Apple、新型iPodを発表、iMac G5もマイナー
Posted by ramhorn05j
Appleは、ビデオ再生機能を備えた新型iPodと、iChat専用ビデオカメラ「iSight」を本体に組み込んだiMac G5を発表しました。
iPodは、2.5インチのカラー液晶(320×240ピクセル)を搭載し、色はブラックとホワイト、容量は30GBと60GBが用意され、MPEG-4およびH.264ビデオの再生が可能。iMac G5は、本体の右下に収納可能なワイヤレスリモコン「Apple Remote」を搭載、このリモコンのみで遠隔操作可能な新しいユーザーインタフェース「Front Row」も提供するとのこと。
てっきり今回はPowerBook辺りが来るものだと思っていたので、iMac G5のマイナーチェンジは予想外でした。PowerPC G4の性能も頭打ちで、G5に至っては発熱の問題が解消されていないとなると、PowerBookのアップデートは想像以上に厳しいものがあるのかもしれません。
しかし、これで一つの完成を見たiMac G5は、リニューアルを経て、ますます魅力的なマシンになりましたね。性能は申し分無く、そして価格も安い。目新しい「Apple Remote」と「Front Row」を有する操作体系も楽しそうです。「iTunes、iPhoto、DVD、ビデオ再生をリモコンで操作するために考えられた」というだけあって、必要最低限の機能のみを搭載したインターフェースとリモコンは、実にスマート。Macからちょっと離れてDVDを鑑賞したい、音楽を鑑賞したい、なんて時にはピッタリ。他にも、「Universal Dock」を介してiPodのリモコン操作も可能になっているようです。ただの飾りかと思いきや、思いの外、踏み込んだ機能を搭載しているなぁ、という印象。今回の「Apple Remote + Front Row」は「Apple版 Media Center インターフェイス」などとも言われていますが、この分だと、有り得ない有り得ないと口を酸っぱくして言われていたTVチューナー内蔵の時代も、もしかしたら本当にやって来るのかもしれません。
さて、本命はやはり新型iPodでしょうか。iPod nanoでのワンクッションを経て、リリースが確実視されていた“Video iPod”が、価格も据え置きで、いよいよ登場しました。発表前にリーク画像として流れていた写真のように、横向きの筐体にワイド液晶搭載でも良かったんじゃないかと思いましたが、そこは考えがあってなのか、フォーマットは従来通り、オーソドックスなデザインです。
一見して一回り大きくなったと錯覚する印象とは裏腹に、意外にも寸法は前モデルと変わりません。しかし、ディスプレイが大きく、筐体がより薄くなったことで、佇まいは実にスリムでシャープ。エッジの利いたフロントデザインも、小さくなったホイールがアクセントになっていて、全体のバランスがとても良いです。iPod nanoに続いて、ブラックモデルが用意されているのも素晴らしい。「iPodファミリー」として見てもよりシックなラインナップになって、随分とまあ魅力的だこと。
それにしても、最近のAppleは好調な業績に後押しされてか、やることが実に思い切っている。今回の「Video iPod」も、新たなカテゴリを設けるのではなく、あくまでも「iPod」の動画再生機能は“おまけ”扱いで、旧モデルをリプレースする形を取っています。ただ、こういった戦略により、結果的にラインナップが整理されて頓雑にならないのは評価出来るポイントでしょうし、また、iPodの資産を存分に活用しながら、新たな市場を開拓し、浸透させるのに一役買っています。実に(ジョブズ復帰以降の)Appleらしい典型的なやり口で、この手の潔さは見事。あくまでも「iPodはiPodである」という考え方は、ブランドを牽引するフラッグシップモデルとしての正しい解釈なのでしょう。
ただ、メインの売れ筋としては、恐らくiPod nanoが引き続き支配権を握るものと思われます。QuickTimeやiMovieを活用したオリジナル動画の作成が可能な一方で、コンテンツ販売を始めとしたサービス展開が後手に回ると予想される日本市場では、「ビデオ再生対応」のキャッチコピーは、さほど訴求力を持たないのではないでしょうか。それでも、積極的なイノベートを実践するAppleの姿勢には意義があると信じたいものです。iTMS-Jの開始には信じられないほどの時間を要しましたが、ビデオ販売に関しては、同じ轍を踏まずに、より早い段階で充実したチャンネルを取り揃えて貰いたいものです。
なお、これに合わせてiTunesもアップデートされています。この間「5」がリリースされたと思ったらもう「6」です。激速のバージョンアップですね。正式に「ビデオ対応」し、オンラインで映像コンテンツが購入出来るようになったという点で、ある意味「iPod」のリプレースよりもエポックな出来事かもしれません。
〆は一つCMなどを。U2が出演しているAds動画が試聴可能です。
iTunes + iPod TV Ad featuring U2
U2……のプロモーションの一環なのかな。それこそ巷で吹き上がるロートルのように「魂を売った」などとは思わないけれど、それでもまあ、その時々で随分と調子がいいなぁというか、最近の彼らの活動には、ちょっと思うところがない訳ではありません。