2011年06月15日 (水)

MITSUBISHI MDT231WGの受難

液晶テレビよりも液晶ディスプレイ、それでいて手頃な画質も追求したい、という点では三菱にこだわりたい私ですが、待てども暮らせども広視野角、高速応答、倍速補間を網羅した27型の本気モデルが出る気配がないので、半ばヤケクソというか、痺れを切らす形で、比較的安価に手に入れる機会があったMDT231WGを新調。ゲーム、テレビ、映像、音楽と、マルチメディア端末としてフル稼働しているPS3用のメインモニタRDT232WXからのアップグレード、という位置付けです。

三菱マルチメディアワイド液晶ディスプレイ VISEO MDT231WG

MDT231WGは、三菱ディスプレイ:マルチメディアモデルの上位機種であるVISEOのフラッグシップ。超解像技術「ギガクリア・エンジン II」、LEDバックライト制御とIPSパネル採用の120Hz駆動倍速補間技術とを組み合わせた動画ブレ抑制技術「MP ENGINE III」を始め、リフティングターン、PinP、入出力系統、フルリモコン等々、このグレードに共通する豊富な装備が全部入りの機種なので、何かしらの使い出はあります。が、残念ながら後述の理由で果たして決定版とは言い難いモデルです。

Amazon.co.jp:MDT231WG

まず、OSD画面は項目が多岐に渡っており複雑なので、一通りの機能を把握するだけでも一苦労ですが、その分、設定はかなりの部分まで追い込むことが可能です。画像処理を適度にセーブした方がソースの破綻は少ないですが(MP MODE:レベル3は肉眼でも分かるほどのチラつきが発生するのでオススメしません)、明るく、鮮やかで、高精細、高コントラストな映像は流石に綺麗。

ブラックの階調表現は及第点レベルですが、逆にホワイトは黄ばまず抜けが良いので、濃淡のハッキリした単調な絵作りに向いた性格ではあるものの、画質に関しては文句がありません。特に、倍速補間が駆動するMP MODE:レベル2(60fpsソース向け)と倍速CP+シネマモード(24-30fpsソース向け)は、ゲームタイトルによっては遅延に配慮する必要があるものの、映像のキレ、動画のヌルヌル感に関しては効果覿面です。

ただ、パネル自体は韓国産(LG-IPS)のいわゆるギラツブなので、動画、静止画を問わずソースによっては、まるで濡れ雑巾でパネルの表面を拭いたかの如く画面がザラ付いて見難く、眼精疲労にも応える粗雑な映りとなります。

しかし、MDT231WG最大のネックは音声出力。ジャンク品レベルの据え置きステレオスピーカーをそのまま使うケースはほとんど無いと思うので、この点は“おまけ”としてスルーしても構わないのですが、問題はヘッドホン端子、音声出力端子、いずれに接続しても「キーン」という高周波のノイズが乗ること(俗に言うピーノイズ)。解像度、音圧、音場形成など、内蔵アンプの性能自体はRDTシリーズよりも良質なものですが、この圧迫感のあるノイズのせいでヘッドホンは常用に耐えず、(誇張でなく)本機のサウンド機能は使い物になりません。廉価モデルであるRDTシリーズにさえ存在しなかった欠陥が、何故この様な形で(本来的には上位モデルである筈の)VISEOに発現するのか、理解に苦しみます。

その所為、MDT231WGを使用する場合は、別途外付けのアンプを用意する必要がありますが、これについてはまた後ほど。

総評としては

MDT231WGは、三菱ディスプレイに共通する機能、性能、ユーティリティにおいて、微妙に融通の利かない部分を差し引く必要はあるものの、ミドルクラス以上の液晶ディスプレイとしては相応にモノが良く、こと画質に関しては、動画を補間する優秀な画像処理エンジンのお陰で概ね満足の行くものです。しかし、価格を考えると……パネルの品質、アンプの問題等々を考慮すると、コストパフォーマンスは非常に厳しいものだと言わざるを得ません。

追記

(一ヶ月ほど使い込んでみて)最近とみに実感すること:歴代モデルの中でもダントツの目潰しっぷり。高品質、高画質な映像にも慣れて驚きがなくなると、今度は逆に(本機のパネルが)如何に目に悪いかが分かって来ます。三菱の現行ラインではハーフグレアが現実的ですが、次のモデルではもっと目に優しいパネルを搭載して欲しい(割と本気で切実)。

ARCHIVES

  • Browse All Archives [1745] »

RECENT ENTRIES