2018年01月12日 (金)

三ツ星カラーズ

少女南極旅行こと宇宙よりも遠い場所は、マッドハウスのオリジナル作品として期待値は高め。文部科学省を筆頭に協力の布陣は豪華ですが、シリーズ構成と脚本が不安と言えば不安。EDテーマは既にお馴染みの感のあるヒゲドライバー。

ヒゲドライバー(ヒゲドライVAN)はアレンジャーとしても有能で、ポップで耳馴染みの良い楽曲を量産しているイメージですが、基本的に優等生なので良くも悪くも癖がないというか、心地良さが勝る素直な編曲で仕上がりも小綺麗にまとまりがち。

強力なアクや豪腕でなぎ倒すようなフックがない分、作詞・作曲・歌手といった素性の部分に左右されることも多いので、「ここから、ここから」のように第1話で(セミ)フルバージョンをOAしながら音源発売が2月末というような間延びしたスケジュールだと、よほどの中毒症状でも出ない限り、それまでのヘビロテで聞き飽きてしまう未来が予想できるのが不憫。

一方、恋は雨上がりのようには、一体何年ぶりのノイタミナか......というような久方ぶりのフジ枠。基本的にトルネフのオススメはあまり信用も信頼もしていないのですが、珍しくあの焼き鳥のピックアップがなければ見逃していたであろう一本。昭和チックと少女漫画チックの合いの子のようなキャラクターデザインも割と好みですが、相反するようなモダンな作画が生み出すギャップは鮮やかで、テクノロジーとノスタルジーが同居するような演出が印象的。

おっさん側から見るとセクハラオヤジの願望を満たすような快不快な事案要素もあるし、女性側から見ると一種のファンタジーなのかなとは想像しますが、ある種の変態的な、フェチズムを刺激するような描写もあるので、なかなかに複雑なオトナの事情が絡み合っており、合う合わないは完全に分かれそうな保留枠。

今期はこれらにプラスして、既に若干の失速感がある2クール目の魔法使いの嫁の継続視聴も加えた3本を最低ラインとして完走予定。表題の三ツ星カラーズは、ゆるいコメディ描写が最高の癒し枠として余剰を確保。

大人と子供のデフォルメの対比など、素材的に原作者の性癖だだ漏れな部分はあると思うのですが、アニメーションとしては、こう表現は悪いですが、ロリロリしいというよりはションベン臭いクソガキ感があって愉快。

ナンセンスに振り切らない適度なシュールさと日常ものの緩さのちょうど中間くらいの塩梅で、頭を空っぽにして楽しめる30分。ポップンキュートを地で行くOPテーマも秀逸ですが、本編のBPMも体感15分。画面の情報量が多い割に喉越しはドライなので胃もたれしません。

個人的に、からかい上手の高木さんに欲しかったのはこのテンポ感だよなぁと思いながら見ています。

追記1(2018.03.26)

歴代モブも総出演、ほっこり幸せな、カラーズらしい悪戯心と感動を呼び込む最終回らしい最終回。一抹の寂しさと共に、ここまでスッキリ終われる充足感のある最終回も久しぶり。

三色三竦み、不思議な世界に生きる三者三様の個性が物語を転がし続けるカラーズの魅力。誰一人欠けることなく、三人全員を大好きになること請け合いのカラーズは勿論のこと、おやじ、便秘おばさん、ののかわと脇役の人気ぶりも健在で、振り返ってみれば総じて極めて打率の高かった作品。少なくとも、お話や演出面を見れば完全に実力派(プロ)の仕事だと思うのですが、今ひとつ話題性に欠けたのが不思議でしょうがない。もっと評価されて欲しいし、切実に売れて欲しいアニメの筆頭株でした。

それにしても、ののかわは本当にののかわで、声もぴったりだしもう最高でしたな!

追記2(2018.04.01)

ニコニコ動画でも最終話の配信が開始。即ち、このリピート地獄(天国)もあと一週間の命。

それにしても、中盤以降は三竦みというよりはリーダー一強の場面も増えたカラーズ。別エントリではCVである高田憂希さんの達者ぶりを褒めたりもしていましたが、なんというのか、あの微妙に気の抜けたようなヘロヘロな感じ。いつぞやの二段階悲鳴もそうですが、ワーイ↑トッテ→モオイシー↓などに見られる二段階〇〇は、今作における結衣(CV:高田憂希)の真骨頂ではないでしょうか。

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