、かなり厳しいニュアンスで述懐してはおりますが、少なくとも同じ音源ならCDDAには戻れないのは確かですし、その他の凡百のCDが色褪せて聴こえるようになる程度には威力のあるものです>μ's、及びゆかりんのハイレゾ。"恩恵"という部分を厳密に突き詰めて行くと期待していたほどではなかった、或いはそういう側面も垣間見えるという話であり、ハイレゾ自体が無用の長物ということではありません。

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