2015年04月20日 (月)

ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン

自分はニンジャスレイヤーに関しては“にわか”ですらなく、そういったコンテンツが存在することは認知しているが積極的に情報収集することはなく、たまにRTで流れてくるツイートを目にする程度の半可通。なので、しっかりと原作小説を追っているニンジャヘッズ達がどう感じているかは分かりませんが、個人的には「“常識を覆す”ような新しさはないが想像以上に楽しめる作品」というのが第一印象です。

Image:ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン

まず、オープニング主題歌からしてBOOM BOOM SATELLITESを起用するところなど尋常ではない。最高にクールな「BACK IN BLACK」補正もあって、OPの作画カットや本編までますますセンスの塊のように感じられるという意味では値千金。

一方、一見突拍子もない本編の作風は、ざっくりと和洋折衷闇鍋状態というか、時折「キルラキル」の流れを汲むようなTRIGGERらしい外連味溢れるアグレッシブなライン描写が目に飛び込んでくるものの、基本的には蛙男商会などに見られるFlashアニメと、ジャパニメーション志向の低予算アメコミの間の子というか。2D格闘ゲームのフォーマットで殴り合うような紙芝居パートがあって、合間にモーションコミック的な技法や本気の動画パートを挟み込む……といったメソッドは、実際、かなりセンスもテクニックも要する工程で、これを全体のメリハリと緩急ある作劇にまとめ上げている手腕はなかなか見事です。

即ち、アニメーション制作としては、15分という尺も含めて、ニンジャ活劇としての大元の世界観を理解し過ぎるほど理解した結果「敢えて」こうなっている、と捉えるのが正解だと思うので、個人的には原作の意匠を最大限汲んでいる(と思われる)取り組みは評価したいですし、「手抜き」といった誹りはやや見当違いなリアクションに感じられます。しっかりとお金を掛けて、通常のフォーマットとは違うことを、却って無駄なコストを惜しみながらやっている、という文脈なんだと思います。

それに、これまでも何度かチラシの裏に書き散らしていますが、例えば、ラブライブ!であれば「友情→挫折→挫折を乗り越えた先の成長と団結まで」といった王道的な展開にも未だにアレルギー反応を示している人がいるし、アイドルマスターシンデレラガールズにしても折りを見ては「本田ァ!」と五月蝿い人がいたし、かと思えば、ちょっと止め絵のようなシーン演出が出てくれば万策尽きただの何だのと。

結局、そういう了見の狭い声ばかり聞いていたら表現の幅はどんどん小さくなるし、画一的になる。そういう最近の風潮が好きくない、というそもそものフラストレーションが自分の中にあったので、露悪的な言い方をすれば、コミュニティの最前線で日々先鋭化・蛸壺化していく“お客様”と、オタク属性を武器に増長している輩に冷や水をぶっかけるという意味では、下手に大衆に訴求しようと迎合しなかった製作委員会の判断は功労なのではないでしょうか。

そもそも、イビツな日本観に見られる突飛な世界設定や風変わりな忍殺語ばかりが取沙汰されるが、物語自体はハードで骨太なサイバーパンク───という私の認識が間違っていないとすれば、ニンジャスレイヤーは元々が「カルト的人気」という分類で括った方がしっくり来そうなコンテンツなので、狙ってこの路線を邁進しているのだとすれば論争にはあまり意味がないですね、それを受け入れるか受け入れないかですから。アニメーションって要は表現ですから、本来であればもっと多様性があっていいものだと思いますよ。

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